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『マダム・ウェブ』『神探大戦』 [映画]

『マダム・ウェブ』 2024年、アメリカ、1時間56分。を観た。
1973年、ペルーのジャングルでコンスタンス・ウェブは探し求めていた蜘蛛を発見する。30年後のニューヨーク、娘のカサンドラ・ウェブは救急隊員としての日々を過ごしていた。

マーベルのヒーロー映画はもう観ないつもりでいたが予告を目にしたらタハール・ラヒムが出ていたのでちょっと気にはなっていた。そして観ようと思ったひと押しはダイアンが宣伝していたから。
ハリウッド大作の宣伝に映画と関係の無い芸能人を使う事に批判も有るけど、それきっかけで観てみようと思う人もいるわけだから一概に良くない事とは言えないかもしれない。と今度の事で思った。逆にこの人が宣伝しているから観る気を失ったという事も有るだろうし。



最上級の「スーを差し上げます。受け取ってください」の時だけ片仮名の「スー」になる。



本作はディズニーのマーベルヒーロー作品ではなく、ソニーの主にスパイダーマンを中心としたソニー・スパイダーマン・ユニバース(SSU)と知ったのは本編上映が始まってコロンビアのロゴが出てから。ディズニーとソニーのマーベルヒーローが全く無関係ではなくてそこら辺はややこしくてよく分かっていない。本作ではまだ2003年の話なので半分に減るのはこれから起こるのか、こちらでは起こらない事になるのか。
恐らくアニメの『スパイダーバース』シリーズともつながっているんではないかと思う。もしそうならさっぱり分からなくなってしまう。
ダイアンが宣伝に起用されたのは「ごいごいすー」の「すー」の部分だけでスパイダーマンとギリギリ薄く関わっているのかもしれない。

宣伝でマーベル映画初の本格ミステリーと言われているがどこら辺がミステリーなのかよく分からない。観客も推理するタイプのミステリーではなかった。カサンドラがどの様にしてマダム・ウェブと呼ばれるスーパーヒーローになったのかが描かれるという意味でのミステリーだったとしたら別にそういうのはこれまでにも有ったし。
予知能力がスーパーヒーローとしての能力として見栄えのするものなのかと言えば本作ではそんな事は無かった。スーパーヒーローでは無いけど予知能力を持つ主人公の映画で言えばニコラス・ケイジ主演の『NEXT ‐ネクスト‐』は面白かった。

タハール・ラヒムがこの後もハリウッド大作で活躍出来るのかと言えば本作だけで評価されると微妙なんではないか。

女子高校生三人(スパイダーウーマン?)の内の一人のシドニー・スウィーニーは実年齢は26歳で大人の女性。
アメリカの興行成績ベスト10に何週間もランクインしているこちらの方が実年齢に近い役なのかも。

ハリウッドエクスプレスでは何週間も上の動画の同じ映像が流れていて、シリアスな恋愛映画なのかと思っていたけど下の動画を観るとロマンチックコメディだったので観てみたい。




『神探大戦』 2023年、香港、1時間40分。を観た。
香港で起きた未解決の凶悪事件に関連した人物達が殺され殺害現場に「神探」のメッセージが残される。かつて神探(神の捜査官)と呼ばれた元刑事の男がその独特な捜査手段で犯人に近づいていく。

ヒューマントラストシネマ渋谷 "未体験ゾーンの映画たち2024"にて。
2022年の東京国際映画祭で上映されて、その後にも2回くらいかなり限定的に映画館で上映されたのをやっと観る事が出来た。

ジョニー・トー監督作品の脚本家で知られるワイ・カーファイ。『マッスル・モンク』(2003年)や『MAD探偵 7人の容疑者』(2007年)などでは共同監督も務めていて本作では単独での監督作品(脚本も担当)。
その『MAD探偵』の主人公と本作の主人公はどちらもラウ・チウワンが演じていてよく似ているが同一人物ではないみたい。すっかり忘れていたが『MAD探偵』の主人公の方は×んでた。
本作だけでも十分に面白いけどそれでも同一人物で違う世界線での物語として観た方がより面白いのだろうと思う。

本作での香港警察のオフィスの様に香港映画も小綺麗な感じになってしまっている様に思えるけど、本作にはかつての泥臭い雰囲気も感じられてそれが良かった。
最後に中国当局の圧力か忖度か何かは分からないが警察組織を褒め称える方向に行くと思わせてギャグに持っていくのが面白かった。それはラストシーンも含めての反骨精神の様にも窺えた。正義は必ず勝つ。の綺麗事だけではこの世の中は成り立っていないというのが『MAD探偵』と本作で描かれている事だろうし。



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ピピルマピピルマプリリンパ

ちゃんと観た事は無いけどエンディングが好き。


葦プロダクションが来年設立50周年。
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『ボーはおそれている』 [映画]

『ボーはおそれている』 2023年、アメリカ、2時間59分。を観た。
ボー・ワッサーマンは母に会いに行く予定だったが出発当日寝坊してしまい更には家の鍵を盗まれ外に出る事自体が難しくなっていた。その事を電話で伝えると母は不機嫌になりボーは途方に暮れ不安が押し寄せる。掛かり付けの医者に処方された薬を飲もうとするが水で飲むようにと言われていたため目の前にある食料雑貨店に駆け込まなければならなかった。その隙をついて大勢の者たちがボーの家に上がり込んで家の中をメチャクチャにするのだった。家の惨状に更に途方に暮れるボーが風呂に入る準備を整え再度母に電話をすると電話に出たのは荷物を届けに来た配達員だという。

