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『犯罪都市 NO WAY OUT』『落下の解剖学』 [映画]

『犯罪都市 NO WAY OUT』 2023年、韓国、1時間45分。を観た。
不審死事件を捜査するマ・ソクト刑事は新手の合成麻薬"ハイパー"の存在に辿り着く。"ハイパー"を巡って韓国、中国、日本の悪者共が蠢く中にマ・ソクト刑事は拳だけで乗り込んでいく。

『犯罪都市』シリーズ3作目。前作から7年後の2015年の話でまだ現在には追いついていない。4作目も同時進行で撮影しているらしい。
前2作品ではマ・ソクト刑事はソウル・クムチョン(衿川)署強力班の所属だったけど本作ではソウル地方警察庁広域捜査隊に異動している。より広い管轄、韓国全域(?)の事件に首を突っ込める様になったという事だろうか。前作ではベトナムで勝手に捜査していた。

マ・ソクト刑事の強さの秘密は実はディフェンスの方に有るのだろうと思った。ボクシングをしていたという設定になっているので(本作から?だからなのかビンタの回数がかなり減った。一回だけだったと思う。)ディフェンスの技術もかなり高度に見えるがそれよりもなによりもとにかく打たれ強い。痛みに鈍感と言った方が正しいのかもしれない。背後から凶器でクリーンヒットすればちゃんと気を失って、車に轢かれればダメージは受けるけども、そのダメージを後に引きずらずにむしろパワーアップして全力を出しきれる。それは戦う側からしたら脅威でしかないだろうと想像する。『ターミネーター』の韓国版リメイク出来そう。
マ・ドンソクのアクションも上手いのだろうけど映像としての見せ方も上手いと思う。ちゃんと相手の急所めがけてパンチを出していて思いっきり当てにいっているように見える。どうやってパンチを出してそれをどこからどう撮ればそういう風に見えるのかを熟知しているのだろう。
実際に当たってしまう事もそれで怪我をする事も有るのだろうけど、それはもう仕方ないと覚悟の上で。それくらいの覚悟がないと手に汗握る様なアクションにはならないのかもしれない。観客がそれを期待してしまうし。



『落下の解剖学』 2023年、フランス、2時間32分。を観た。
フランス。山荘に暮らす三人家族。フランス人の父、ドイツ人の母、視覚障がいを持つ11歳の息子。ある日息子が飼い犬を連れた散歩から戻ると庭先で倒れている父親に気付く。

ネタバレ有り。

裁判の展開が丁寧に描かれていて、これは裁判とはどういうものなのかが描かれている映画なのだと思った。
片方は無罪を主張し、片方は有罪にする事を目的としていてその為に証人や証拠を用意して裁判で発表(発表?)するが、一つの証拠をもってしても無罪を主張するための証拠になる事も有れば逆にそれが有罪の証拠になる事も有り得る。それを如何に自分達の主張の方が正しいか、正しくなくても説得力が有るかを競い合っているようで、真実を探り明らかにするのが目的では無いようにも思えた。
確か本作の中でも二つのの選択肢が有った場合どれから一つを選ばなければならない。みたいな事を言っていたと思う。裁判にかけられたら何かしらの一つの答えを出さなければならなくて、どっちでもいいじゃんは有り得なくて。だから無理矢理にでも答えを捻り出さなければならない。そこに真実の追及という考え自体あまり必要ではなくて、だから本作でも何が真実だったのかはっきりと明かされないのか。
結局どういう判断であの結審に至ったのかも説明されない。それは逆の結果になっていた可能性もかなり高かったという事なのではないかと思う。

弁護士役のスワン・アルローがカッコ良かった。これから世界中で大人気になるんじゃないだろうか。もう既になっているのかも。名前がスワンなのが出来すぎの様な気がするが綴りはSWANNで英語のSWANとは違う。

カンヌ国際映画祭でパルム・ドッグ賞を受賞。確かにあの犬は賢そうで演技力も有った。当人(人?)は演技しているとは思っていないだろうけど。
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『マダム・ウェブ』『神探大戦』 [映画]

