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『哀れなるものたち』『エレクション 黒社会』『ブレイキング・ニュース デジタルリマスター版』 [映画]

『哀れなるものたち』 2023年、イギリス、2時間21分。を観た。
イギリス、ロンドン。外科医ゴドウィン・バクスター博士はベラ・バクスターと同居していた。博士は自由奔放に生きるベラを観察する様に温かく見守っていた。

本能と学習という事なのだろうと思う。小林啓一監督作品『恋は光』(2022年)の中で本能の対義語は学習であると言われて、そう言われればそうだなと納得した。本作の本能はかなりアダルトだけど学んで習って、そして考える事が大切なのだと。
博士にとってベラは研究対象であったけどそこに父と娘に似た感情を抱く様になる。
博士は何を研究していたのだろうか?勝手な想像だけど人間特有とも言える心は身体のどこの部分にどの様にしていつ芽生えて成長するのか?だったんじゃないだろうか。本能だけでは心は芽生えなくて、経験と学習によって芽生え育まれる。それは脳だけの間接的な経験だけではなくて身体を使った直接的な経験によって。
博士は自らも過酷な経験をしてきたという事だけど、それはあくまで博士の個人的な事であって、心が芽生える過程もその時は意識すらしていなかっただろうし。研究者としては観察する対象が必要でベラが現れて実行に移したのだろう。
人間という哀れな生き物は学習する事によってちょっとはましな存在になる事が出来て、そしてヤギ人間を造り出せる事も出来ると。



『エレクション 黒社会』 2005年、香港、1時間40分。を観た。
香港最大の裏組織"和連勝会"で2年毎に行われる会長選挙。冷静なロクと感情的なディー、二人の候補者はお互いのやり方で選挙戦を戦っていたが最終的に会長に選ばれた者が手にする竜頭棍の力による争奪戦になだれ込む。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。
邦題は以前は『エレクション』だったけど正式に『エレクション 黒社会』に変わったのだろうか。DVDタイトルは以前から『エレクション 黒社会』。

派閥の友好関係、敵対関係、そのどちらとも言えない関係(状況を見てどちらにつくか決める)によって動いていた動かされていた男達が最終的にロク(サイモン・ヤム)の元に集まるシーンが良かった。集まった男達がジョニー・トー組と言える人達なのが嬉しい。現在の香港映画の状況を考えるともう二度とこの人達がスクリーンの中で集まる事はないんじゃないかと思えて寂しかったりもするが、でもまだ嬉しさの方が勝っている。
続編も観ているのだけど内容は殆んど覚えていないが、確か固いと思われていた男達の絆が綻んで。みたいな感じだったんじゃないだろうか。それはそれでジョニー・トー監督らしさの一部ではあるかと思う。本作でも続編を意識していたのかは分からないがそうなる事は十分に匂わせていた。



『ブレイキング・ニュース デジタルリマスター版』 2004年、香港、1時間29分。を観た。
ユアン率いる強盗団のアジトを張っていたチョン刑事。街中での銃撃戦となるが強盗団を捕り逃がした醜態をテレビで放送されてしまう。香港警察の名誉を挽回するため指揮官のレベッカは警察官にカメラを装着させ犯人逮捕までを随時テレビで放送する奇策に出る。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。

ジョニー・トー監督作品と言えば男の美学を描く印象で今回の特集上映のテーマになっている。自分もそう思っていたけどフィルモグラフィを見ればコメディからラブロマンスからそしてバイオレンスまで色んな作品を撮っていて、その中で男の美学が描かれている作品というのは実はそんなに多くないのかもしれないと思うようになった。本作も犯罪エンターテインメント映画で男の美学と言える所はちょっとは有るかなあという感じ。ラム・シューに至っては父親としてやってはいけない美学の欠片もない事をするし。ラム・シューだからそういう事をしても笑って許せはするけど。

団地アクションになるのがやっぱりいい。団地と言うより高層アパートといった感じだけど。でも造りは似た様なもの。現実でも中国本土からの犯罪者が隠れやすい温床にもなっていてそういう所が中国当局が干渉してくる一つの原因になってしまったのかもしれない。
団地アクションが何故面白いのか?平面だけでない高低を加えた三次元の動きが出来るのが面白さになるのだろうと思う。ジャッキーの映画でも団地ではないけど高低を生かしたアクションが色々と思い浮かぶ。ジージャーの『チョコレート・ファイター』での建物の壁面でのアクションは高低に特化したアクションで凄かったし面白かった。
アクションだけに限らず物語の展開、場面の転換としても高低を生かすとワンシチュエーションであっても空間の広がりみたいなものが出るのかも。
高低を加えた三次元に更に時間を加えた四次元の映画が『リバー、流れないでよ』。

ジョニー・トー監督がこの特集上映のためだけなのかは分からないが来日して舞台挨拶をしていた事には後になって知った。https://www.cinemart.co.jp/article/news/20240129008509.html
アンソニー・ウォンも主演映画『白日青春-生きてこそ-』で来日していた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/14294094f60d2fbf79197cbdedceee2441357481
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