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ミスティック・リバーとチェンジリング [マ行の映画]


ミスティック・リバー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

『ミスティック・リバー』
“MYSTIC RIVER” (2003・アメリカ・2h18)
製作・監督・音楽 : クリント・イーストウッド
出演 : ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコン、ローレンス・フィッシュバーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローラ・リニー








幼馴染みのジミー、ショーン、デイヴ。ある日デイヴに事件が襲い掛かる。それは3人のその後の人生をも左右する事件だった。



追いつめられてゆくデイヴ(ティム・ロビンス)が悲しい。
それは一人の力ではどうにもならない事が人生にはあるという事で。
だけれども、どうにもならない事をどうにかできてしまう力を持つものも世の中にはいて。それはこの映画の中ではジミー(ショーン・ペン)。
しかし無理矢理どうにかしてしまったジミーには別の罪が背負わされる。

思えば映画スター、クリント・イーストウッドは数々の映画の中で現実ではどうにもならないような事をどうにかしてきた男。
どうにかしてきた男がどうにもならないもんはどうしたってどうにもならない。とこの映画ではっきりと言い切る。その事がこの映画以降イーストウッドが映画監督として巨匠の道を進んでゆくのと無関係ではないような気がする。



ジミーは昔は不良、今は商店のオヤジ。という人物だと思っていたけどそうではないのだろう。
父娘愛を強調するためにただのオヤジ(かなりおっかないいけど)の面が表立っていたように思うけど、本当の所はあの界隈を仕切っている。もしくは相当に影響力のある人物で。でないとジミーがデイヴにした事は隠ぺいは出来ないだろうと思う。

あるいは家族の事を想い裏の世界からは半ば引退状態で商店のオヤジとなっていた。しかし娘の事で再び裏の世界に戻る事になったとか。
その辺のドラマも有ったんじゃないだろうか。と、ジミーとジミーの妻(ローラ・リニー)とのやり取り、ジミーの妻とデイヴの妻(マーシャ・ゲイ・ハーデン)の立場の違いとかで見て取れた。ような気がする。





チェンジリング [DVD]

『チェンジリング』
“CHANGELING” (2008・アメリカ・2h22)
製作・監督・音楽 : クリント・イーストウッド
出演 : アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ、ジェフリー・ドノヴァン、ジェイソン・バトラー・ハーナー、マイケル・ケリー








1920年代から30年代のロサンゼルス。警察の腐敗が一人の女性を息子と離れ離れにさせてしまう。しかし女性は息子と再会出来る事を力強く願い続ける。



こちらも『ミスティック・リバー』同様一人の力ではどうにもならないような事が主人公に降りかかる。
しかし『ミスティック・リバー』と違うのは、こちらではどうにもならない事に直面した時、どうしたってどうにもならない。と、そこでただ諦めるのではなく、少しでもどうにかしようと立ち向かい続ける事が大事なのだ。というメッセージが込められている所だろうと思う。

更にはそのメッセージは他の『ミスティック・リバー』以降のイーストウッド作品、『ミリオンダラー・ベイビー』硫黄島2部作『グラン・トリノ』『インビクタス』『ヒア アフター』等へと繋がっていて。『J・エドガー』も立ち向かっていった男の話しであるし。

そう考えるとクリント・イーストウッドという人自身が一つの大きな作品のように思える。アクションスターの時代から現在までの多くの出演作、監督作。それら全てをもってしてクリント・イーストウッドという作品であると。



主人公の息子の身代わりとなった少年。あの子の立場を考えると何ともやるせない。
しかしあの少年、結構鈍感な所があるみたいで、無邪気でそして向こうっ気も強い。ちょっとやそっとじゃへこたれない。将来きっと大物になるんじゃないだろうか。今回の事も何らかの糧にして。と思う事でやるせなさを忘れてみる。



新文芸坐 《オスカーから20年 映画人クリント・イーストウッド》にて。
この2本立ては内容的にヘビーだった。1本ずつでもヘビーなのに。『チェンジリング』の最後の方はぐったり。
でも1本だけでは気付かなかった事に気付けた気もするので良かった。
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