『マダム・ウェブ』 2024年、アメリカ、1時間56分。を観た。
1973年、ペルーのジャングルでコンスタンス・ウェブは探し求めていた蜘蛛を発見する。30年後のニューヨーク、娘のカサンドラ・ウェブは救急隊員としての日々を過ごしていた。

マーベルのヒーロー映画はもう観ないつもりでいたが予告を目にしたらタハール・ラヒムが出ていたのでちょっと気にはなっていた。そして観ようと思ったひと押しはダイアンが宣伝していたから。
ハリウッド大作の宣伝に映画と関係の無い芸能人を使う事に批判も有るけど、それきっかけで観てみようと思う人もいるわけだから一概に良くない事とは言えないかもしれない。と今度の事で思った。逆にこの人が宣伝しているから観る気を失ったという事も有るだろうし。



最上級の「スーを差し上げます。受け取ってください」の時だけ片仮名の「スー」になる。



本作はディズニーのマーベルヒーロー作品ではなく、ソニーの主にスパイダーマンを中心としたソニー・スパイダーマン・ユニバース(SSU)と知ったのは本編上映が始まってコロンビアのロゴが出てから。ディズニーとソニーのマーベルヒーローが全く無関係ではなくてそこら辺はややこしくてよく分かっていない。本作ではまだ2003年の話なので半分に減るのはこれから起こるのか、こちらでは起こらない事になるのか。
恐らくアニメの『スパイダーバース』シリーズともつながっているんではないかと思う。もしそうならさっぱり分からなくなってしまう。
ダイアンが宣伝に起用されたのは「ごいごいすー」の「すー」の部分だけでスパイダーマンとギリギリ薄く関わっているのかもしれない。

宣伝でマーベル映画初の本格ミステリーと言われているがどこら辺がミステリーなのかよく分からない。観客も推理するタイプのミステリーではなかった。カサンドラがどの様にしてマダム・ウェブと呼ばれるスーパーヒーローになったのかが描かれるという意味でのミステリーだったとしたら別にそういうのはこれまでにも有ったし。
予知能力がスーパーヒーローとしての能力として見栄えのするものなのかと言えば本作ではそんな事は無かった。スーパーヒーローでは無いけど予知能力を持つ主人公の映画で言えばニコラス・ケイジ主演の『NEXT ‐ネクスト‐』は面白かった。

タハール・ラヒムがこの後もハリウッド大作で活躍出来るのかと言えば本作だけで評価されると微妙なんではないか。

女子高校生三人(スパイダーウーマン?)の内の一人のシドニー・スウィーニーは実年齢は26歳で大人の女性。
アメリカの興行成績ベスト10に何週間もランクインしているこちらの方が実年齢に近い役なのかも。

ハリウッドエクスプレスでは何週間も上の動画の同じ映像が流れていて、シリアスな恋愛映画なのかと思っていたけど下の動画を観るとロマンチックコメディだったので観てみたい。




『神探大戦』 2023年、香港、1時間40分。を観た。
香港で起きた未解決の凶悪事件に関連した人物達が殺され殺害現場に「神探」のメッセージが残される。かつて神探(神の捜査官)と呼ばれた元刑事の男がその独特な捜査手段で犯人に近づいていく。

ヒューマントラストシネマ渋谷 "未体験ゾーンの映画たち2024"にて。
2022年の東京国際映画祭で上映されて、その後にも2回くらいかなり限定的に映画館で上映されたのをやっと観る事が出来た。

ジョニー・トー監督作品の脚本家で知られるワイ・カーファイ。『マッスル・モンク』(2003年)や『MAD探偵 7人の容疑者』(2007年)などでは共同監督も務めていて本作では単独での監督作品(脚本も担当)。
その『MAD探偵』の主人公と本作の主人公はどちらもラウ・チウワンが演じていてよく似ているが同一人物ではないみたい。すっかり忘れていたが『MAD探偵』の主人公の方は×んでた。
本作だけでも十分に面白いけどそれでも同一人物で違う世界線での物語として観た方がより面白いのだろうと思う。

