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『海がきこえる』『人間の証明 4Kデジタル修復版〉』『リオ・ブラボー』 [映画]

『海がきこえる』 1993年、日本、1時間22分。を観た。
1990年代初めの高知の高校生たちの青春。

初見。Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下にて。昨年が30周年だったみたいだけど何故か今年劇場上映された。

主役の男子高校生(後に大学生)のキャラクター像は『未来少年コナン』のコナンや『ラピュタ』のパズーに通じる所も有るだろうと思う。一人の女の子のために体を張って立ち向かうヒーロー。本作の場合そこまで命懸けではないけど高校生にとっての大金のやり取りや地方の高校生には冒険に近いと思われる東京行きにもほとんど臆する事はない。
コナンやパズーみたいな野生児や純真なキャラクターは恋愛に関しては奥手と言うより鈍感だったりするのが普通ではないかと思うが宮崎駿監督はそういうまどろっこしいキャラクターにはせず恋愛に関しては本能的でそしてどこまでも一途。一人の絶対的なヒロインを登場させるからそれが成立するのかもしれない。本作の場合はそこら辺はちょっと違う。男子は恋愛に鈍感でヒロインも絶対的とは言い難い。宮崎駿監督が関わっていないから当然だけど若手スタッフの方々はそこら辺は意識して非宮崎駿なキャラクターを作り出したのだろうか。非宮崎駿である事が現実的であると。
そういうキャラクターでそのキャラクターによる青春ストーリーを宮崎駿監督はどの様に評価したのだろうか?聞くも無惨にけちょんけちょんに貶す宮崎駿監督であって欲しいと個人的には思う。高畑監督は「いいんじゃないですかこれはこれで」と冷静な感想だったかもしれない。アニメーションでも日常が描け、そして日常を描く事がアニメーション作品として成立する事を示したのが例えば『アルプスの少女ハイジ』での高畑監督だろうし。
個人的にはアニメーション、実写作品に関わらず現代の溢れかえっている作品の先取りをしていた。とも言えなくはないとは思う。それがいいかどうかは別にして。
『アルプスの少女ハイジ』の時点でそういう作品を作るという事は大変な挑戦だったはず。発想が無限大であるはずのアニメーション作品はいくらでも挑戦が出来るはずで。その挑戦が本作にはあまり感じられなかった。
本作に関しては宮崎駿監督は制作現場には全くノータッチだったという事だけど本作以降スタジオジブリで高畑、宮崎作品以外での別の監督作品には積極的に介入していったという話も聞くと宮崎駿監督の本作の評価はどうだったのかを勝手に想像してしまう。
こんなのじゃなくこういうのを作れ!と示したのが後に2011年にプロデューサーと脚本を担当した『コクリコ坂から』だったりするのかも。



『人間の証明 4Kデジタル修復版』 1977年、日本、2時間13分。を観た。
東京赤坂の高層ホテルの最上階で胸をナイフで刺された黒人青年が死亡する。麹町署の刑事棟居良一が捜査班に加わる。

K's cinema "生誕75周年記念特集上映 角川シネマコレクション 松田優作の狂気"にて。

『蘇える金狼』『野獣死すべし』と観て本作の棟居刑事が今のところ一番ハードボイルドなキャラクターに思える。狂気も持っているけどその狂気を大っぴらにしない所が凄味になっていた。

戦争の傷痕が事件の根本に有ると言ってもいい。傷を負った人達が生きていた時代でその傷を隠そう、忘れようとしていた。
人間が人間である事を証明するもの、それはエゴなのだろうと思う。一人の息子を溺愛する一方でもう一人の息子には愛情も有りながら拒絶せざるを得ない。エゴによりその様な矛盾した行いをしてしまうのが人間であると。

当時のオールスター映画という事だけどその通りだなと思う。三船さん出てるし。優作さんとの芝居での絡みが無かったのが残念。
音楽が大野雄二さんなのでルパンっぽいのもオールスターと言っていいのかもしれない。

1970年代後半のニューヨークの映像はかなり貴重に思える。誰もが知っている様な場所じゃなくて今は姿が変わっているかもしれない普通の街角や治安の良くなさそうな場所で撮影している。



『リオ・ブラボー』 1959年、アメリカ、2時間21分。を観た。
犯罪者を捕らえた保安官だったがその仲間が駅馬車を破壊。移送手段が無くなり執行官の到着を待たなければならなくなった。

Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下〈濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』公開記念〉にて。
濱口監督のオールタイムでフェイバリットな作品という事でその最新作とは内容的に関係が有るのかは不明。

有名な作品だけど観た事無かった。と思って観たけど、途中でなんか観た事有るなと思って、観終わってからやっぱ観た事有るなと確信した。
内容は忘れていても観たかどうかだけは覚えている自信だけは有ったが今やその記憶ですら危うい。
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