ロックンローラ [2009年3月に観た映画]
『ロックンローラ』
“ROCKNROLLA” (2008・イギリス) 1h54
製作・監督・脚本 : ガイ・リッチー
出演 ; ジェラルド・バトラー、トム・ウィルキンソン、マーク・ストロング、タンディ・ニュートン、トビー・ケベル、カレル・ローデン
ガイ・リッチー監督が英国裏社会群像クライムサスペンスコメディに帰ってきました。
やっぱりガイ・リッチー監督は英国裏社会群像クライムサスペンスコメディを撮らせたら面白い・・・と言いたいのですが、途中で睡魔に襲われ意識を失いかけた所があったのでなんとも言えない。
登場人物が多くそいつらが入り乱れるガイ・リッチー作品では、ちょっとでも見失ったら全体を見失う事になりかねない。
ただ前作の『リボルバー』よりは面白い事だけは確か。それだけは分かります。
『リボルバー』ではリュック・ベッソンと組み、本作ではジョエル・シルヴァーと組んでいます。
ジョエル・シルヴァーとの方が相性が良かったみたい。
ガイ・リッチー監督はこの路線で行った方が良いのかと思いますが、ダニー・ボイル監督が『スラムドッグ$ミリオネア』で名監督の評価を得ているのを見て、また違う方向に行ってしまうかも。
その『スラムドッグ$ミリオネア』。映画館で見た宣伝(予告で無く)にはやっぱりみのもんたさんが出ています。
それは当然そうなっちゃうよなぁ。とは思うものの、作品に合っているのか?という点ではそうではないような気がします。
睡魔との対戦成績はかなり分が悪いですがこの日は何とか持ちこたえました。
映画を観る際の必需品ブラックブラックガムではさほど効果は有りませんでしたが、凶悪ロシア人2人組、(勝手に)名付けて“ロシアン・ターミネーターズ”の不死身っぷりですっかり目が覚めました。
とにかく最高でした“ロシアン・ターミネーターズ”の不死身っぷり。
7つの贈りもの [2009年3月に観た映画]
『7つの贈りもの』
“SEVEN POUNDS” (2008・アメリカ) 2h03
監督 : ガブリエレ・ムッチーノ 製作・出演 : ウィル・スミス
出演 : ロザリオ・ドーソン、マイケル・イーリー、バリー・ペッパー、ウディ・ハレルソン
ネタバレあり。
感動作と言われれば確かに感動できる部分も有り、主人公が下した決断には共感(理解)できない所も有り。
なんか感動させるためだけのドラマと言うか。感動を強要させられていると言うか。
感動作なんだから当たり前と言えば当たり前なんだけど。
主人公が綿密に立てたある計画。
一つ欠点が有るとすれば、ブラックマヨネーズ吉田さん風に言うと
「お前、野生の生き物の気まぐれさ見くびんなよ」といった所でしょうか。
「まさか氷水の中に入れるとはな。」
つみきのいえ [2009年3月に観た映画]
『つみきのいえ』
(2008・日本) 0h12
監督 : 加藤久仁生
アカデミー短編アニメ賞受賞記念凱旋上映。
TOHOシネマズ六本木ヒルズにて。
本作はDVD『pieces of love』シリーズの「vol.1」に収録されています。
なので今回はその『pieces of love』シリーズ「vol.2」に収録されている実写短編2本「日にち薬」と「It’s so quiet.」を抱き合わせで上映。
その2本は甘酸っぱい青春スケッチという感じ。
出演している若手実力派女優さんたちの実力の程を存分に見せてもらいました。
今時の女子高生っぽさの中に自分達の個性も魅力的に発揮。
ただアカデミー短編アニメ賞を受賞した『つみきのいえ』目的で観に来たのに、そんな甘酸っぱい青春スケッチを観せられてもなぁ。という思いも無きにしも非ずでした。
短編3本で40分ぐらい。で、料金1000円。若干のぼったくられ感も無きにしも非ず。
気分的にはワンコイン500円ぐらいの感じ。
残り500円は加藤監督へのご祝儀(少ないですが)と思えばぼったくられ感も幾分か和らぎそう。
それなら加藤監督の他の作品を観たかった所です。
3本目にお目当ての『つみきのいえ』の上映。
長澤まさみさんのナレーション有りバージョンも有るらしいですが、今回は無しバージョン。
手塚治虫先生のエッセーを読んだ時にどなたかの言葉を紹介されていて、それは「未来は容赦なく刻一刻と近付き、現在は一瞬で通り過ぎ、過去は膨大に積み重なる。」みたいな内容だったと思います。
