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2年3組冬菜海 [トナカイ]

僕の名前は冬菜海。お察しの通り学校でのあだ名はトナカイ。昔っからずっと。
この時期僕の周りでは赤鼻のトナカイの合唱が響き渡っている。休み時間の間はずっと。
と言って別にいじめられているわけではない。みんなが楽しいなら僕は構わないんだ。
でも時には僕にさるぐつわを噛ませてそのロープで自分の座っている椅子を引っ張らせようとするそんな乱暴者もいないわけでもない。
そんな時決まって助けてくれるのがあいつだ。
あいつの名前は黒須三太。なぜか物心ついた時から一緒につるんでいる。
助けてくれると言っても別に暴力的に解決するわけではなく。あいつがいると何故かその場がピースフルになってしまう。ただそれだけの事なんだ。
何故あいつがいると争い事が起きないのかその理由は分からない。時折あいつの周りに小さな妖精みたいなのが見える気がするのは多分気のせいだろう。
おっと、また赤鼻のトナカイの合唱がどこかから聞こえてきたぞ。あの声は2組の斎藤と4組の小林のお調子者コンビか。あいつらうるさいんだけどまあいいや。賑やかだしみんな笑ってるし。

彼の名前は冬菜海。そして親友の名前は黒須三太。
そんな名前の二人が不思議と同じ場所に居合わせるのは偶然だろうか。
フィンランド北部クロース地方にトウナという村がある。厳しい山道を丸3日かけなければ辿り着かない。それも運が良ければの話で、運が悪ければ一生辿り着けない。そのためトウナ村を訪れる人は皆無だという。しかし漏れ伝わってくる伝説めいた噂話によるとその村では人間たちとトナカイたちが長い間幸せに共存し、そしてあまりの仲睦まじさ故についにはトナカイが人間の姿に変身したのだという。
それと十七年前のある冬の夜トウナ村の方向から東の方角に向かって二つの発光体が物凄いスピードで飛び去って行った。という恐らく同一である目撃情報は各所に数多く寄せられている。
そんな日本から遠く離れた異国の地での事を冬菜海と黒須三太は知る由も無く、彼らが今ここにいる理由にも関わっている事もまだ知らずにいたのだった。
続、、、かない。
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