よく分からない映画だった。

追記。
よく分からないはアリ・アスター監督にとっては恐らく褒め言葉。よく分からない映画を撮ろうとしているのだろうし。
宇宙規模で言ったら分かっている事より分かっていない事の方が圧倒的に多いはずで。それを分かっている範囲で物語を作るのが常識とされてきて、でも現実にはよく分からない事は起きるわけで。人間同士が殺戮兵器を使って大量に殺し合う戦争が起きるのも本当ならするはずが無いのに起こってしまう。戦争に関しては色々理屈は付けられそうだけど、よく分からないのに起きてしまう事を憶測とか希望的観測とかであれこれと理由付けしないで描いている。映画として大分誇張されている所は有るけど。だからよく分からなくて当然。
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『ダム・マネー ウォール街を狙え!』『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』 [映画]

『ダム・マネー ウォール街を狙え!』 2023年、アメリカ、1時間45分。を観た。
コロナ禍の2021年、コンピューターゲームの大手小売り業ゲームストップの株がヘッジファンドの空売りの対象となり株価が下落しヘッジファンドの目論見通りに事は進んでいた。ゲームストップの業績を評価する個人投資家でありユーチューバー"ローリング・キティ"でもあるキース・ギルは自身の番組でゲームストップ社への評価を訴えるが視聴者の反応は芳しくなかった。しかし地道な活動を続ける内にSNSを通じて個人投資家達の連帯が繋がり始める。

実際に起きた出来事を映画化。ゲームストップが社名なのも知らなかったしそもそもが株や経済の事が分かっていないので理解出来るか心配だった。実際最初の内はなんの事だかさっぱり分からなかったけど、途中で「階級闘争」という言葉が出てきてこれはそういう映画なのだという事が分かってからはとても面白かった。持たざる者達の持てる者への闘争、革命の物語であって、持たざる者達の最大の武器は信念と連帯であると。その姿が感動的だった。まあでもそれは映画であるからで美化されている所は過分に有って実際はどうだったのかは分からない。そもそもが全ての人が平等である事を目指した社会主義革命の様な崇高な志ではなかったわけで、持てる者たちだけが儲かるシステムになってしまっている現在の経済の仕組みをぶち壊して俺ら私たちも儲けたい。っていう事なのだろうし。社会主義革命も結局は崇高な志は続かなかったのだから一緒なのかもしれないが。
デジタル時代の現在の革命にはSNSが重要なアイテムであり、それはコロナ禍によってオンラインでの繋がりが顕著になった事で更に重要さが増した事が描かれている。でも結局はSNSを使うのは生身の人間であるのだというアナログな感情面も描かれていて浪花節的な所からは逃れられないのかもしれない。そういうのをズル賢い人は突いて意図的な誤情報や風評等を流して悪用したりもするのだろう。

キース・ギルのお父さん役の人は『ショーシャンクの空に』の看守役の人だった。クランシー・ブラウン。



『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』 2023年、アメリカ、1時間49分。を観た。
直情的な性格が災いして働き口を失ったマイク。まだ幼い妹アビーの養育権のために閉鎖されたレストランの深夜警備の仕事に就く。

世界的人気ホラーゲームの映画化。元々がどういうゲームなのかは分からないが映画化の際にはスティーヴン・キングが原作かの様な物語になっていてそれはそれで面白かった。
スティーヴン・キング関連ではないがホラー映画『チャイルド・プレイ』な要素も入っていた様にも思える。『チャイルド・プレイ』では子供の姿をした人形チャッキーの恐怖が描かれ、本作では動物の着ぐるみの姿をしたロボットたち。チャッキーの場合はだんだんと容姿がホラーバージョンに変わっていったかと思うが本作ではほとんど見た目が変わらない。最初から不気味ではあったけどあまり恐怖にはなっていない様に感じたが最後に出てくるボスキャラだけは何故かマッチョで厳つい。レストランのマスコットキャラなのに。この世に厳ついマスコットキャラが存在しないかと言えばそんな事も無いのだろうけど。ゆるキャラに対抗して厳キャラ。

いつ以来だか思い出せないくらいに久し振りにメアリー・スチュアート・マスターソンを見た。一目でメアリー・スチュアート・マスターソンと分かるくらいに見た目が変わっていなかったのは日頃の努力の賜物なのか。
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『サン・セバスチャンへ、ようこそ』『燈火(ネオン)は消えず』 [映画]

『サン・セバスチャンへ、ようこそ』 2020年、スペイン=アメリカ=イタリア、1時間32分。を観た。
ニューヨークの大学で映画を教えていたが現在は小説を執筆中のモート・リフキンは映画の広報の担当をしている妻のスーの仕事に付き添ってスペインのサン・セバスチャンで行われる映画祭にやって来た。付き添いの目的はスーと注目を浴びているフランス人映画監督との仲を疑っての事だった。

ウディ・アレン監督作品の主人公が男の場合はウディ・アレン自身が反映されていると言われるけど本作もやっぱりそうなんだろうなと思う。理屈っぽくて神経質で恋愛に関しては年老いても好奇心旺盛で。
かつてのヨーロッパ映画の名作への心酔は観ていない作品がほとんどなのでよくは理解できなかった。日本映画の話しも出てくるけどそんなに映画に詳しくない欧米人からしたらちんぷんかんぷんなのは、いくら"世界の何々"とか日本人同士で持ち上げても実際はそんなもんなんだろうという事が分かる。

