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赤鼻のトナカイ・イン・三田 [トナカイ]

男が目覚めたのはベッドの中。ぼんやりとした目で時計を見ると真夜中3時。起きるのには早過ぎる。
温かさがこもった布団から足を出すとひんやりとして気持ちいい。
まどろみの中それまで見ていた夢を思い出していた。

トナカイたちと一晩で世界を駆け巡り、やけに感傷的になってトナカイたちと共に宇宙に飛び出し、人喰いトナカイに食べられ、トナカイたちと一体化して地球によく似た星を壊滅状態に追い込んだ。
そんな夢だったが、なんだか現実に起こった事のようにも思える。
足が冷えてきて温かい布団の中に戻す。二度寝する時間はまだ有った。


その夢から男はやけに赤系の服を好むようになった。
沸き上がる食欲が抑えきれない。食べても食べてもなんでもおいしい。男の名前は三田。かつて「やせっぽちのミタ」と言われていた男の見る影はもうない。
紛らわしい話ではあるが三田は東京港区の三田に住んでいたため甥っ子姪っ子からは「三田のおじさん」と呼ばれていた事も付け加えておこう。
髭を伸ばすようになりその髭や髪の毛に白髪が目立ってきたがそれも気に入っている。顔の血色はツヤツヤで気が付くと自然に笑顔でいる自分にも気付いた。


三田は心の中にざわつきを感じている事にも気付いていた。何か、何事かを自分はしなければならない。だが、その何かが分からなかった。
そんな時に動画配信サイトで動物たちが走り回る映像を見るとなぜか心が安らぐのだったが、犬ぞりの映像を見た時は逆に今にも爆発しそうな衝動を感じ急いで画面を閉じた。
三田は長いひも状の物を目にした時にも同じ衝動を感じていた。ホームセンターでロープ売り場に立ち入ってしまった時には思わず失禁してしまったほどでそれ以来ロープ売り場には近付かないようにしている。


三田はハンドメイドでそりを作り上げた。SMグッズ通販サイトでムチを手に入れた。白いぼんぼりの付いた赤いナイトキャップを被り服装も上下を赤で揃えた。
問題が一つあった。犬、猫を手始めに様々な動物をそりにつないで走らせてみるがどうにもしっくりこない。
やはり夢の中のあの動物しかいない。三田は出会うトナカイに片っ端から声をかけてみるがトナカイたちにその気は無かった。
どうにか拝み倒してトナカイをそりにつなぐと三田は一気に高揚した。
ムチが快調にうなる。三田にはトナカイたちがどこをどの様にどんなタイミングでムチ打たれて欲しいかが手に取るように分かるのだ。
ピシッ! ブヒヒー!! ピシシッ! ブヒヒヒヒーン!!!
トナカイたちは恍惚の表情を浮かべ全力でそりを引っ張った。
これだ! これが自分の為すべき事だ。三田はその時はっきりと確信した。


決行は聖夜と決めた。意味など無い。ただその日こそがやるべき日なのだ。
だがしかしわずか一晩で世界を駆け巡れるのだろうか。常に付きまとう疑問を振り払うかの様に三田は雄叫びを上げそりを走らせ始めた。

冬の夜は暗く寒い。その中を猛スピードで駆け抜けるとなると明かりも欲しいし暖も欲しい。三田は走り出してからその事に気付いたが時は既に遅かった。
視界の無さに不安が募り、凍える寒さに震えあがった。
その時、三田の中でブヒヒン、ブヒヒン、ブヒヒヒヒンと声がし三田の鼻が赤く輝きだした。
その光で三田とトナカイたちが進む先は明るく照らされ赤外線で体の芯から暖まると自信を取り戻した。

三田が雄叫びを上げムチを振り、トナカイたちはそれに応えてそりを引っ張っる。
三田の鼻は真っ赤に光っていた。三田は自分の中に何か特別な存在がいる事を感じ取っていた。
ゴールはもうすぐそこだった。



真っ赤なお鼻のトナカイさんは

いつもみんなの笑い者

でもその年のクリスマスの日

サンタのおじさんは言いました

暗い夜道はピカピカの

お前の鼻が役に立つのさ

いつも泣いてたトナカイさんは

今宵こそはと喜びました
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月面探査記

0:22 ペロ? チロと呼ばれたりシロと呼ばれたりする事もあるらしい。






月ってめちゃめちゃ寒そうな気がするんだけど実際どうなんだろう? 太陽の方に向いてる時は無茶苦茶熱そう。そこら辺の事はドラえもんの道具でなんとかするのか。

映画の公開時期頃に中国の月探査機が月の裏側に着陸するんだろうか(もっと早いみたい)。月の裏側と地球との通信を可能にするための通信衛星を既に打ち上げ済みとか、ゼロ・グラビティでの中国が宇宙開発の先進国(オデッセイでもそうだったか)というのは未来の話かと思っていたけどもう現実にそうなんだなあと改めて思い知らされる。
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