本作での香港警察のオフィスの様に香港映画も小綺麗な感じになってしまっている様に思えるけど、本作にはかつての泥臭い雰囲気も感じられてそれが良かった。
最後に中国当局の圧力か忖度か何かは分からないが警察組織を褒め称える方向に行くと思わせてギャグに持っていくのが面白かった。それはラストシーンも含めての反骨精神の様にも窺えた。正義は必ず勝つ。の綺麗事だけではこの世の中は成り立っていないというのが『MAD探偵』と本作で描かれている事だろうし。



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ピピルマピピルマプリリンパ

ちゃんと観た事は無いけどエンディングが好き。


葦プロダクションが来年設立50周年。
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『ボーはおそれている』 [映画]

『ボーはおそれている』 2023年、アメリカ、2時間59分。を観た。
ボー・ワッサーマンは母に会いに行く予定だったが出発当日寝坊してしまい更には家の鍵を盗まれ外に出る事自体が難しくなっていた。その事を電話で伝えると母は不機嫌になりボーは途方に暮れ不安が押し寄せる。掛かり付けの医者に処方された薬を飲もうとするが水で飲むようにと言われていたため目の前にある食料雑貨店に駆け込まなければならなかった。その隙をついて大勢の者たちがボーの家に上がり込んで家の中をメチャクチャにするのだった。家の惨状に更に途方に暮れるボーが風呂に入る準備を整え再度母に電話をすると電話に出たのは荷物を届けに来た配達員だという。

よく分からない映画だった。

追記。
よく分からないはアリ・アスター監督にとっては恐らく褒め言葉。よく分からない映画を撮ろうとしているのだろうし。
宇宙規模で言ったら分かっている事より分かっていない事の方が圧倒的に多いはずで。それを分かっている範囲で物語を作るのが常識とされてきて、でも現実にはよく分からない事は起きるわけで。人間同士が殺戮兵器を使って大量に殺し合う戦争が起きるのも本当ならするはずが無いのに起こってしまう。戦争に関しては色々理屈は付けられそうだけど、よく分からないのに起きてしまう事を憶測とか希望的観測とかであれこれと理由付けしないで描いている。映画として大分誇張されている所は有るけど。だからよく分からなくて当然。
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『ダム・マネー ウォール街を狙え!』『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』 [映画]

『ダム・マネー ウォール街を狙え!』 2023年、アメリカ、1時間45分。を観た。
コロナ禍の2021年、コンピューターゲームの大手小売り業ゲームストップの株がヘッジファンドの空売りの対象となり株価が下落しヘッジファンドの目論見通りに事は進んでいた。ゲームストップの業績を評価する個人投資家でありユーチューバー"ローリング・キティ"でもあるキース・ギルは自身の番組でゲームストップ社への評価を訴えるが視聴者の反応は芳しくなかった。しかし地道な活動を続ける内にSNSを通じて個人投資家達の連帯が繋がり始める。

実際に起きた出来事を映画化。ゲームストップが社名なのも知らなかったしそもそもが株や経済の事が分かっていないので理解出来るか心配だった。実際最初の内はなんの事だかさっぱり分からなかったけど、途中で「階級闘争」という言葉が出てきてこれはそういう映画なのだという事が分かってからはとても面白かった。持たざる者達の持てる者への闘争、革命の物語であって、持たざる者達の最大の武器は信念と連帯であると。その姿が感動的だった。まあでもそれは映画であるからで美化されている所は過分に有って実際はどうだったのかは分からない。そもそもが全ての人が平等である事を目指した社会主義革命の様な崇高な志ではなかったわけで、持てる者たちだけが儲かるシステムになってしまっている現在の経済の仕組みをぶち壊して俺ら私たちも儲けたい。っていう事なのだろうし。社会主義革命も結局は崇高な志は続かなかったのだから一緒なのかもしれないが。
デジタル時代の現在の革命にはSNSが重要なアイテムであり、それはコロナ禍によってオンラインでの繋がりが顕著になった事で更に重要さが増した事が描かれている。でも結局はSNSを使うのは生身の人間であるのだというアナログな感情面も描かれていて浪花節的な所からは逃れられないのかもしれない。そういうのをズル賢い人は突いて意図的な誤情報や風評等を流して悪用したりもするのだろう。

