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『レミニセンス』『隠し砦の三悪人』『偽りの隣人 ある諜報員の告白』 [映画]

『レミニセンス』を観た。2021年、アメリカ、1時間56分。
気象の変化により海面が上昇し続け大規模な戦争の後遺症も残り荒廃する世界。格差は広がり持たざる者たちは自分の中にある過去の幸せな記憶にすがる。戦時中には軍隊の尋問用に使われた脳に刻み込まれた記憶を再現する装置を使い訪れる人々の過去の記憶を辿る男は一人の女性と出会い結ばれるがある日突然女性は姿を消す。男は麻薬組織への捜査の協力で売人の記憶を辿っていた時にその記憶の中に女性の姿を見つける。

本作を観る前に渡辺麻紀さんが本作を「メロドラマ」と評していたのをチラッと目にしていて、人の意見に左右されやすいのでそうなんだと思いながら観ていたが、メロドラマと言うよりハードボイルドではないかなと感じていたが最後で思いっきりメロドラマになった。
ミステリーなハードボイルドとしては良かったと思うけどメロドラマになってしまうとあの物件の何十年分の家賃、光熱費は誰が払ってるんだろう?とか考えてしまうタイプの人間なので向いてない。

自分自身の記憶を映像として再現した時に自分自身の姿が映し出される事についてちゃんと説明が有って納得出来たのが良かった。安い旧式機材だと主観視点となりしかも2Dというのがなるほどなあと思った。

日本向けの予告ではノーランの名前を使っているが、クリストファー・ノーランは本作には直接的には関わっていない。関わっているのは実弟のジョナサン・ノーランで製作を担当。監督と脚本はジョナサン・ノーランの奥さんのリサ・ジョイ監督。
ヒュー・ジャックマンは2006年のクリストファー・ノーラン監督作品『プレステージ』に主演。『プレステージ』でジョナサン・ノーランはクリストファー・ノーランと共同脚本。



『隠し砦の三悪人 〈4Kデジタルリマスター版〉』を観た。1958年、日本、2時間19分。
戦国時代、二つの国の間で起きた戦に参加し一旗揚げようとした百姓二人。しかし戦には間に合わず悪い事に敗れた国の陣地にいたために追われる身に。なんとか逃げ延びた二人だったが自分たちの国への境には関所が設けられ容易には帰れない。取り敢えず腹が減っては何も出来ず米を盗んで炊こうとしたが薪の火の着き具合が悪く苛立つままに乱暴に投げ捨てると何故か金属音がし不思議に思い拾い直すと薪の中には敗軍が隠したとされるお国再興のための金の延べ棒が仕込まれていた。金が仕込まれた薪が他にも落ちているはずと探し回る様子を遠まきで見ている男の姿に二人は気付くのだった。

大分昔に1回だけ観た事は憶えている。確かレンタルで、DVDではなくビデオだったか。確か東宝の黒澤作品はビデオ化していなかったのがある時にされてその時に観た様な。
『ブルース・ブラザーズ』は劇中使用されている楽曲の権利の関係でビデオ化が難しく、『スターウォーズ』も中々ビデオ化されない作品ではなかったかと記憶している。
その当時でも『スターウォーズ』に影響を与えた作品という事で有名な作品でそればかりを気にし過ぎて観てしまったのがあんまり良くなかった印象。そう言われればそうなのかな。くらいの感じで今回は観たので面白かった。

ネタバレ有。

百姓二人が度々起こす小さな裏切り(未遂に終わる)が物語の行方を左右し、絶体絶命の時に「裏切り御免!」と大きな裏切りが起きる。あの場面での大きな裏切りに驚きを感じながらも物語の上で違和感なく馴染むのはそれ以前にその予兆として小さな裏切りが起きていたからなのではないかと思う。

2時間19分はちょっと長いかなとは思う。2008年のリメイク『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』は1時間58分。もしそれくらいだったらどうだっただろう。削る所なんか無いだろうけど。
リメイクの方は内容をかなり変えているみたいだがどんなだったか憶えていない。



『偽りの隣人 ある諜報員の告白』を観た。2020年、韓国、2時間10分。
1985年、軍事政権下の韓国。選挙を間近に控え現職大統領側にある国家安全企画部は再選を確かにするべく有力な候補予定者を自宅軟禁し共産主義者に仕立て上げ貶めるための偽装に必要な情報を盗聴により得ようと画策する。

てっきり実話の映画化と思って観たが、軍事政権下での社会状況等の時代背景は当時そのままを再現し、登場人物や本作の中で起こった出来事はあくまでフィクションという事らしい。それでも金大中氏がモデルであろうという事は言われているみたい。実際に金大中氏が大統領になるのは1998年。

シリアスな物語ながらコメディ要素で引き付ける。そして次第にシリアスを前面に押し出して更に引き付けた所に主人公が大活躍する見せ場も持ってくる。『タクシー運転手 約束は海を越えて』も似た感じだったけど主人公の見せ場が必要なのか?と思ってしまう。それが韓国映画の良さで有るかもしれないけどシリアスなままで派手な見せ場は無くても良かったんじゃないかと個人的には思う。例えば日本での金大中氏事件を描いた阪本順治監督作品の『KT』みたいな。『KT』にコメディ要素は無くずっとシリアスだったか。

韓国には大泉洋さん、なだぎ武さん、つぶやきシローさん、バカボンのパパに似ている役者さんたちがいるのだなあと思いながら観ていた。
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