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サムジンカンパニー1995、ベルヴィル・ランデブー、ヒルコ/妖怪ハンター〈レストア&リマスター版〉、クローブヒッチ・キラー [映画]

サムジンカンパニー1995を観た。2020年、韓国、1時間50分。
1995年、韓国ソウル。大統領を先頭に国を挙げて国際化を推し進める中で業績を上げる大企業サムジン電子。しかし職場は旧態依然とした男性上位のままで特に高卒の女性社員達の存在は低く見られていた。
会社内での立場の向上を目指す一人の女性社員が会社の不正を目撃し彼女の正義の心に火が着くが大企業の不正は用意周到に進められていた。

虐げられていても健気に頑張る(一部例外有り)高卒女子社員たちの姿にそれはもちろん応援したくなるし、形勢不利な状態に追い込まれてからまた立ち上がっていく姿にももちろん応援したくなる。
1995年の韓国は経済的にイケイケドンドン。それが2年後1997年には国家崩壊寸前の経済危機に直面するのは他の映画で観た。タイトルは忘れた。
イケイケドンドンな時も経済危機の時にも欧米諸国に隙や弱みに付け込まれる韓国。だが我々はその度に自分たちの力で立ち直ってきたのだ!という事を強く訴えたいのだろうと思う。
財閥企業や欧米諸国(1995年当時の日本も含む)の強者を悪者にすれば勧善懲悪な物語は容易に出来上がる。
でもイギリスが関わっていなかった(多分)のが不幸中の幸い。と極個人的な見解として言える。今現在の世界で様々な問題がここまで捻れ曲がった元凶がイギリスである部分はかなり大きいはずなので。
欧米が何故そこまでして韓国に拘ったのか、国そのものを骨抜きにして潰しかねない感じで。という所は各自で調べた方がいいのだろう。調べないけど。



ベルヴィル・ランデブーを観た。2002年、フランス/ベルギー/カナダ、1時間20分。
祖母と暮らす内向的な少年が自転車に興味を持っている事を知り祖母は自転車を買い与える。その時からツール・ド・フランスを目標にした二人の特訓が始まる。十数年の時が経ち選手とコーチとしてツール・ド・フランスに出場するが謎の男二人組がレース最後方で何事かを企んでいた。

約20年振りに観る。犬が車のタイヤになるアニメとして強く印象に残っていたが、今回観てみてそのシーンは結構あっさりめだった。犬タイヤでの実際の走行シーンはほぼ無くて、実は犬タイヤで走ってましたという事を見せるだけ。それだけでも初見の時はかなりのインパクトで印象に強く残ったという事だろう。

アニメーションとしては超一流のクオリティ。ディズニーとは異なる方向性で。本作中に若干ディズニーディスってんのかな?と思われる箇所も有ったりしたが。
デザインのデフォルメが激しい、ギャグやその他の繰り返しの演出がしつこい。などでかなり独特な作風になっている。それでも全体的には20年経った今でも全然面白い。



ヒルコ/妖怪ハンター〈レストア&リマスター版〉を観た。1991年、日本、1時間30分。
妖怪実在説を唱え学会から見放された考古学者。【君の妖怪実在説を証明する事が出来るかもしれない。】と、亡き妻の兄から手紙で連絡を受け妻が生まれ育ったその地へ向かう。そこは古から悪霊を封印していたとされる場所で考古学者が到着した時には義兄は姿を消していた。

作品生誕30周年を記念してレストア&リマスター版を上映。テアトル新宿にて。

初見。かつて日本映画には怪談映画や妖怪映画といったジャンルとしても確立された映画群が有ったが、1991年当時というとそういったジャンルの映画は頻繁にではなくてたまに作られていた。といった感じではなかったかと思う(適当)。『学校の怪談』シリーズが始まるのは1995年。『トイレの花子さん』『女優霊』も1995年。『リング』1998年『呪怨』1999年でここら辺から怪談映画の流れを汲んだホラー映画がジャパニーズホラーと世界中で呼ばれる様になってくる。そこに至るまでにはオリジナルビデオで作られていたホラー作品からの流れというのも有るのだろう。
塚本晋也監督は『鉄男』(1989年)でデビュー。本作が2作目。かつての怪談映画と『鉄男』のサイバーパンクホラーが高速移動撮影で合体して怪談映画とジャパニーズホラーとを繋ぐ重要な作品となったのではないだろうか。と、ホラー映画あまり詳しくないけど適当な事を言ってみる。

高速移動撮影が面白いけどどうやって撮影しているんだろう?早回し?
映画最終盤の魂の昇天シーンは失礼ながら笑えてしまう。でも魂の昇天なんか誰も見た事無いわけで、実は本当にあんな感じなのかもしれない。

ジュリーとW主演と言ってもいい若者を演じている人はお芝居も上手いしどなたなんだろう?と思ったら工藤夕貴さんの弟さんだった。芸能界からは引退されているらしい。



クローブヒッチ・キラーを観た。2018年、アメリカ、1時間50分。
地方の町で一家4人で暮らす16歳の少年タイラー。敬虔なキリスト教徒が多数を占める住人たちの間では些細な事が大事となって瞬く間に町中に噂が広がる。誤解により噂の標的となってしまったタイラーはその誤解を解こうとする内にこの町で過去に起きた未解決の連続猟奇殺人事件の犯人が父親ではないかと疑い始める。

ネタバレ有。

実の親子の間での疑心暗鬼にどう決着を付けるのだろう?という点には興味津々だったけど、もし父親が犯人だったら。という所での息子の葛藤についてはあんまり踏み込んでいないように感じた。でもそこは難しい所だろうなと思う。もっとエンタメ寄りに振り切って心の葛藤も初めから無くしてしまえばサイコホラーとして面白くなったのかもしれないが、でもそれを良しとはせず、息子が生まれてから16年間、偽りの部分は有ったかもしれないけど親子関係は良好であったわけだから葛藤が生じるのは当然なわけで、でもそこを深く突き詰めていってしまうとヒューマンドラマになってしまって、実は父親が連続殺人犯だったというサスペンスホラーとしての面白さは失われる可能性もある。という所でのバランスがやや上手くいかなかったのかなと思うが、ラストシーンでヒューマンドラマとサイコホラーが上手い事合わさった様に思える。

父親が本性を現して殺人鬼の異常行動を見せる辺りは気持ち悪さと面白さがごちゃ混ぜになっていてゾクゾクする感じで面白かった。ディラン・マクダーモットの新境地が開拓されたと思う。
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