ワン チャンス [ワ行の映画]
『ワン チャンス』
"ONE CHANCE” (2013・イギリス=アメリカ・1h44)
監督 : デヴィッド・フランケル
出演 : ジェームズ・コーデン、アレクサンドラ・ローチ、コルム・ミーニイ、ジュリー・ウォルターズ、マッケンジー・クルック
イギリスのスター発掘番組の出場をきっかけに夢であったオペラ歌手となった男の実話。
日本でもワイドショーなどに取り上げられた事も有りどういった結末になるのかは分かっていたけどそこに至るまでの詳細はよく知らなかったので興味を持って観る事は出来た。
なぜ主人公のオペラ歌手としての実力はその番組に出るまで知られなかったのか?という所が疑問だったのだけど、実力については知っている人は知っているという事で世に出るためにその実力を発揮しなければいけない肝心な所でとことんツイていない人だった。
主人公はウェールズの出身で映画の舞台も主にウェールズ。ロケも多分ウェールズでされているのだろうし、出演者も英国系の人たちで固めているのだろうけど、どこかウェールズ感が薄めのような気がした。
それは監督がアメリカ人だから。という所も有るような気がするが、デヴィッド・フランケル監督は『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』の監督なのであまり悪く言いたくはない。
デヴィッド・フランケル監督の新作は?と、IMDBを覗いてみたところ新作はテレビムービーだった。どんな人が出てるんだろう?と見たらアン・キューザックという女優さんの名前が有って。ジョン・キューザックとはどんな関係?と調べたらお姉さんだった。ジョーン・キューザックのお姉さんでもあってつまりはキューザック家の長女さんだった。
フィルモグラフィを見ると主にテレビの方で活躍されているみたいだけどデビュー作はどうやら映画の『プリティ・リーグ』の様。どんな役で出てたんだろう?と思って調べたらアメリカ女子プロ野球リーグ一期生合格発表のシーンで合格者の名前が書かれている用紙の字が読めずに半べそかいている女の子だった。あのシーンが『プリティリーグ』の中でベスト3に入る好きなシーンなのであの女の子がジョン・キューザックのお姉さんである事を今更ながらに分かってなんか良かった。
窓から顔を出している女の子たちの中で向かって右端がアン・キューザック
ところで『プリティ・リーグ』の原題"A LEAGUE OF THEIR OWN"で画像検索をしてると『プリティ・リーグ』の画像の中に何故か本作で主人公を演じていたジェームズ・コーデンが混じってくるのだけど、どうやらイギリスのテレビで"A LEAGUE OF THEIR OWN"というスポーツ系のトークショー的な番組の司会をやっているみたいで意外な所で意外なつながり方をしていた。
主人公が働くケータイショップの店長役の人が面白かった。なんかで見た事有る人だなあと思ったら『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズで目ん玉がよく外れちゃう海賊の人だった。
2スクリーン増えた池袋HUMAXシネマズの新しいスクリーンで観た。
上映設備などには何の不満も有りませんが地下2階のこちらも移動手段はエレベーターだけみたい。混雑時はかなり厄介な事になりそう。早め早めに余裕を持って行動を。といった所でしょうか。
私が愛した大統領 [ワ行の映画]
『私が愛した大統領』
“HYDE PARK ON HUDSON” (2012・イギリス・1h34)
監督 : ロジャー・ミッシェル
出演 : ビル・マーレイ、ローラ・リニー、サミュエル・ウェスト、オリヴィア・コールマン、エリザベス・マーヴェル、オリヴィア・ウィリアムズ
ナチスの脅威にさらされている欧州。英国国王ジョージ6世はアメリカに協力を求めるためルーズベルト大統領の私邸を訪問する。二人はほどなくして打ち解け、国王は大統領の人柄に魅了される。その大統領のそばには別居中の妻を含め常に女性の姿が有った。
ルーズベルト大統領の隠された真実に迫る。では無くて、皆その事については承知しているけど(ウィキペディアにはその事についての表記は無かった)敢えて触れないタブー的な所に踏み込んでしまった映画なのかも。
本作はアメリカでは興行・評価ともにあまりよろしくなかったみたいだけど、現在でもアメリカ国民の間で人気のある大統領を貶められた。と思われてしまったのか。