他の作品では主人公はを演じている役者さんの演技もどこかウディ・アレンっぽい感じがしたりもするが本作のウォーレス・ショーンはそんな感じではなかった。ウォーレス・ショーンは初めて見る人かなあと思ったけど『トイ・ストーリー』シリーズの恐竜のおもちゃのレックスの声でお馴染みの人だった。

ネタバレ有り。

本作の結末では最終的に主人公は一人きりになって終わる。それがドラマチックなわけでもなくて、ただ一人きりになる。それがウディ・アレン監督が行き着いた死生観であり人生観なのかなあと思う。生きてる間はじたばたしてしまうけど死ぬ時は結局一人、死んだらそれまでと。死んだ後になってその人の事を追悼されたりしても当の本人が知る事は無くて。ウディ・アレンの場合は追悼されるだろうけど色んな事も言われるであろうと覚悟もしてるんだろう。



『燈火(ネオン)は消えず』 2022年、香港、1時間43分。を観た。
かつての名物であった夜の香港のネオンサインのほとんどが姿を消していた。ネオン職人であったビルが亡くなり妻のメイヒョンは失意に暮れていたがビルが内緒でネオンの仕事を続けていた事を知る。

2022年の東京国際映画祭で上映された時の邦題は『消えゆく燈火』。こういうのは誰の決定で決めるのだろう?

光輝いていたネオンが無くなりつつあるのは香港が様変わりしている事を象徴しているのは言うまでもない事なのだろう。 そう考えると中国への返還が大きかったと思えてしまうが、単に設置からの耐久年数の問題だったのかも。老朽化とかで大きな事故が起きてから汚名を残して姿を消すより美しい思い出だけを残して去った方がいいのかもしれない。実際違法設置による落下事故とかも有ったみたいだけど。
ネオンサインは減少し、その事を題材にした本作の様な叙情的な作品が香港映画で増えているようにも思えて、それも寂しいなとは思う。
個人的にも最近はなんだか昔の思い出に浸ってしまいがちになってしまっているようで。今の流行にあんまり乗れないのも年老いた証拠なのか。
こんな時こそ『クレヨンしんちゃん オトナ帝国』を観ればいいのかもしれない。しかし、『オトナ帝国』も2001年の作品で、懐古趣味を諫めるために23年前の映画を観るのは何のパラドックスなのか。
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『コット、はじまりの夏』『恋におちて』 [映画]

『コット、はじまりの夏』 2022年、アイルランド、1時間35分。を観た。
1981年、アイルランドの農場で暮らす9歳の少女コット。五人姉弟の中で人一倍おとなしいコットが家庭の事情によりひと夏の間だけ母側の親戚の家に預けられる。

コットの両親が共に自分達の子供に興味が無いのかと思っていたがラストシーンで父親の方に問題が有るのだろうと思えた。父親がもっとしっかりしていればコットが親戚に預けられなければならない家庭の事情も元々が無かったのだろうし。母親もコットに対して冷たい様にも思えたけど、子供達はまだ未成年だし自分は妊娠中だし夫婦仲も経済的状況も良くなさそうだしで、そんなのが重なればコットに対して冷たいと思える様な態度になってしまうのは理解出来る。
母親に比べると父親は子供じみていていつでも何かに対して不満を持っていて、それが子供達への態度に現れている様に思える。
親だって人間だからそうなってしまうのも仕方ないのかもしれないけど子供の成長に親の在り方、親と言うか大人と言った方がいいのかもしれないが、それはとても重要で、コットもこの夏の出来事によって本当に頼りになる大人たちとの出会いが有って、コットがこの先どの様に成長したのかは分からないけど多分いい影響になったのだと思いたい。

言語が英語ではなかった。ケルト語?なんかちょっとアラビア語に近いようにも聞こえたし、ドイツ語っぽく聞こえる所も有った。
ウィキペディアを見るとアイルランドの第一公用語がゲール語(第二公用語が英語で現在は主に英語の方が使われているらしい)という事でケルト語の中に分類されるとの事。



『恋におちて』 1984年、アメリカ、1時間46分。を観た。
ニューヨーク郊外に暮らすフランクとモリー。それぞれの家庭を持つ二人だったがクリスマス・イブで賑わうニューヨーク中心街で偶然に出会う。その時から好印象を持った二人はお互いをより深く知る事で恋におちる。

何故か109シネマズプレミアム新宿でひっそりと上映されていたので観た。製作40周年記念で?
109シネマズプレミアム新宿では意外な作品があまり知られる事無く上映される事が有るので料金はお高いけど行かざるを得ない。
今後『ミッドナイト・ラン』とか、『アビス』の144分版とか、『アルカトラズからの脱出』とか好きな作品で映画館では観た事の無い作品が上映される事を期待してしまう。他のお客さんが入らないかもしれないが。その時はよりお高いSクラスの方にしてしまうかも。本作は若干お安いAクラスの方。

本作も映画館では初見。大分昔に多分まだレンタルビデオの時代に観た事だけは憶えている。
大雑把にW不倫モノという印象だったけど改めて観て、確かにW不倫ではあるんだけどフランクとモリーが真面目な人間であるが故に許されない恋に悩んで葛藤する姿が描かれる純愛映画でもあるんだろうなと思った。
純愛映画としてだけで観ればいい映画ではあった。ただフランクとモリーに関しては純愛ではあるんだけど、不倫となればお互いの結婚相手もいるわけで、その結婚相手にしてみれば一線は越えていなかったとしてもただの浮気であってそれを純愛と言われても納得したくないだろうなとは思う。
その不倫のドロドロより純愛のときめきや爽やかさ、一途さを描く事を狙いとしている。音楽もそんな感じだった。