キース・ギルのお父さん役の人は『ショーシャンクの空に』の看守役の人だった。クランシー・ブラウン。



『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』 2023年、アメリカ、1時間49分。を観た。
直情的な性格が災いして働き口を失ったマイク。まだ幼い妹アビーの養育権のために閉鎖されたレストランの深夜警備の仕事に就く。

世界的人気ホラーゲームの映画化。元々がどういうゲームなのかは分からないが映画化の際にはスティーヴン・キングが原作かの様な物語になっていてそれはそれで面白かった。
スティーヴン・キング関連ではないがホラー映画『チャイルド・プレイ』な要素も入っていた様にも思える。『チャイルド・プレイ』では子供の姿をした人形チャッキーの恐怖が描かれ、本作では動物の着ぐるみの姿をしたロボットたち。チャッキーの場合はだんだんと容姿がホラーバージョンに変わっていったかと思うが本作ではほとんど見た目が変わらない。最初から不気味ではあったけどあまり恐怖にはなっていない様に感じたが最後に出てくるボスキャラだけは何故かマッチョで厳つい。レストランのマスコットキャラなのに。この世に厳ついマスコットキャラが存在しないかと言えばそんな事も無いのだろうけど。ゆるキャラに対抗して厳キャラ。

いつ以来だか思い出せないくらいに久し振りにメアリー・スチュアート・マスターソンを見た。一目でメアリー・スチュアート・マスターソンと分かるくらいに見た目が変わっていなかったのは日頃の努力の賜物なのか。
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『サン・セバスチャンへ、ようこそ』『燈火(ネオン)は消えず』 [映画]

『サン・セバスチャンへ、ようこそ』 2020年、スペイン=アメリカ=イタリア、1時間32分。を観た。
ニューヨークの大学で映画を教えていたが現在は小説を執筆中のモート・リフキンは映画の広報の担当をしている妻のスーの仕事に付き添ってスペインのサン・セバスチャンで行われる映画祭にやって来た。付き添いの目的はスーと注目を浴びているフランス人映画監督との仲を疑っての事だった。

ウディ・アレン監督作品の主人公が男の場合はウディ・アレン自身が反映されていると言われるけど本作もやっぱりそうなんだろうなと思う。理屈っぽくて神経質で恋愛に関しては年老いても好奇心旺盛で。
かつてのヨーロッパ映画の名作への心酔は観ていない作品がほとんどなのでよくは理解できなかった。日本映画の話しも出てくるけどそんなに映画に詳しくない欧米人からしたらちんぷんかんぷんなのは、いくら"世界の何々"とか日本人同士で持ち上げても実際はそんなもんなんだろうという事が分かる。

他の作品では主人公はを演じている役者さんの演技もどこかウディ・アレンっぽい感じがしたりもするが本作のウォーレス・ショーンはそんな感じではなかった。ウォーレス・ショーンは初めて見る人かなあと思ったけど『トイ・ストーリー』シリーズの恐竜のおもちゃのレックスの声でお馴染みの人だった。

ネタバレ有り。

本作の結末では最終的に主人公は一人きりになって終わる。それがドラマチックなわけでもなくて、ただ一人きりになる。それがウディ・アレン監督が行き着いた死生観であり人生観なのかなあと思う。生きてる間はじたばたしてしまうけど死ぬ時は結局一人、死んだらそれまでと。死んだ後になってその人の事を追悼されたりしても当の本人が知る事は無くて。ウディ・アレンの場合は追悼されるだろうけど色んな事も言われるであろうと覚悟もしてるんだろう。



『燈火(ネオン)は消えず』 2022年、香港、1時間43分。を観た。
かつての名物であった夜の香港のネオンサインのほとんどが姿を消していた。ネオン職人であったビルが亡くなり妻のメイヒョンは失意に暮れていたがビルが内緒でネオンの仕事を続けていた事を知る。

2022年の東京国際映画祭で上映された時の邦題は『消えゆく燈火』。こういうのは誰の決定で決めるのだろう?