ルーズベルト大統領について無知な自分なんかからしたら(日本が敵対国であった事もすっかり忘れていたのはいかがなものなのか)アメリカ大統領と英国国王の間でひそかに結ばれた友情を描く映画、知られざる歴史の裏側を描く映画として良かったと思う。
共に肉体的、精神的に何かしら弱みを持っていた大統領と国王の人間らしさをより出すために大統領の本性にも踏み込んでいかなければならなかったのでは。それをスキャンダル的に取り上げたのではなく。
ビル・マーレイが良かったのでルーズベルト大統領の本性を知っても悪い印象は無く。それはビル・マーレイだからなのかもしれない。
英国国王もいい人だった。国王は『英国王のスピーチ』でいい人の印象がすでにあったけど本作で更にいい人の印象が強くなった。演じるサミュエル・ウェストが良かった。
悪いやつら [ワ行の映画]
ワールド・ウォーZ [ワ行の映画]
『ワールド・ウォーZ』
“WORLD WAR Z” (2013・アメリカ・1h56)
製作総指揮・監督 : マーク・フォスター 製作・出演 : ブラッド・ピット
出演 : ミレイユ・イーノス、アビゲイル・ハーグローヴ、スターリング・ジェリンズ、ダニエラ・ケルテス、デヴィッド・モース
突如爆発的に世界中に広まったウィルス感染。感染者は非感染者を襲いさらに感染を広げる。
ウィルスの正体は?感染を防ぐ手立てはあるのか?元国連職員の男が家族と人類を守るため事態の究明に命を懸ける。
ネタバレ有。
先の読めない展開で面白かった。希望の星がまさかあそこでああいう事になるとは思いもしなかった。
ゾンビ映画+ウィルス感染パンデミック映画といった所。
ゾンビ映画でゾンビ問題に片が付く事はあまり無いけど、それをパンデミック映画として片を付けるその着目点が良いと思う。
一応の片は付いたけど一件落着とは言えないのでゾンビがそれに適応してまたひと騒動という続編になるのでは。
ゾンビ映画、パンデミック映画どちらも人間関係が殺伐となるケースが多いけど、本作の場合はあまりそこら辺の事は描かれず、人間同士の間では信頼とかいたわりとか優しい面が描かれているのが良かった。
主人公がジャンボジェット機の中で手りゅう弾を投げる時に一瞬ためらいを見せる。それは優しさなのか後先の事を考えての事なのかは分からないけど、あそこで一瞬ためらう事で主人公の人間性が出たような気がする。
イスラエル軍女性兵士
デヴィッド・モースがちょっと出てた。色んな意味で(主に毛)ジーン・ハックマンに似てきたなあと思った。
新宿ミラノ1にて。
ワイルド・スピード EURO MISSION [ワ行の映画]
『ワイルド・スピード EURO MISSION』
“FAST & FURIOUS 6” (2013・アメリカ・2h10)
製作総指揮・監督 : ジャスティン・リン 製作・出演 : ヴィン・ディーゼル
出演 : ポール・ウォーカー、ミシェル・ロドリゲス、ドウェイン・ジョンソン、ジョーダナ・ブリュースター、タイリース・ギブソン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、サン・カン、ガル・ギャドット、ルーク・エヴァンス、ジーナ・カラーノ
国家の全機能を24時間停止できる装置を作り上げようとする悪党を捕まえるために駆り出されたドムたち。その悪党の中には死んだはずのレティがいた。レティを取り戻すためドムたちファミリーが悪党どもを追い詰める。
ネタバレ有。
見事なお祭り映画。お祭りであるが故に終わった時に寂しさも感じた。でもまだ続きがあるとの事。
ジェイソン・ステイサムの登場が一番テンション上がったかも。多分今回少し話に出てきた悪役の兄貴なのだろうと予想したら、既にIMDBの7作目のページにはそのような役名で表示されていた。
今回でジャスティン・リン監督は卒業のようで。次回は『ソウ』のジェームズ・ワン監督だとか。
サン・カンは死んだみたいな事に今の所なっているけどこのシリーズはもはや何でも有りなのでどうなるかは分からない。サン・カンと仲の良かった女の人にしたって死んだとははっきりとは示していないし。女の人がなんかしらの大怪我して東京に名医がいてそれでサン・カンは東京に行ったのかも。
と妄想したけどウィキペディアによるとサン・カンも女の人も7作目には出ないみたい。
でもまだ分からない。このシリーズは何が起こるか分からない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
7作目の全米公開は来年の7月にもう決まっているよう。という事はもう撮影に入っているんだろうか。