時間経過がちょっと分かりづらい。シーンが変わると何ヵ月か過ぎていたりする。モリーの旦那さんが突然モリーとフランクの関係を知っていたりするのはその間に何かが有ったという事なのだろう。

当然デ・ニーロとメリル・ストリープが若い。デ・ニーロが『タクシー・ドライバー』の時の面影がチラッとだけ見える。本作ではエキセントリックではない普通のデ・ニーロ。個人的にはどちらかと言うと普通のデ・ニーロの方が好き。ハーヴェイ・カイテルもダイアン・ウィーストも若い。ハーヴェイ・カイテルも珍しく普通。
本作のウール・グロスバード監督とデ・ニーロは1981年の『告白』で組んでいるが未見なのでいつか観てみたい。ロバート・デュヴァルとの共演。撮影以外ではお互いにロバートの愛称であるボブと呼び合うのだろうか?「ヘイ、ボブ」「ハーイ、ボブ」と。
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岡村和義晴臣

最後の指わちゃわちゃが好き。


https://www.youtube.com/watch?v=R6rAYRxnONA
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『エグザイル/絆』『千年女優』『エレクション 死の報復』 [映画]

『エグザイル/絆』 2006年、香港、1時間49分。を観た。
青春時代から共に裏社会で生きてきた五人の男、ブレイズ、タイ、ウー、ファット、キャット。
ウーが組織のボスであるフェイを襲撃するが失敗に終わり逃走。激怒したボスはブレイズとファットに始末を命令する。ウーの隠れ家を見付けた二人の前にタイとキャットが現れ五人が顔を合わせる。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。

ジョニー・トー監督は撮影時にも脚本が無い、もしくは完成していないという事を自身で話されるけどそれは多分ネタとしてそう言った方が面白いからではないかと思っているが、もしかしたら本作の場合は本当なのかなあと思える。かと言って支離滅裂なのではなくて、ある程度のストーリーは決まっていて(そうじゃなければ撮影スケジュールが組めないだろうし)その中で自由に撮影をしているんではないか。リッチー・レンの役柄は正にそんな感じで意外な所(前フリはちゃんと有る)でフラッと現れて登場シーンが終わったら姿を現さない。それがカッコ良かったしおいしい役でも有った。



『千年女優』 2001年、日本、1時間27分。を観た。
突然の引退で姿を消した大女優藤原千代子が30年振りに公式なインタビューに応じた理由は千代子の熱烈なファンでもあるインタビュアーが千代子にとって特別な思い入れのある物を渡したいと申し出たからだった。

去年の1月にも映画館で観ているがその時は4K化されての上映だったはず? 元旦に立川シネマシティでの"レジェンドアニメ 4K【極音】第1弾”でだった。第2弾が『カリオストロの城』第3弾が『AKIRA』で第4弾が今年に入って『スペースアドベンチャー コブラ』と続いている。
今回は今 敏監督作品のリバイバル上映企画で去年の9月に第一弾として『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』が上映されたのに引き続き第二弾として本作が全国で上映された。

作画監督は本田雄(ほんだ たけし)さん。どなたが作画されてるとかそんなには気にしてはいないし、そもそも誰がどのシーンを担当されてるのかはあんまりよく分からない。テレビの『クレヨンしんちゃん』の時の林静香さんの時だけはなんとなく分かる。いつか映画の方での作画監督も大変だろうけどして欲しい。
作画監督は全体の統一をとるのが大切な役割でもあるらしいけど、それでも「師匠」と呼ばれ認められているほどの凄腕アニメーターが手掛ければ作品の質は自然と上がる事になって、だから本作も作画面でも一流の作品になったのだろうと思う。
https://fullfrontal.moe/%e6%9c%ac%e7%94%b0%e9%9b%84/
本田雄さんのインタビュー。作画監督を務めた『君たちはどう生きるか』公開時のインタビューだけど今 敏監督についてもお話しされている。



『エレクション 死の報復』 2006年、香港、1時間32分。を観た。
香港最大の裏組織和連勝会で表向きは公正に行われる会長選挙。現会長のロクは二年一期の掟を破る事になる再選を目論み根回しに動いていた。有力候補であるジミーの黒社会から足を洗うための立候補はロクとの武力抗争へと発展する。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。

以前に一度観ているがここまで前作を上回るバイオレンスなのは忘れていた。単にセンセーショナルである事を狙ったのではなくて黒社会を描く上で必要なのは分かる。結局暴力がものを言う社会で暴力をエスカレートさせた者が権力を手にする。エスカレートさせ続けた挙げ句には破滅が待っているのも必然であって、本作では個人で破滅はしているけど組織としてはまだ破滅には至っていない。多分破滅まで描きたいんじゃないかと想像するけどもう18年が経っている。でも組織の在り方が変わりそうな事も示されていたので20年後の続きというのも有りそうな気はする。中国当局もかなり深く関わってきそうな。
そうなると香港=中国の合作映画になるんだろうと思うが中国映画は悪を絶対に許さないから裏社会の組織の破滅を描くには都合がいいのかもしれない。

原題にある"以和為貴"とは「和を以って貴と為す」という意味らしくて、裏社会であっても和が大事でその戒めとして各組織には和の一文字を入れるべしと定められている。その戒めはどこへやらといった感じで何とも皮肉が効いている。