光輝いていたネオンが無くなりつつあるのは香港が様変わりしている事を象徴しているのは言うまでもない事なのだろう。 そう考えると中国への返還が大きかったと思えてしまうが、単に設置からの耐久年数の問題だったのかも。老朽化とかで大きな事故が起きてから汚名を残して姿を消すより美しい思い出だけを残して去った方がいいのかもしれない。実際違法設置による落下事故とかも有ったみたいだけど。
ネオンサインは減少し、その事を題材にした本作の様な叙情的な作品が香港映画で増えているようにも思えて、それも寂しいなとは思う。
個人的にも最近はなんだか昔の思い出に浸ってしまいがちになってしまっているようで。今の流行にあんまり乗れないのも年老いた証拠なのか。
こんな時こそ『クレヨンしんちゃん オトナ帝国』を観ればいいのかもしれない。しかし、『オトナ帝国』も2001年の作品で、懐古趣味を諫めるために23年前の映画を観るのは何のパラドックスなのか。
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『コット、はじまりの夏』『恋におちて』 [映画]

『コット、はじまりの夏』 2022年、アイルランド、1時間35分。を観た。
1981年、アイルランドの農場で暮らす9歳の少女コット。五人姉弟の中で人一倍おとなしいコットが家庭の事情によりひと夏の間だけ母側の親戚の家に預けられる。

コットの両親が共に自分達の子供に興味が無いのかと思っていたがラストシーンで父親の方に問題が有るのだろうと思えた。父親がもっとしっかりしていればコットが親戚に預けられなければならない家庭の事情も元々が無かったのだろうし。母親もコットに対して冷たい様にも思えたけど、子供達はまだ未成年だし自分は妊娠中だし夫婦仲も経済的状況も良くなさそうだしで、そんなのが重なればコットに対して冷たいと思える様な態度になってしまうのは理解出来る。
母親に比べると父親は子供じみていていつでも何かに対して不満を持っていて、それが子供達への態度に現れている様に思える。
親だって人間だからそうなってしまうのも仕方ないのかもしれないけど子供の成長に親の在り方、親と言うか大人と言った方がいいのかもしれないが、それはとても重要で、コットもこの夏の出来事によって本当に頼りになる大人たちとの出会いが有って、コットがこの先どの様に成長したのかは分からないけど多分いい影響になったのだと思いたい。

言語が英語ではなかった。ケルト語?なんかちょっとアラビア語に近いようにも聞こえたし、ドイツ語っぽく聞こえる所も有った。
ウィキペディアを見るとアイルランドの第一公用語がゲール語(第二公用語が英語で現在は主に英語の方が使われているらしい)という事でケルト語の中に分類されるとの事。



『恋におちて』 1984年、アメリカ、1時間46分。を観た。
ニューヨーク郊外に暮らすフランクとモリー。それぞれの家庭を持つ二人だったがクリスマス・イブで賑わうニューヨーク中心街で偶然に出会う。その時から好印象を持った二人はお互いをより深く知る事で恋におちる。

何故か109シネマズプレミアム新宿でひっそりと上映されていたので観た。製作40周年記念で?
109シネマズプレミアム新宿では意外な作品があまり知られる事無く上映される事が有るので料金はお高いけど行かざるを得ない。
今後『ミッドナイト・ラン』とか、『アビス』の144分版とか、『アルカトラズからの脱出』とか好きな作品で映画館では観た事の無い作品が上映される事を期待してしまう。他のお客さんが入らないかもしれないが。その時はよりお高いSクラスの方にしてしまうかも。本作は若干お安いAクラスの方。

