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その男、凶暴につきと3-4X10月 [2010年6月に観た映画]


映画『その男、凶暴につき』USEDパンフレット

『その男、凶暴につき』
(1989・日本) 1h43
監督・出演 : 北野武
出演 : 白竜、芦川誠、平泉成、岸部一徳、川上麻衣子、佐野史郎







3-4x10月 [DVD]



『3-4X10月』
(1990・日本) 1h36
監督・脚本・出演 : 北野武
出演 : 小野昌彦、石田ゆり子、井口薫仁、飯塚実、布施絵里、芦川誠、渡嘉敷勝男






北野武監督作2本立て。新文芸坐にて。



『その男、凶暴につき』

初監督作にして映画としての完成度が高く、既に北野節が出来上がっているのは才能故だろうと思う。



警察組織のはみ出し者とヤクザ組織のはみ出し者が静かに激突する。

元々有った脚本を大幅に変更した。という撮影秘話は有名な話だけど、脚本ではどんな感じだったんだろう?もっと2人の男に焦点が当てられていたのかも。
脚本に忠実なリメイク作品も観てみたい気がする。

出来上がった映画は当時の刑事ドラマの常識にツッコミを入れつつ展開する。
刑事は派手な存在ではなく、また必ずしも正義の味方ではない。そして暴力は限りなく直接的に描かれる。
それらがお笑い芸人ビートたけしらしい毒の有るユーモアを交えられている所が面白い。
また当時ではまだ珍しかったと思われるキャリアとノンキャリアの対立の構図も薄っすらと描かれる。『踊る大捜査線』以前の事。

何より銃器の描き方がメチャクチャカッコよかった。銃声がバキューン!ズキューン!では無くドンッ!カランカラーン(薬莢が落ちる音〉。
発砲の際の火花の出方も火花多め煙少なめでカッコいい。テレビドラマ『あぶない刑事』などはほとんど煙だったような印象。



たけしさん、佇まいや雰囲気などが日本のデ・ニーロ。といった感じでカッコよかった。

遠藤憲一さん出演。白竜さんに刺されるシーンで刺された瞬間に二の腕をガッと掴む。その反応速度の速さが素晴しい。



東銀座に有った懐かしの松竹セントラルが見れました。上映作品は『孫文』。





『3-4X10月』



ネタバレ有り。



北野作品では一番好きかもしれない。
物語が収拾付かなくなって強引に夢オチにした。と取られるかもしれないけど、夢だったとすると主人公の顔のアップが、目を閉じていてそれから目を開ける。になるのだと思う。
しかし本作では目を開けたまま。これは何かというと、夢ではなく妄想だったんだと思う。臭い便所の中での1時間36分の妄想。それを映画にしてしまった。

北野作品の特徴は順撮りで、撮影当初の企画としてはたけし軍団の卒業記念的な草野球映画を撮る。という話しだったと思う(『オールナイトニッポン』でそんな事を話していたような)。
それが撮影を進めていくうちにヤクザが絡んできて暴力映画になり、沖縄へ行き更に暴力的になり、最後は町中での大爆発。
順撮りで撮っていくうちに妄想が暴走を始める北野監督の脳内。
その北野監督の脳内を映像化した映画。そういう意味でとても面白いと思う。



お気に入りのシーンは、飯塚(ダンカン)さんが「悪女」を歌うシーン。
あのシーンの異様な空気感と映像センス。暴力と笑いが見事にマッチしている。

クールな暴力と毒の有るユーモア。それが北野作品のカッコよさだったのだと思います。
これが次第に毒の有る暴力になってしまい、そこにアート志向も加味されて個人的に「うーん」と思うようになるのでした。
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