東京も舞台になるらしいけどワイスピファミリー来日とかいう話しは聞こえてこないが。
ドウェイン・ジョンソンがブラジルでのテカりっぷりから「ベビーオイル」呼ばわりされてんのが面白かった。
確かにブラジルでのテカりっぷりは一人だけ尋常じゃなかった。
シリーズのスケールが大きくなるごとにブライアンの存在意義が薄くなってしまうのではないかという心配を勝手にしている。
今回も一応主役クラスのポジションは維持していたので良かった。
アメリカの刑務所への潜入はあまり意味が無かったようにも思えたけど、悪者に関するちょっとした情報を入手してそれが役に立ったみたいなので意味は有ったのだろう。
藁の楯 わらのたて [ワ行の映画]
『藁の楯 わらのたて』
(2013・日本・2h05)
監督 : 三池崇史
出演 : 大沢たかお、松島菜々子、山崎努、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、藤原竜也
経済界の超大物の孫娘を殺害した犯人の死に10億円の懸賞金が掛けられた。福岡の警察に出頭してきた犯人を東京まで護送しなければならないが10億円のために様々な者たちが犯人の命を狙っていた。
サスペンス映画だけど正直な所ハラハラドキドキはしなかった。観ている間は納得していたけど考えてみれば無茶な話ではある。
10億円で犯人の殺害を公募するよりも10億円でプロの暗殺者を探し出して依頼した方がより確実だったような気がしないでもない。
日本国民の大半が自分の命を狙っているという恐怖を犯人に味わわせる事も目的の一つだったのか。
そんな10億円の狂乱の中でも自分の仕事を全うしようとするSP。本作も『舟を編む』同様お仕事映画でその点はとても良かったと思う。
SPの信念と犯人の狂気がぶつかり合うシーンが良かった。
藤原さんが上手いという事は新境地とも言える犯人役で改めて分かったけど、上手いけど面白くはないという事も改めて分かった。そこら辺ディカプリオと似てるような。
一方で山崎努さんは面白さの塊といった所。表情や立ち姿だけで面白い。
本作の正式タイトルは『藁の楯』ではなく『藁の楯 わらのたて』。『藁の楯(わらのたて)』とか『藁の楯 ‐わらのたて‐』ではなく『藁の楯 わらのたて』。
という事は読み方は「わらのたて わらのたて」という事になるのだろうか。
なんだかロドリゲス・ロドリゲスみたいな。
ワイルド7 [ワ行の映画]
『ワイルド7』
(2011・日本・1h49)
監督 : 羽住英一郎
出演 : 瑛太、深田恭子、中井貴一、椎名桔平、丸山隆平、阿部力、宇梶剛士、平山祐介、松本実
超法規的組織ワイルド7が超法規的に悪を討つ!
個人的に苦手な監督だったので心配だったけど、アクションシーンが迫力あったし、クライマックスのワイルド7がチームとして結束していく様はベタながら良かった。
ただ、エンドロールのサービスシーンは要らなかった。やっぱりちょっと苦手。
クライマックスの場へと向かうためトレーラーを突き破りワイルド7登場!のシーン。下手すると失笑モノのシーンになりかねない所ちゃんとカッコよかった。
ワイルド7が追われる身となる所は若干説明不足のような気がした。
巨大な権力を持った男を追い詰めようとしたため追われる身となり、権力を持った男は権力が巨大過ぎたために国家から切られる。って所なのかと思う。
望月三起也先生の原作はちらっと読んだような読んでないような。『秘密探偵JA』や『優しい鷲JJ』の方が記憶に残っている。
なので先生の漫画のテイストは薄っすらながら分かっているはず。『俺の新撰組』も先生テイストの時代劇で面白かった。
本作でもクライマックスのどんでん返し(と言えるほどのものでもないかもしれないが)に先生テイストが表されていた様な気がする。
中井貴一さんの大振りパンチがダサカッコ良かった。
ミラノ1にて。公開日からの週末まで限定でミラノ1で上映。ロサで正月映画として観ようと思っていたけど、ミラノ1の誘惑に勝てず。
惑星戦記ナイデニオン [ワ行の映画]
『惑星戦記ナイデニオン』
“NYDENION” (2010・ドイツ・1h29)
製作・監督・原案・撮影・編集・音楽・出演 : ジャック・モイク
出演 : アネッテ・シュミーデル、マルコス・コウテラス
27世紀。120億人以上の死者を出す宇宙戦争が続いていた。帝国軍と連合国軍の間で秘密裡に停戦交渉が進められようとしていたが、帝国軍の強硬派が交渉の阻止に動いていた。