本作も映画館では初見。大分昔に多分まだレンタルビデオの時代に観た事だけは憶えている。
大雑把にW不倫モノという印象だったけど改めて観て、確かにW不倫ではあるんだけどフランクとモリーが真面目な人間であるが故に許されない恋に悩んで葛藤する姿が描かれる純愛映画でもあるんだろうなと思った。
純愛映画としてだけで観ればいい映画ではあった。ただフランクとモリーに関しては純愛ではあるんだけど、不倫となればお互いの結婚相手もいるわけで、その結婚相手にしてみれば一線は越えていなかったとしてもただの浮気であってそれを純愛と言われても納得したくないだろうなとは思う。
その不倫のドロドロより純愛のときめきや爽やかさ、一途さを描く事を狙いとしている。音楽もそんな感じだった。

時間経過がちょっと分かりづらい。シーンが変わると何ヵ月か過ぎていたりする。モリーの旦那さんが突然モリーとフランクの関係を知っていたりするのはその間に何かが有ったという事なのだろう。

当然デ・ニーロとメリル・ストリープが若い。デ・ニーロが『タクシー・ドライバー』の時の面影がチラッとだけ見える。本作ではエキセントリックではない普通のデ・ニーロ。個人的にはどちらかと言うと普通のデ・ニーロの方が好き。ハーヴェイ・カイテルもダイアン・ウィーストも若い。ハーヴェイ・カイテルも珍しく普通。
本作のウール・グロスバード監督とデ・ニーロは1981年の『告白』で組んでいるが未見なのでいつか観てみたい。ロバート・デュヴァルとの共演。撮影以外ではお互いにロバートの愛称であるボブと呼び合うのだろうか?「ヘイ、ボブ」「ハーイ、ボブ」と。
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岡村和義晴臣

最後の指わちゃわちゃが好き。


https://www.youtube.com/watch?v=R6rAYRxnONA
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『エグザイル/絆』『千年女優』『エレクション 死の報復』 [映画]

『エグザイル/絆』 2006年、香港、1時間49分。を観た。
青春時代から共に裏社会で生きてきた五人の男、ブレイズ、タイ、ウー、ファット、キャット。
ウーが組織のボスであるフェイを襲撃するが失敗に終わり逃走。激怒したボスはブレイズとファットに始末を命令する。ウーの隠れ家を見付けた二人の前にタイとキャットが現れ五人が顔を合わせる。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。

ジョニー・トー監督は撮影時にも脚本が無い、もしくは完成していないという事を自身で話されるけどそれは多分ネタとしてそう言った方が面白いからではないかと思っているが、もしかしたら本作の場合は本当なのかなあと思える。かと言って支離滅裂なのではなくて、ある程度のストーリーは決まっていて(そうじゃなければ撮影スケジュールが組めないだろうし)その中で自由に撮影をしているんではないか。リッチー・レンの役柄は正にそんな感じで意外な所(前フリはちゃんと有る)でフラッと現れて登場シーンが終わったら姿を現さない。それがカッコ良かったしおいしい役でも有った。



『千年女優』 2001年、日本、1時間27分。を観た。
突然の引退で姿を消した大女優藤原千代子が30年振りに公式なインタビューに応じた理由は千代子の熱烈なファンでもあるインタビュアーが千代子にとって特別な思い入れのある物を渡したいと申し出たからだった。

去年の1月にも映画館で観ているがその時は4K化されての上映だったはず? 元旦に立川シネマシティでの"レジェンドアニメ 4K【極音】第1弾”でだった。第2弾が『カリオストロの城』第3弾が『AKIRA』で第4弾が今年に入って『スペースアドベンチャー コブラ』と続いている。
今回は今 敏監督作品のリバイバル上映企画で去年の9月に第一弾として『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』が上映されたのに引き続き第二弾として本作が全国で上映された。

