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スカイ・クロラ The Sky Crawlers [2008年9月に観た映画]

『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』
(2008・日本) 2h01
監督 : 押井守
声の出演 : 菊地凛子、加瀬亮、谷原章介、栗山千明、榊原良子

[exclamation]ネタバレ、個人的感想あり。

新宿ミラノ1でまだ上映していました(夕方からの2回)。
テアトルタイムズスクエアでもやっていたら間違いなくそっちの大スクリーンで観ていたと思いますが、本作をミラノ1の大スクリーンで観れる機会というのも次の押井監督の新作公開時の特集上映ぐらい(オールナイトだったりすると無理)だと思うので観ました。



今回観て思ったことをつらつらと。
本作は大人とキルドレ、そして押井監督と子供たちの話しなのではないだろうか?
一部の大人たち(政治家や役人や企業人)の間で作られるショーとしての戦争も含んだ社会。
一部の大人たち以外の大人たちを支配しているのは「今の社会を変える事は自分達にはできない。」という諦め。
前回観た時から気になっていたダイナーの外でうずくまっている老人がその諦めを象徴していたような気がする。

そして、キルドレの希望や想いなどは一部の大人たちの思惑ひとつでいとも簡単に握り潰す事が出来る。という現実を叩きつけた上で、それでもラストで押井監督は子供たちに「生きてほしい。」と願う。
生きていれば明るい未来が待っている。という保証はないまま。
それは無責任なのかもしれないけれど、でも押井監督らしい誠実さであるような気がする。
人それぞれで明るい華やかな未来が待っている人もいれば、そうではない人もいる。
それが分かっているから映画を観た人全員に「明るい未来が待っている。」とは言えないんだと思う。

世知辛い世の中で生き続けるのは辛いかもしれない、生き続けたとしても何かが劇的に変わる事はないかもしれない。
それでも生きていれば明るい未来が待っているかもしれないし、社会が良い方に向かうかもしれない。
俺たち大人は諦めちゃうけど、子供たちには希望を持って生きて欲しい。という所ではないかと思う。



カンナミは様々な人に疑問や質問を投げかけるけど、それに答えが出る事はほとんどない。
と言うか押井監督はわざと答えを出さない。
それは観客への問いになって、皆さんも自分で考えてください。という事になっている。
多分押井監督は観客を信頼しているんだと思う。押井監督自身の答えを出さなくても観客が自らの答えを出してくれるはずだと。
考えてもおいそれと答えの出る質問ではないけど。それだけに後に残る映画なんだと思う。



本作で期待を一番裏切ったと思われるのは、大編隊を組んでの一大作戦のシーン。
作戦開始まで盛り上げに盛り上げ、作戦序盤期待通りのスペクタクルな戦闘シーンを繰り広げながらの突然の寸止め。
椅子からずっこけたお客さんも相当いたかと思われますが、これは“ショーとしての戦争”を描く上ではものすごく正しいと思う。
戦争を仕切る企業としては、最小限の被害で最大限の効果を生み出さなければいけない。それがあの寸止めだった。
その最小限の被害の中で死んで行かなければならないキルドレがいる。というのが切なすぎる所でも有ります。



主要キルドレの声優への不満も数多く有るらしいですが、個人的には全く無かった。
子供だけど大人、大人だけど子供。という微妙な感じ、特異な感じが良くでていたと思う。
プロの声優さんがやればもっと上手くできたのかもしれないし、逆に大人寄りになったり子供寄りになって微妙な感じが出なかったかもしれない。



多分このTシャツは押井監督も着ているんじゃないだろうか。
スカイ・クロラ FLYING BASSET Tシャツ(Lサイズ/モクグレー)

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