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ノマドランド、砕け散るところを見せてあげる [映画]

ノマドランドを観た。2020年、アメリカ、1時間48分。
夫と死別し町も不況で廃れ行き場を失った女性は家財一式を積んだRV車での生活を始める。

他人から見れば不幸な境遇と見なされる女性の生き方かもしれない。でも当の本人からしたらその生き方に最初は抵抗が有ったけど次第に受け入れていた様に思える。実際何を望んで何を考えていたかはハッキリしている所としていない所が有るが、そこは敢えてハッキリさせずにそして女性の車中生活や同じ様な生き方をしている人たちとの関わり等を丁寧に描写する事で観客が主人公に自分の姿を投影させやすくしているんじゃないかと思う。だから主人公が何を考え何を望んでいたか、そして最後にはどこへ向かったのかをどう思うかは観た人それぞれで違っていいし、主人公の考えや行動に共感するのもしないのも人それぞれの判断でいいのだろうと思う。

今日発表された今年のアカデミー賞で作品、監督、主演女優賞を獲得。今年作品賞でノミネートされた8作品の内で発表前に唯一観た作品。日本では公開前の作品も有る。
他の部門も含めてノミネート作品で観たのと言えば『続・ボラット』(助演女優、脚色)、『この茫漠たる荒野で』(音楽、撮影、美術、音響)、『ユーロビジョン歌合戦 ファイア・サーガ物語』(歌曲)、『グレイハウンド』(音響)、『ミッドナイト・スカイ』(視覚効果)、長編アニメーションの『ひつじのショーンUFOフィーバー』『2分の1の魔法』『ウルフウォーカー』。
授賞式で気になったのは惜しくも受賞ならなかったが『ユーロビジョン歌合戦』でノミネートされた歌を舞台でウィル・フェレルは歌ったんだろうか。
どうやら歌ってないらしい。レイチェル・マクアダムスの吹替えをした人が現地(?)で歌ったみたい。


興味が有るのは視覚効果でノミネートされた『ゴリラのアイヴァン』。ディズニー+で配信されている。ディズニーで動物が喋るのも最近じゃ珍しい様な気がしたが実写版のジャングル・ブックが有ったか。ライオン・キングも有ったし。ライオン・キング観てないけど。




砕け散るところを見せてあげるを観た。2020年、日本、2時間7分。
常に人のために戦うヒーローでありたいと願う高校三年生男子は偶然同じ学校の一年生女子への同級生からのいじめの現場に遭遇した事からヒーローとしてその問題に積極的に介入していく。

池袋シネマ・ロサにて。

SABU監督の作品に堤真一さんが出るのも久し振りだなあと思って観た。

いじめられる女子生徒の境遇が不憫過ぎ。それでも健気な所が泣ける。健気さの見せ方(演技、演出)に悪い意味でのあざとさを感じないでもないが。
そういう健気さも含めて登場人物、主に主要人物の二人の感情だとか心理を事細かに見せる所にまどろっこしさを感じる。丁寧も程度が過ぎるとまどろっこしさになってしまう。観ている側の誰もが理解出来るように、そして作っている側が観客にどう思って欲しいかを明確にするためには最適な手段なのかもしれない。
ノマドランドでは観た人それぞれがそれぞれの感じ方をしていいとするのに対して、本作はみんながみんな同じ感動を共有したいという観客側の願望に沿っている様な。個人的には人それぞれのノマドランドの方がいいんじゃないかと思うし、感動を共有するために人の死を便利なものとして扱うのもいつもながらにさすがの日本映画だけどあんまりいいとは思えない。
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