作画監督は本田雄(ほんだ たけし)さん。どなたが作画されてるとかそんなには気にしてはいないし、そもそも誰がどのシーンを担当されてるのかはあんまりよく分からない。テレビの『クレヨンしんちゃん』の時の林静香さんの時だけはなんとなく分かる。いつか映画の方での作画監督も大変だろうけどして欲しい。
作画監督は全体の統一をとるのが大切な役割でもあるらしいけど、それでも「師匠」と呼ばれ認められているほどの凄腕アニメーターが手掛ければ作品の質は自然と上がる事になって、だから本作も作画面でも一流の作品になったのだろうと思う。
https://fullfrontal.moe/%e6%9c%ac%e7%94%b0%e9%9b%84/
本田雄さんのインタビュー。作画監督を務めた『君たちはどう生きるか』公開時のインタビューだけど今 敏監督についてもお話しされている。



『エレクション 死の報復』 2006年、香港、1時間32分。を観た。
香港最大の裏組織和連勝会で表向きは公正に行われる会長選挙。現会長のロクは二年一期の掟を破る事になる再選を目論み根回しに動いていた。有力候補であるジミーの黒社会から足を洗うための立候補はロクとの武力抗争へと発展する。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。

以前に一度観ているがここまで前作を上回るバイオレンスなのは忘れていた。単にセンセーショナルである事を狙ったのではなくて黒社会を描く上で必要なのは分かる。結局暴力がものを言う社会で暴力をエスカレートさせた者が権力を手にする。エスカレートさせ続けた挙げ句には破滅が待っているのも必然であって、本作では個人で破滅はしているけど組織としてはまだ破滅には至っていない。多分破滅まで描きたいんじゃないかと想像するけどもう18年が経っている。でも組織の在り方が変わりそうな事も示されていたので20年後の続きというのも有りそうな気はする。中国当局もかなり深く関わってきそうな。
そうなると香港=中国の合作映画になるんだろうと思うが中国映画は悪を絶対に許さないから裏社会の組織の破滅を描くには都合がいいのかもしれない。

原題にある"以和為貴"とは「和を以って貴と為す」という意味らしくて、裏社会であっても和が大事でその戒めとして各組織には和の一文字を入れるべしと定められている。その戒めはどこへやらといった感じで何とも皮肉が効いている。

今回の四本の上映作品を観てジョニー・トー監督作品ではサイモン・ヤムの役柄は他の監督の人の作品とは違うような気がする。どちらかと言うと好人物のイメージがあるサイモン・ヤムのダークな部分を炙り出そうとしているような。
ニック・チョンもジョニー・トー監督作品ではキレてる役が多い。バイオレンス映画であるからそういう役柄にはなるのだろうけど。
逆にラム・シューはコメディリリーフな扱いが多い。
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『哀れなるものたち』『エレクション 黒社会』『ブレイキング・ニュース デジタルリマスター版』 [映画]

『哀れなるものたち』 2023年、イギリス、2時間21分。を観た。
イギリス、ロンドン。外科医ゴドウィン・バクスター博士はベラ・バクスターと同居していた。博士は自由奔放に生きるベラを観察する様に温かく見守っていた。

本能と学習という事なのだろうと思う。小林啓一監督作品『恋は光』(2022年)の中で本能の対義語は学習であると言われて、そう言われればそうだなと納得した。本作の本能はかなりアダルトだけど学んで習って、そして考える事が大切なのだと。
博士にとってベラは研究対象であったけどそこに父と娘に似た感情を抱く様になる。
博士は何を研究していたのだろうか?勝手な想像だけど人間特有とも言える心は身体のどこの部分にどの様にしていつ芽生えて成長するのか?だったんじゃないだろうか。本能だけでは心は芽生えなくて、経験と学習によって芽生え育まれる。それは脳だけの間接的な経験だけではなくて身体を使った直接的な経験によって。
博士は自らも過酷な経験をしてきたという事だけど、それはあくまで博士の個人的な事であって、心が芽生える過程もその時は意識すらしていなかっただろうし。研究者としては観察する対象が必要でベラが現れて実行に移したのだろう。
人間という哀れな生き物は学習する事によってちょっとはましな存在になる事が出来て、そしてヤギ人間を造り出せる事も出来ると。



