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ペロガシャベッタ [ペロ]

「…それではご主人ちょっとご相談が」
それがわが愛犬ペロが私に初めて話しかけてきた言葉だ。

思えばペロの様子がいつもと違うなと感じていたのは大体1週間前くらいからだっただろうか。
何か物言いたげにこちらをじっと見つめている瞬間が何度も有った。
「どうした?ペロ」
と話しかけてみると私の目を見つめ今にも喋りだしそうな表情を浮かべるがその後すぐ諦めたかのように目を伏せその場を立ち去ってしまう。その後ろ姿はどこか寂しげだった。
具合でも悪いのだろうかと心配になるが、それ以外は快眠快食快便、この夏の酷暑の中でも足取りは力強く体調的には問題無さそうに思えしばらく様子を見てみる事にした。

今夜もやはり何かを言いたそうにこちらを見つめていたので私も真剣にペロに問うてみた。
「ペロや、何か心配事でもあるのかい。言いたい事が有るのなら言ってごらん」
しばし間を置き、意を決したかのようにペロは話し始めた。
当然私は驚いたがそれよりもペロが喋った!という嬉しさの方が何倍も上回った。

しかしよくよく話を聞いてみると私はペロと話しているが実際はペロの意識に介入している何百光年離れた惑星の住人と話しているという事であった。
そして相談とは地球上でここ何年か続いている異常なほどの夏の暑さについてだった。宇宙的に見ても生き物が生存していくには相当まずい状況で何とか忠告しようと人の意識に介入してみたものの電波系だなんだとどうにも良くない状況に追い込まれてしまったらしい。どうしたものかと思案し一回試しに犬の意識に介入してみたという事でそれがペロであった。
なるほど確かに人に言われるより犬に言われた方が 聞く耳を持つものなのかもしれない。

犬が話すと人間は思ったより喜ぶ。それが彼(彼なのか彼女なのか、それともそんな分類があるのかは今でも謎のままだが)が今回得た教訓の様だ。次からは犬以外の動物も試してみるとの事。多分飼い主なら誰でも喜ぶだろう。

彼がペロの意識から離れる際私は一つお願いをした。もし可能ならばペロの気持ちを教えて欲しい。
「あ、オッケー」
返事はとても軽かった。
「散歩大好き、ご飯大好き、大きな乗り物見るとテンション上がるぅー、小さい生き物見てもやっぱテンション上がるぅー、病院は嫌いー」
そうか、全部知っている事だった。ペロはいつでもその事を全身で全力で私に伝えてくれていたのだから。

彼は去った。今、ペロはいつものペロだ。いつの間にか夜は明けていた。
「ペロ、散歩行くか?」
いつものようにペロはキラキラと目を輝かせ一目散に玄関へと駆けて行った。
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