今回の四本の上映作品を観てジョニー・トー監督作品ではサイモン・ヤムの役柄は他の監督の人の作品とは違うような気がする。どちらかと言うと好人物のイメージがあるサイモン・ヤムのダークな部分を炙り出そうとしているような。
ニック・チョンもジョニー・トー監督作品ではキレてる役が多い。バイオレンス映画であるからそういう役柄にはなるのだろうけど。
逆にラム・シューはコメディリリーフな扱いが多い。
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『哀れなるものたち』『エレクション 黒社会』『ブレイキング・ニュース デジタルリマスター版』 [映画]

『哀れなるものたち』 2023年、イギリス、2時間21分。を観た。
イギリス、ロンドン。外科医ゴドウィン・バクスター博士はベラ・バクスターと同居していた。博士は自由奔放に生きるベラを観察する様に温かく見守っていた。

本能と学習という事なのだろうと思う。小林啓一監督作品『恋は光』(2022年)の中で本能の対義語は学習であると言われて、そう言われればそうだなと納得した。本作の本能はかなりアダルトだけど学んで習って、そして考える事が大切なのだと。
博士にとってベラは研究対象であったけどそこに父と娘に似た感情を抱く様になる。
博士は何を研究していたのだろうか?勝手な想像だけど人間特有とも言える心は身体のどこの部分にどの様にしていつ芽生えて成長するのか?だったんじゃないだろうか。本能だけでは心は芽生えなくて、経験と学習によって芽生え育まれる。それは脳だけの間接的な経験だけではなくて身体を使った直接的な経験によって。
博士は自らも過酷な経験をしてきたという事だけど、それはあくまで博士の個人的な事であって、心が芽生える過程もその時は意識すらしていなかっただろうし。研究者としては観察する対象が必要でベラが現れて実行に移したのだろう。
人間という哀れな生き物は学習する事によってちょっとはましな存在になる事が出来て、そしてヤギ人間を造り出せる事も出来ると。



『エレクション 黒社会』 2005年、香港、1時間40分。を観た。
香港最大の裏組織"和連勝会"で2年毎に行われる会長選挙。冷静なロクと感情的なディー、二人の候補者はお互いのやり方で選挙戦を戦っていたが最終的に会長に選ばれた者が手にする竜頭棍の力による争奪戦になだれ込む。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。
邦題は以前は『エレクション』だったけど正式に『エレクション 黒社会』に変わったのだろうか。DVDタイトルは以前から『エレクション 黒社会』。

派閥の友好関係、敵対関係、そのどちらとも言えない関係(状況を見てどちらにつくか決める)によって動いていた動かされていた男達が最終的にロク(サイモン・ヤム)の元に集まるシーンが良かった。集まった男達がジョニー・トー組と言える人達なのが嬉しい。現在の香港映画の状況を考えるともう二度とこの人達がスクリーンの中で集まる事はないんじゃないかと思えて寂しかったりもするが、でもまだ嬉しさの方が勝っている。
続編も観ているのだけど内容は殆んど覚えていないが、確か固いと思われていた男達の絆が綻んで。みたいな感じだったんじゃないだろうか。それはそれでジョニー・トー監督らしさの一部ではあるかと思う。本作でも続編を意識していたのかは分からないがそうなる事は十分に匂わせていた。



『ブレイキング・ニュース デジタルリマスター版』 2004年、香港、1時間29分。を観た。
ユアン率いる強盗団のアジトを張っていたチョン刑事。街中での銃撃戦となるが強盗団を捕り逃がした醜態をテレビで放送されてしまう。香港警察の名誉を挽回するため指揮官のレベッカは警察官にカメラを装着させ犯人逮捕までを随時テレビで放送する奇策に出る。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。

ジョニー・トー監督作品と言えば男の美学を描く印象で今回の特集上映のテーマになっている。自分もそう思っていたけどフィルモグラフィを見ればコメディからラブロマンスからそしてバイオレンスまで色んな作品を撮っていて、その中で男の美学が描かれている作品というのは実はそんなに多くないのかもしれないと思うようになった。本作も犯罪エンターテインメント映画で男の美学と言える所はちょっとは有るかなあという感じ。ラム・シューに至っては父親としてやってはいけない美学の欠片もない事をするし。ラム・シューだからそういう事をしても笑って許せはするけど。

団地アクションになるのがやっぱりいい。団地と言うより高層アパートといった感じだけど。でも造りは似た様なもの。現実でも中国本土からの犯罪者が隠れやすい温床にもなっていてそういう所が中国当局が干渉してくる一つの原因になってしまったのかもしれない。
団地アクションが何故面白いのか?平面だけでない高低を加えた三次元の動きが出来るのが面白さになるのだろうと思う。ジャッキーの映画でも団地ではないけど高低を生かしたアクションが色々と思い浮かぶ。ジージャーの『チョコレート・ファイター』での建物の壁面でのアクションは高低に特化したアクションで凄かったし面白かった。
アクションだけに限らず物語の展開、場面の転換としても高低を生かすとワンシチュエーションであっても空間の広がりみたいなものが出るのかも。
高低を加えた三次元に更に時間を加えた四次元の映画が『リバー、流れないでよ』。

ジョニー・トー監督がこの特集上映のためだけなのかは分からないが来日して舞台挨拶をしていた事には後になって知った。https://www.cinemart.co.jp/article/news/20240129008509.html
アンソニー・ウォンも主演映画『白日青春-生きてこそ-』で来日していた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/14294094f60d2fbf79197cbdedceee2441357481
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岡村"ユーミン"ちゃん



