SSブログ

青葉繁れるとブルークリスマス [岡本喜八監督の映画]


 【中古】文庫 青葉繁れる【10P22feb11】【画】


『青葉繁れる』
(1974・日本) 1h27
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 丹波義隆、草刈正雄、伊藤敏孝、粕谷正治、十朱幸代、秋吉久美子、ハナ肇、草野大悟





仙台の名門校は試験ごと成績順にクラス分けされる。
万年最下位クラスの落ちこぼれ学生3人組の日々の妄想は常にアノ事ばかり。
新学期、最下位クラスに東京から転校生がやって来た。



転校生を演じる草刈正雄さんの2枚目っぷりが凄まじかった。
原作は井上ひさしさんで井上さんの自叙伝的な物語のようですが、草刈さんの尋常じゃないほどの2枚目っぷりに主人公の影が薄くなってしまった。

映画は原作から時代を1970年代に移して、その当時'70年代の地方の若者像を描いている。
若者が相当な無茶をしでかしていたけど、それも'70年代だからなのかかなり大目にみられ、ラストシーンは青春を発散させて幕を閉じる。それもまた'70年代なのかも。



岡本組常連の出演は岸田森さんと草野大悟さんぐらいだろうか。その点ちょっと寂しかった。


ブルークリスマス [DVD]

『ブルークリスマス』
(1978・日本) 2h13
監督 : 岡本喜八
出演 : 勝野洋、竹下景子、沖雅也、仲代達矢、岡田英次






地球にUFOが飛来。UFOから発せられる光を浴びた人間の血液が青くなる現象が世界各国で確認される。
血の赤い人間は血の青い人間に脅威を感じ、やがて拒絶し、そして粛清の手を伸ばすのだった。



岡本監督唯一のSF作品。
でもって珍作。という評判も何かのどこかからいつの間にか刷り込まれていた。
そこらへんの興味も有りました。どんだけ珍作なのか。

全然良かったのですが。世間的評価はどうなのか分からないけど。
SF作品と言うかSFベースのシュミレーションドラマ。異常事態に直面したとき人間はどのような行動をとり、世界はどう動くのか。『日本沈没』とかと一緒な感じなのかと。

やや説明不足、描ききれていない所も有ったかと思うけど、シュミレーションのリアルさは有った。
海外ロケのシーン。せっかく海外行ったので。という理由かどうかは分からないけど無駄に長かったのがもったいない。
でも墓地のシーン。あの場所はは恐らくユダヤ教の墓地ではないかと思う(墓石にユダヤ教のシンボルマークがあった)。そこにさりげなく青色の血の人間が置かれた状況が重ねられていたのだと思う。



UFOからの光を浴びた人間からは悪意(うらみねたみそねみ、その他色々)が無くなる。その代わりに血が青くなる。
悪意の無くなった人間は果たして善意の存在となれるのか。それが本作の大きなテーマだったと思う。
残念ながら人間の悪意は強く、ホワイトクリスマスを青く染め上げてしまった。

UFOの中の人(人?)の真意はいかなるものだったのだろう。
人間から悪意を取り除いてあげよう。という善意だったのか。
悪意の有る人間と無い人間を同じ場においた場合、どのような結果を引き起こすのかを観察する悪意含みの目的だったのか。
人類全体にいっぺんに光を浴びせてくれれば問題はなかったのに。そこまでの科学力は無かったのか、やはり観察目的だったのか。
それとも悪意を消し去りたいと願う人にだけ光は有効だったのか。
なんにせよUFOの中の人が人間の本性を暴きだし、切ないドラマを生み出しました。



脚本は倉本聰さん。『北の国から』では義兄妹だった田中邦衛さんと竹下景子さんが義理ではない兄妹役だった。この兄妹がまた切ない。

'60年代、'70年代の岡本作品常連の方々が多く出演されていてその点楽しめた。
特には神山繁さん、天本英世さん、岸田森さんのスリーショットはとても貴重のように思えた。



新文芸坐。《岡本喜八 七回忌 はじめての人のための岡本喜八》にて。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0