それを読んで時の流れの残酷性を感じてゾッとしたのを覚えています。
本作は一人の御老人が積み上げてきた過去がテーマとなっていますが、それを郷愁として温かく描いていますのでゾッとする事は有りませんでした。
これから先ずっと「アカデミー賞受賞作品」を金看板として高々と掲げる事になると思いますが、「アカデミー賞受賞作品」を過度に期待するのはちょっとアレかも。
地味だけど良かった。良かったけど地味。どっちとも言える。
何の予備知識も無くたまたま目にしてジワァ~と感動。みたいな出会いが理想的な作品のように思えました。
パッセンジャーズ [2009年3月に観た映画]
『パッセンジャーズ』
“PASSENGERS” (2008・アメリカ) 1h33
監督 : ロドリゴ・ガルシア
出演 : アン・ハサウェイ、パトリック・ウィルソン、デヴィッド・モース、ダイアン・ウィースト
飛行機墜落事故。その後に起こる不可解な出来事の真相は。
激しくネタバレ有り。
正直、事の真相に至るまではどうしようもなく退屈でした。
正直、事の真相もある程度予想出来ました。
が、観終わると何故か感動。
思うにあの世界は死後の世界。なのですが、そう取るよりも一つの可能性の世界。と取った方がいいのかと思います。
思いもよらない事故で人生が終わってしまった人たち。その人たちがもし事故が無かったらこうなっていたのかも。という可能性。
事故が起き絶望的状況の中でその可能性に繋がる運命の出会いが有った。
それを出会っただけで終わる事になってしまった皮肉としてではなく、最後に運命の人に出会えた事によって絶望の中で絶望のまま人生を終えたのではなく、少しでも未来を予感し前向きな気持ちでいられた。という所が悲しくも有り、でも感動。
皮肉ではなく前向きと思えたのはアン・ハサウェイによる所が大きかったと思います。
最初の内はこの人はシリアスモノは合わないんじゃないかと思っていました。顔の雰囲気が完全に陽の人なので。だから『ブロークバック・マウンテン』でもやや浮き気味な気がしました。
でも最後に見せるアン・ハサウェイの陽100%の笑顔、絶望の中で可能性の未来を予感した笑顔でこの映画は全てが救われたのだと思いました。
どうしようもなく退屈なのは事の真相を悟らせない為だと思います。
でも思い返すと冒頭の病院のシーンで真相に関係する人たちがチラッと出ていたような。
そういう伏線も所々で張り巡らしていたのかもしれませんが、それが映画の面白さとして機能していなかったような。
ディファイアンス [2009年3月に観た映画]
『ディファイアンス』
“DEFIANCE” (2008・アメリカ) 2h16
製作・監督・脚本 : エドワード・ズウィック
出演 : ダニエル・クレイグ、リーヴ・シュライバー、ジェイミー・ベル、ジョージ・マッケイ、アレクサ・ダヴァロス、ミア・ワシコウスカ
臨場感ある戦闘シーンを盛り込み、時代に埋もれた過去を描く。
エドワード・ズウィック監督お得意の映画。
エドワード・ズウィック作品には観た限り覚えている限りでほぼ全てに戦闘シーンが有る印象。
初めに戦闘シーン有りき。戦闘シーンが撮れるかどうかが製作基準なんじゃないだろうか。
本作の場合第二次大戦での出来事なので戦闘シーンは必要不可欠ですが、クライマックスの戦闘シーンはここで盛り上げないと。というハリウッド的な帳尻合わせのように思えてしまった。戦車出てくるし。
全体が戦争アクションエンターテイメントな映画ならその事に関して全く不満は無かったと思うけど、この映画はそうではないのでそこだけ浮いてしまった感じがする。
宣伝などでは主人公たちは3兄弟となっているけど実際は4兄弟。末っ子クンは無視。
最後で兄弟たちのその後がテロップで紹介されても末っ子クンだけは無視。なんで?
少年メリケンサック [2009年3月に観た映画]
『少年メリケンサック』
(2008・日本) 2h05
監督・脚本 : 宮藤官九郎
出演 : 宮崎あおい、佐藤浩市、ユースケ・サンタマリア、木村祐一、田口トモロヲ、三宅弘城、勝地涼、ピエール瀧、田辺誠一、峯田和伸、佐藤智仁、波岡一喜、石田法嗣
パンク最高!でもって年取ってもパンクでいられたらもっと最高!