たまたま耳にしていい歌だなと思う事は有ってもユーミンの曲を自ら進んで聴く事は無かった。これは聴きたくなってしまう。
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『サンクスギビング』『悪魔のシスター デジタルリマスター版』『ヘルレイザー2:ヘルバウンド』 [映画]

『サンクスギビング』2023年、アメリカ、1時間46分。を観た。
その年の農作物の収穫や共に生きる人たちへ感謝するサンクスギビング。本来は家族や身内と共に祝祭する日であったが現在は大手小売り店舗の特売セールが行われる日としての認知が広まっていた。人々は感謝する気持ちを忘れ我先にセール商品に群がり、そして惨劇が起こる。

2007年にクエンティン・タランティーノ監督とロバート・ロドリゲス監督がかつてのエクスプロイテーション映画の二本立てを再現した『グラインドハウス』の中で再現の一環として作られた架空の予告を16年越しでイーライ・ロス監督自らが長編映画化。
その架空の予告は5本有ってその内本作、『マチェーテ』、『ホーボー・ウィズ・ショットガン』の3本が長編映画化されている。
どんな予告だったかは全く覚えていなかったけどイーライ・ロス監督作品であるのであればどういった作品なのかはある程度は予想出来て、その予想を裏切らないえげつないホラー映画で面白かった。ミステリー要素も有ってそこら辺は『スクリーム』シリーズっぽい感じがした。

主人公のお父さん役のリック・ホフマンが独特な雰囲気な人で良かった。下膨れな顔立ちが映画評論家の水野晴男さんを想像させる。
フィルモグラフィを見ると主にテレビドラマの方で活躍している。映画の出演作品では結構観ているのが有ったけどこれまではあんまり印象には残っていなかった。
イーライ・ロス監督作品の『ホステル』シリーズ2作品にも出演しているが『ホステル』シリーズは怖いので観ていない。本編後のおまけは『ホステル』繋がりの感じなのだろうか。



『悪魔のシスター デジタルリマスター版』1973年、アメリカ、1時間32分。を観た。
テレビクイズ番組の出題コーナーで共演したモデルのダニエルとエージェントのフィリップは放送出演後に一夜を共にする。翌朝、その日がダニエルの誕生日と知ったフィリップはダニエルに頼まれた買い物と一緒にバースデーケーキを持ち帰り祝おうとしたがベッドに寝ていたのはまるで別人のようなダニエルだった。

デジタルリマスター版によるリバイバル公開。確かもう十数年前になってしまうのか今は無きシアターN渋谷での上映を観た記憶が有る。
シアターN渋谷じゃなかったかもしれないと思って調べてみるとhttps://www.theater-n.com/movie/list/シアターN渋谷で観たのはリメイク版の『シスターズ』の方だった(2008年2月)。本作も確かに観ているのだけど映画館で観たのか家でレンタルか配信で観たのかは思い出せない。

ブライアン・デ・パルマ監督がヒッチコック監督作品の熱烈な信望者として知られるようになった初めての作品という事でいいのだろうか。本作ではまだ「ヒッチコックっぽくね」くらいの感じだったのかも。ヒッチコック監督作品にあまり詳しくはないが『裏窓』からの影響は確かに有るかなと思う。

当時はタブーとされていた物事をある意味で見世物小屋的なエンターテインメント作品の中で活用したいかがわしさが当時のブライアン・デ・パルマ監督の持ち味だったのかもしれない。
その面白さは有ると思うが面白さ本意で活用してしまう無邪気さや無知は現代では叩かれてしまいそう。無邪気な時代だからこそ作られた作品。

ブライアン・デ・パルマ監督作品の常連だったウィリアム・フィンレイが見た目も演技もいかがわしくて良かった。
自分が知らないだけかもしれないが現代ではいかがわしい役者さんもあまり見かけなくなったように思う。かつての日本だと大泉滉さんの様な。旧・若人あきら、現・我修院達也さんが唯一そのポジションにいるか。



『ヘルレイザー2:ヘルバウンド』1988年、アメリカ、1時間39分。で寝た。
『悪魔のシスター』の終盤でちょっとうとうとしかけたのを引きずってこちらではほぼ全編でうとうとしていた。例年の目標としている映画館で居眠りこかないを今年は1月で早くも達成出来ず。
完全な寝落ちはしなかったけど内容は全く頭に入ってこなかった。『ヘルレイザー』シリーズと言えばのピンヘッドの出番はそれほど多くはなかった様な気はする。
シネマート新宿でシリーズの4作目までが劇場公開されて4作目の宇宙編が観たかったのだけどこの状態で観ても理解出来る気がしないので断念せざるを得ない。
4作目はアラン・スミシー監督になってしまっているという事で作品の出来はある程度覚悟の上で観なければならないが。

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『アクアマン/失われた王国』 [映画]

『アクアマン/失われた王国』2023年、アメリカ、2時間4分。を観た。
海底帝国アトランティスの王となったアクアマンは地上人たちに自分たちの存在を知らせ手を取り合い共に生きていくべきだと主張するが評議会の賛同は得られずにいた。
父の仇であるアクアマンへの復讐を誓うブラックマンタは破壊されたパワースーツの修理を急務としていたが南極の氷河で呪われた古代文明と遭遇しかつてないほどのパワーを得る。

