牛の鈴音 [2010年1月に観た映画]
『牛の鈴音』
(2008・韓国) 1h18
監督・脚本・編集 : イ・チュンニョル
出演 : チェ・ウォンギュン、イ・サムスン
じいさん、ばあさん、そして牛。
ドキュメンタリーって何きっかけで撮り始めるのかが気になる所で。
本作の場合、21世紀に入ってもまだ農耕牛を使った農業をやっている老夫婦がいる。って所がスタートだったんじゃないだろうか。
だから、本作で言わんとしている事は元来農業は楽して出来るものではなく、苦労して地道な作業を日々行う事によってこそ成り得るもので、それが食の安全にもつながる。って事なのだろうか。
そしてそれとともに、じいさんとばあさんと老メス牛との不可思議な三角関係を、ユーモラスに記録しているのかなぁと思いながら観ていたのですが、何かそれだとあまりピンときませんでした。
思ったのは、男の意地の貫き方が描かれている映画なんじゃないだろうか。
じいさんの意地がいまだ農耕牛を使わせているのですが、その意地もいずれ負ける事が誰の目にも明らかで、じいさんも多分分かっていたはずで。
それでもじいさん意地を貫く。ばあさんに迷惑や心配をかけても。
牛はじいさんのただ一人(もはや人間と同じ)の気を許せる仲間。ばあさんはうるさ過ぎ。
じいさんも牛も共にボロボロになるまで意地を貫き通す。
お前にここまで意地を貫き通せるのか。そもそも貫き通せるだけの意地がお前に有るのか。そんな強烈なメッセージを無口なじいさんがその生き様で語っていたような気がする。
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