『エレクション 黒社会』 2005年、香港、1時間40分。を観た。
香港最大の裏組織"和連勝会"で2年毎に行われる会長選挙。冷静なロクと感情的なディー、二人の候補者はお互いのやり方で選挙戦を戦っていたが最終的に会長に選ばれた者が手にする竜頭棍の力による争奪戦になだれ込む。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。
邦題は以前は『エレクション』だったけど正式に『エレクション 黒社会』に変わったのだろうか。DVDタイトルは以前から『エレクション 黒社会』。

派閥の友好関係、敵対関係、そのどちらとも言えない関係(状況を見てどちらにつくか決める)によって動いていた動かされていた男達が最終的にロク(サイモン・ヤム)の元に集まるシーンが良かった。集まった男達がジョニー・トー組と言える人達なのが嬉しい。現在の香港映画の状況を考えるともう二度とこの人達がスクリーンの中で集まる事はないんじゃないかと思えて寂しかったりもするが、でもまだ嬉しさの方が勝っている。
続編も観ているのだけど内容は殆んど覚えていないが、確か固いと思われていた男達の絆が綻んで。みたいな感じだったんじゃないだろうか。それはそれでジョニー・トー監督らしさの一部ではあるかと思う。本作でも続編を意識していたのかは分からないがそうなる事は十分に匂わせていた。



『ブレイキング・ニュース デジタルリマスター版』 2004年、香港、1時間29分。を観た。
ユアン率いる強盗団のアジトを張っていたチョン刑事。街中での銃撃戦となるが強盗団を捕り逃がした醜態をテレビで放送されてしまう。香港警察の名誉を挽回するため指揮官のレベッカは警察官にカメラを装着させ犯人逮捕までを随時テレビで放送する奇策に出る。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。

ジョニー・トー監督作品と言えば男の美学を描く印象で今回の特集上映のテーマになっている。自分もそう思っていたけどフィルモグラフィを見ればコメディからラブロマンスからそしてバイオレンスまで色んな作品を撮っていて、その中で男の美学が描かれている作品というのは実はそんなに多くないのかもしれないと思うようになった。本作も犯罪エンターテインメント映画で男の美学と言える所はちょっとは有るかなあという感じ。ラム・シューに至っては父親としてやってはいけない美学の欠片もない事をするし。ラム・シューだからそういう事をしても笑って許せはするけど。

団地アクションになるのがやっぱりいい。団地と言うより高層アパートといった感じだけど。でも造りは似た様なもの。現実でも中国本土からの犯罪者が隠れやすい温床にもなっていてそういう所が中国当局が干渉してくる一つの原因になってしまったのかもしれない。
団地アクションが何故面白いのか?平面だけでない高低を加えた三次元の動きが出来るのが面白さになるのだろうと思う。ジャッキーの映画でも団地ではないけど高低を生かしたアクションが色々と思い浮かぶ。ジージャーの『チョコレート・ファイター』での建物の壁面でのアクションは高低に特化したアクションで凄かったし面白かった。
アクションだけに限らず物語の展開、場面の転換としても高低を生かすとワンシチュエーションであっても空間の広がりみたいなものが出るのかも。
高低を加えた三次元に更に時間を加えた四次元の映画が『リバー、流れないでよ』。

ジョニー・トー監督がこの特集上映のためだけなのかは分からないが来日して舞台挨拶をしていた事には後になって知った。https://www.cinemart.co.jp/article/news/20240129008509.html
アンソニー・ウォンも主演映画『白日青春-生きてこそ-』で来日していた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/14294094f60d2fbf79197cbdedceee2441357481
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