ハリウッドエクスプレスで本作の映像を見てブラックマンタも出ているのを知ったので観た。それまでブラックマンタの存在をすっかり忘れていた。
昨年は封印していたシリーズモノを解禁。アメコミヒーローモノも観ないつもりでいたがこちらもあっさりと解禁。マーベルの方には気になるキャラクターがいないので観ないかも。
DCのヒーローモノを観るのはいつ以来だろう?と思い返してみると一昨年の『DC がんばれ!スーパーペット』以来。

前作『アクアマン』は2018年の作品。内容はほとんど覚えていなかったので本作の内容について行けるか心配だったけど一応何とかついては行けた。ニコール・キッドマンとドルフ・ラングレンが夫婦役だと勘違いしていたけど。
当然前作との繋がりを理解していた方がより楽しめるのだろうけどあくまで単品としての『アクアマン』の続編であって他のDCのスーパーヒーローとの繋がりとか面倒臭い事が無いので本作だけに集中できるので良かった。スーパーマンがいたらすぐに解決してしまいそうだし。
確か『ザ・フラッシュ』の方で時間軸いじくってマルチユニバースな感じになっている。という情報だけは得ているが本作ではそこら辺はあまり関係無かったのも良かった。

しかし、地上の人間と海の生き物たちは共存するべきという崇高なメッセージを謳っているがそれが出来るかと言えば人間にとって海の生き物は大概が食糧なのであって、海底人という人の形をしていたら食糧とはみなさないだろうし、海底人たちも一部の海棲生物を食糧としているのかもしれないけど難しい問題になるだろうなと思う。
アクアマン個人の問題としても特殊能力に全ての海の生き物と意思の疎通が出来るというのが有って、食糧となってしまう生き物の意思が理解出来たら発狂してしまいそう。
本編後エンドクレジット途中のオマケが実は食糧問題解決の伏線だったりして。現実社会でも将来実際に有り得るのかもしれない。高タンパクらしいし。

ブラックマンタはアクアマンの邪魔をするだけの迷惑者的な扱いだと予想して覚悟もしていたけどアクアマンとがっつりと対峙する悪役で良かった。
見た目も前作よりもカッコ良くなってるような気がする。見慣れただけかもしれないが。
今回が帰ってきたブラックマンタ(新マンタ)で、次がブラックマンタセブン、ブラックマンタA(エース)、ブラックマンタタロウ、ブラックマンタレオ、ブラックマンタ80と続いていくのでは。それが予感出来るマスクが複数存在していたし。

新マンはセブンの次だった。
ザ☆ウルトラマンのオープニングがヌルヌル動いて凄い。



ハンマーヘッドシャーク型の潜水艦がカッコ良かった。海底人の乗り物ではなかったけど海底人からしたら潜水艦とは呼ばないのかも。地上に上がった時が地上に潜っているわけで、だから水に潜ってるのではなくて水中を飛んでるイメージになるんじゃないだろうか。だとすると飛水艦か。




ブラックマンタ マスク 大人用 アクアマン 目が光る

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  • 出版社/メーカー: Rubies Costumes
  • メディア: ウェア&シューズ


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『ゴジラ-1.0』『野球どアホウ未亡人』 [映画]

『ゴジラ-1.0』2023年、日本、2時間5分。を観た。
第二次大戦敗戦からの復興が始まった日本の首都東京に巨大な生物が上陸。街を破壊し去ってゆくが有識者は近日中に再上陸が有るものと想定し上陸前の海上での殲滅作戦を立案する。海軍帰還兵から有志を募り作戦は準備段階に入った。

公開から2ヶ月が経って次に観る映画の時間合わせに丁度良かったので観た。
エヴァンゲリオンのヤシマ作戦っぽい感じになる所が緊張感が有って良かった。作戦の実行前にその作戦の全容が明らかにされるとその作戦は失敗するのは映画に限らず物語あるあるで、失敗有りきで何故失敗するのか、そこからどうやって立て直すのか、立て直せないのか。そこら辺も見せ所になってくる。
山崎貴監督は観てて気恥ずかしくなる事を真っ正面からやる人という印象。あの敬礼は誰に対してどんな感情でしたのだろう?元軍人だからするんだろうけど。
日本でもアメリカでも大ヒットという事でシリーズ化されるのかもしれないがこの後も本作の様な感じではやりづらい様な気がする。結局ゴジラ以外の他の人気怪獣が出て来るんだろうし。

恐らく初対面(対面はしてないが)である海外の人からしたら神木くんは本作の大人で心に傷を負った男の印象になるわけで、子供の頃から知っている大概の日本人の印象とは大分違うのだろう。その意味では「純っ!」そして「おい満男」の吉岡秀隆さんも同じ。

キャストに関してはおじさん俳優の層の薄さが気になった。美形ではなくてもカッコいいおじさんが少ない。おじいさんに至ってはチラッとだけ出ていた橋爪功さんくらいか。おばさん、おばあさんもほとんど出てこない。
戦争から立ち直って新しいスタートを踏み出そうとする物語には年寄りはあんまり必要ではないのかもしれない。




『野球どアホウ未亡人』2023年、日本、1時間。を観た。
草野球チーム多摩川メッツの監督である重野進は高校野球甲子園大会の決勝まで進んだ経歴を持ち己の野球道を究めるため選手に厳しい指導を行っていた。重野の生きざまに魅了された水原賢一は盲信的に指導を受け野球漬けの生活になっていた。そんな賢一に不満を抱く妻の夏子は野球をそして重野を嫌っていたが重野は夏子に自分の野球道を体現出来る素質を見い出していた。