という映画ですのでパンクが何たるかを知らず、パンクの良さが分からないので若干引き気味で観てしまいましたが、そのパンクの部分をそれぞれ自分の好きなものに置き換えて観れば良いのだと思います。
宮崎あおいさんの弾けっぷりが可愛かった。
ちゃんとクドカン仕様の弾け方になっている所が上手い。
佐藤浩市さん、『ザ・マジックアワー』に引き続きダンディなおじ様イメージをぶち壊していて面白い。
TELYAはもっと面白い。アンドロメダアンドロメダアンドロメダ・・・
ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー [2009年3月に観た映画]
『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』
“STREET FIGHTER: THE LEGEND OF CHUN-LI” (2009・アメリカ) 1h37
監督 : アンジェイ・バートコウィアク
出演 : クリスティン・クルック、ロビン・ショウ、ニール・マクドノー、クリス・クライン、マイケル・クラーク・ダンカン
人気格闘ゲーム『ストリートファイター』の人気キャラクター、チュンリーを主人公にした映画。
『ストリートファイター』に関しての知識はほとんど有りませんが、アクションシーンを楽しめればいいかなと思い観ました。
残念ながら端っこの方に座ってしまったので、アクションシーンの出来がどうだったのか今イチ分かりませんでした。
楽しみにしていたアクションシーンは楽しめませんでしたが、他の所で楽しめました。
それは、チュンリーのお師匠さん役を演じたロビン・ショウがナンチャンにそっくり。特に頬骨の辺り。
最初の内はちょっと似てるかも。ぐらいでしたが、段々とナンチャンにしか見えなくなってきて、なんかウッチャンナンチャンのコントを久し振りに見ているようで面白かった。
ロビン・ショウとトニー・レオンが共演したら正にウッチャンナンチャンの再現となりますが、残念ながらトニー・レオンは本作に出ていない。
となると本作ではクリス・クラインがウッチャンという感じですが、残念ながら本作の中でロビン・ショウとクリス・クラインの絡みは無かった。
それにクリス・クラインはウッチャンと言うより「へのへのもへじ」に似ている。
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チェンジリング [2009年3月に観た映画]
『チェンジリング』
“CHANGELING” (2008・アメリカ) 2h22
製作・監督・音楽 : クリント・イーストウッド
出演 ; アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ、ジェフリー・ドノヴァン、ジェイソン・バトラー・ハーナニ、マイケル・ケリー
ネタバレあり。
イーストウッドらしい映画でした。
イーストウッド作品にちょっと危ない暗黒面が有るのは周知の事実ですが、本作の暗黒面は半端なかった。
どーすんだ?と思うほどでしたが、それを経て権力に立ち向かう反骨精神を見せる所もまたイーストウッドらしい。反骨こそがイーストウッド。
子供を奪われた女性が色々有って正義に目覚めて終わる。というのも有りかと思いました。多分『ルーキー』辺りのイーストウッド作品ならそうなっていたのかも。
しかし今や巨匠と呼ばれるイーストウッドですからそんな感じでは終わらなかった。
ちゃんとヒューマンドラマとして締めくくっていて流石と思いました。
今や巨匠のイーストウッド。その巨匠のイメージって多分『ミスティック・リバー』辺りからではないだろうか。
『許されざる者』でオスカー獲っていますが、それ以降もミステリー、サスペンス、宇宙モノ(SFではなく)などを撮っていて巨匠というイメージではなかったような。
しかし日本の映画評論家の方々の間では『ミスティック・リバー』より遥か以前からイーストウッドを名監督とする見方の方がかなりいたようで、宇宙モノの『スペース カウボーイ』がキネマ旬報の外国映画ベストテンの1位を獲った時には正直驚きました。
『スペース カウボーイ』良かったけど、1位はどうなんだろう?と。
で、調べてみたらイーストウッド作品がキネ旬外国映画1位を獲った作品、『許されざる者』『スペース カウボーイ』『ミスティック・リバー』『ミリオンダラー・ベイビー』『父親たちの星条旗』と5本も有りました。
しかも『ミスティック・リバー』からは3年連続1位。
その方々からするとイーストウッドが今や巨匠と呼ばれる様になったのは大変喜ばしい事だと思われます。
自分もイーストウッド好きですが、監督としてよりも俳優として好き。
監督としては巨匠と言うより職人監督だと思います。
壮大なストーリー、圧倒的映像、華麗なテクニックが有る訳ではなく、今まで積み上げてきた映画撮影術を作品毎に淡々と更に積み上げる。
だから退屈と言えば退屈な部分も有ります。
でも商業重視のハリウッドでそれが出来て、しかも数年の割合で新作が撮れるのはイーストウッドぐらいしかいないかも。
それなら巨匠と呼ばれるのは至極当然かもしれません。
また、イーストウッド作品全ての根底に有ると言っていい反骨精神。
近年の作品ではその反骨な生き様も含めて評価されている様に思えます。
それならば巨匠というよりむしろ大巨匠と呼びたい。反骨の大巨匠。
イーストウッド作品と言えばキャストが地味。
今回もやっぱり地味。地味ながらも良かったですけど(聴聞会で熱弁をふるう弁護士の方は今イチでした。熱弁と言うよりただ怒鳴っているだけ。)、もうちょっと有名どころを使ってもいいのではないかと思います。
しかしながら次回作『グラン・トリノ』もやっぱり地味。イーストウッド以外はほとんど知らない人ばかり。
本作では娘さんのモーガン・イーストウッドが出ているらしい。
アンジェリーナ・ジョリーに息子を見かけなかったか聞かれる女の子2人組。そのセリフの有った方ではないかと見ています。
で、『グラン・トリノ』では息子さんのスコット・イーストウッドが出ているらしい。
誰との間の息子さんかは分かりません。奥さんもお子さんもいっぱいいるから誰が誰やら。
アンジェリーナ・ジョリーもうっとり。
『チャンジャイカリング』
こちらはちょっとご立腹。
『チャンジャオニオンリング』