主人公は連合国軍側。と疑いもなしに思い込んでしまうのはなんなのか。むしろ帝国軍側に気持ちが動かなければいけないのが日本人としてのありようなのでは。何か昔も今も変わらず連合側でしたが。みたいな錯覚をしてしまいがち。
ドイツの人はそこら辺のけじめがしっかりしていて主人公は帝国軍側の人間。
とかいうお堅いことは抜きにして映画はアナログ技術多めの特撮が堪能できる作品。CGには感じられない手作り感。
と言って決してチャチいという事のない最高級手作り特撮。
ストーリー的な部分での観るべき所は余り無いけど、それをカバーするのには充分すぎる特撮。
ジャック・モイク監督が何役もこなしている。俳優としての素質も有るように思えた〈ちなみに監督の奥さんも重要な役で出演。)。ただ、アクションスターとしての才能は残念ながら無かった。
池袋シネマ・ロサにて。
ワイルド・スピード MEGA MAX [ワ行の映画]
『ワイルド・スピード MEGA MAX』
“FAST FIVE” (2011・アメリカ・2h10)
監督 : ジャスティン・リン 製作・出演 : ヴィン・ディーゼル
出演 : ポール・ウォーカー、ジョーダナ・ブリュースター、ドウェイン・ジョンソン、タイリース・ギブソン、サン・カン、ガル・ギャドット、エルサ・パタキ、ヨアキム・デ・アルメイダ
ブラジルに逃れてきた一行はブラジル裏社会の超大物と対立する事になってしまう。FBIの凄腕追跡班も迫る中、一行は一発逆転の大勝負に打って出る。
シリーズ5作目は4作目同様、2作目と3作目の間の話だった。このまま永遠に3作目を追い越せない「アキレスと亀」方式で続いたら面白い。
いずれは追い越さざるを得なくなるんだろうけど。そうするとサン・カンの出番が無くなってしまう。
でも、本作の最後であの人の復活を匂わせていたのでサン・カンにも奇蹟が起きるかも。ストリートレーサーとしては死んだのさ。とかいって颯爽と登場とか。
シリーズオールスター総出演。確かに最後で総出演。
でもデヴォン青木は出ていない。ルーカス・ブラックは出られない。
1作目は『ハートブルー』のストリートレーサー版といった趣きで、2作目がお気楽バディムービー、3作目がトーキョー番外編。2作目も3作目もそれはそれで面白い。
4作目で正式な続編となり、5作目で超大作アクション映画に化ける。
ちょっと他には無いシリーズ。行き当たりばったりと言っていいのかもしれないけど。
この5作目自体も行き当たりばったりな感じで、でもここまで超大作に化けられると感慨深いものを感じてしまう。
しかしあの金庫の摩擦熱はハンパ無い。
わたしを離さないで [ワ行の映画]
『わたしを離さないで』
"NEVER LET ME GO” (2010・イギリス=アメリカ) 1h45
監督 : マーク・ロマネク
出演 : キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ、イゾベル・ミークル=スモール、チャーリー・ロウ、エラ・パーネル、シャーロット・ランプリング
高度に医療が発達したとされる社会で純粋培養された若者たち。
ネタばれあり。
残酷な映画だけどいい映画だった。
我欲のため禁断の領域に踏み込んだ人間。そこで生み出された物には純粋な魂が宿っていた。
しかしそれらに対する人間の見る目はあくまで物。魂などはむしろ無い方が都合がいい。
でも魂も心も感情も欲望も有って、だけど物という事を受け容れなければならない。
純粋であるから受け容れてしまうのだろうか。それとも受け容れさせるための純粋培養なのか。
三つ子の魂百までじゃないけどそういう教育を受ければそれを受け容れてしまう土壌が作られる。そこらへんは自爆テロとかと関連しているような。
その純粋さは残酷さによって生み出されたもので。しかしその純粋さは残酷さによって踏みにじられる。
踏みにじられる事によって純度を増す純粋さ。
おばさん二人と若いカップルの対峙→拒絶→受け容れ→終了。この一連の流れが純度を高めるための工程のようで。
その工程を冷徹に描ききる。その残酷さが映画としての質を高めていた。
残酷だけどいい。と思ってしまう事もまた残酷なのかもしれないけれど。
回想シーンをもっと長めにやられたらボロ泣きだったかもしれない。そこを抑制する所がイギリス映画らしさか。と思ったらマーク・ロマネク監督はアメリカ人だった。
アンドリュー・ガーフィールドの絶叫シーンが良かった。
あの子はちょっとアホなのかな?と思ったりもしましたが、ではなくて純粋なんだなぁとあの絶叫で分かりました。