池袋シネマ・ロサにて。2024年のロサ初め。

去年の8月にロサで封切りされて以来各地で上映が続けられ年が明けてロサでの凱旋上映が始まった。
8月の時も観ようかなと思っていたのだけど何かの情報でポルノ映画らしいとの事だったので腰が引けてしまった。
今回は意を決してネットで予約。それから本作に関しての情報を調べると「ポルノ映画」の文言が見当たらず、ある所には「大人も子供も楽しめる」とまで書かれてもいた。
どういう事なんだろう?と思いながら『まいっちんぐマチ子先生』的なちょっとエッチな作品なのかもとも思いながら観たらエロな要素は微かに有るっちゃ有る。かな?くらいの感じだった。
どうやらお色気映画のエッセンスが織り込まれているらしい。それなら最初からそう正しく伝えてくれればいいのに。ポルノ映画を期待していた人にも良くないし。


野球漫画の伝道者であり求道者であった水島新司先生の作品へのリスペクトが随所で感じられるのが楽しい。梶原一騎先生の作品からの影響も見られるのでかつてのスポ根作品全般へのリスペクトか。
タイトルからして『男どアホウ甲子園』からだし、ヒロインの名前が水原夏子なのは『野球狂の詩』の水原勇気と『ドカベン』の夏子はんからだろうと思う。
しかし本作の小野監督をはじめとしてスタッフには実際の野球の経験者はいないのだとか。だからなのか野球に対して曲解していてそれが面白いんだけど水島新司先生、梶原一騎先生の墓前には行って一言でもお詫びをした方がいいんじゃないかと思う。



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きょうのポストカード (ブルース・リー) [映画のポストカード]

辰年の今年の今日の午後ローは燃えよドラゴン
ブルース・リー (3).JPG
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『シャクラ』『コンクリート・ユートピア』 [映画]

『シャクラ』2023年、香港=中国、2時間10分。を観た。
宋の時代の中国。一大勢力を誇る武侠のリーダー喬峯(きょう・ほう)が突如部下の殺害の疑いをかけられ尚且つ自らも初めて知る出自を明かされ掟に従いリーダーの座を奪われ命も狙われる。
疑いを晴らすため、そして自分は何者なのかを知るため喬峯は厚い信頼で結ばれていた仲間達との死闘を繰り広げる。

ドニーさんが監督・主演。
宋の時代の事がさっぱり分からず初めの内は物凄い戸惑ったが次第になんとなくは理解出来た。人名と単語が難しく読めない漢字は形で覚えて人名を覚えるのは無理だった。
現代の感覚ではそうはならないんではないかと思える展開も宋の時代では有り得るのだろうと思いそういう所が面白かった。

日本で言うと清水の次郎長なのではないかと思った。清水の次郎長と違うのは侠客でありながら政府の手助けもしている所か。
清水の次郎長がなんやかんや有って子分の森の石松や大政、小政(名前を知ってるのはその三人だけ)と命をかけて闘わなければならなくなるとしたら複雑ではあるけど闘わなければならない理由に納得させられたらそれは熱い物語に成り得るのだろうと思う。本作ではそこの所が主人公のキャラクターと監督として演出して役者として演じているドニーさんによって納得のいくものになっていてとても熱い物語になっていたと思う。契りを絶つための儀式のシーンが良かった。
そしてドニーさんの映画にしては珍しいロマンスがきっちりと描かれているのも良かった。珍しいという事はなく『イップ・マン』シリーズでもロマンスが描かれていたか。ロマンスが芽生える瞬間の初々しさが描かれているのが良かった。お相手の女優さんが可愛かったし。
初々しいけどドニーさんの実年齢は○○歳。○○歳を全く感じさせないのが凄い。

アクションシーンではデジタルなエフェクト多めなのが最初は折角のドニーさんのアクションにそんな事して勿体ないなあと思っていたが喬峯のとんでもない強さを現すための視覚的な方法だと分かってからは素直に見れて喬峯のとんでもない強さを見せつけられて自然と笑顔になった。

原作の武侠小説『天龍八部』は『三国志』の様な遥か昔に書かれたものかと思ったが1960年代に書かれたものだった。『ゴッドファーザー』が1969年なのでそれよりも早いのか。

喬峯の出自はモンゴルなのだろうか?中国当局の検閲には引っ掛からなかったのは本作に描かれているその後の展開で何か色々と有るからだろうか。
本作の続編が製作予定でその後が描かれるような感じではあったけど、本作も正しくは分かっていないのでその後の事が分かる気がしない。
ドニーさんの孫悟空の時も肝心の主演のドニーさんが交代とか有ったし本当に続編が作られるんだろうか。




『コンクリート・ユートピア』2023年、韓国、2時間10分。を観た。
突然の大災害に遭い壊滅した韓国ソウル。奇跡的に団地の一棟が残った。

自然災害の後には人災が起こるであろう。という教訓で、確かにそうなんだろうとは思うし、そうならないようにしなければならないとは思うが、現在の状況で観る映画ではなかったかなと思う。

確かマイナス26℃にまで気温が下がってその事が事態をより酷くもしていたが実際にソウルがそこまで気温が下がる事はないみたい。異常気象も起こっていたのか、粉塵で日光が遮られて気温が上がらないのか。
団地の高層階(9階とか10階まで有ったみたい)の室温はもっと下がりそう。床暖房のオンドルが設置されていたとしても状況的に使えないか。
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