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柔道龍虎房 [映画]

柔道龍虎房を観た。香港、2004年、1時間35分。
将来を有望視されながら柔道界から姿を消した男。現在は雇われ店長としてバーで働きながら自身も酒に溺れる生活をしていた。そんな男の元に不思議と柔道に関係した者たちが集まってくるのだった。

ジョニー・トー監督による柔道青春映画。主演のルイス・クー、アーロン・クォックが2004年だと恐らく30代の頃だろうと思うので青春と言うのにはいささか抵抗は有るけど内容自体は青春映画と言って何の問題も無い。登場人物の年齢設定は20代なのだろうか。
香港映画らしいと言うかノワール映画じゃ無い方のジョニー・トー監督らしいと言うか深刻な事態になってもそんなに過剰にどんよりしないのがいい。だからといって話の内容が無いのかと言うとそんな事は全然無くて、他者に寛容である事とか、不条理とも言える人生を受け容れて前に進んでいく事とかそんな事が描かれている。
そういう心境に達せられるのは柔道、柔の道を進んでいるからなのかもしれない。柔よく剛を制すの心持で。この映画自体もそんな感じの柔の道の精神が宿った作品になっていたと思う。

配信で探しても無かったので宅配DVDを初めて利用した。複数枚借りると安くなるという事で別の作品も1本借りたけど、機械が悪いのか何なのかよく分からないがそちらは再生出来なかった。問い合わせるのも面倒臭いのでそのまま返却。
DVDなので特典映像も観れた。ジョニー・トー監督のインタビューでは黒澤明監督の姿三四郎にインスパイアはされていて黒澤監督への敬意も有るけど姿三四郎という作品にはそれほど強い思い入れは無いような感じだった。
インタビューではバーでの4つのテーブルのシーンの事もお話しされていて、撮影がかなり大変だったと。その話を聞く前にそのシーンを観た時は単に面白いシーンだなと思ったけど、確かに撮影の事を考えたらものすごく大変だろうと思う。4つのテーブルで起こる事が同時進行で描かれていて、テーブルの間隔が密なので1つのテーブルで何かが起きているその横とか奥では別のテーブルでも何か(ジャンケンとか)が起きている。別のテーブルで起きている事へのリアクションなんかも有るし。そのシーンのその場での状況は混乱しているのだけど、観ている側からしたらそんなに混乱する事無く観られて面白い。よっぽど考えて計算して撮影されているのだろうと思う。

2004年の作品(日本での公開は2006年)だからなのか病院のシーンで病院関係者は全員がマスクをしていた。香港がSARSで大変だった事が反映されているのかもしれない。
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