人魚姫 [ナ行の映画]
『人魚姫』
"美人魚" (2016・中国=香港・1h34)
製作・監督・脚本 : チャウ・シンチー
出演 : ジェリー・リン、ダン・チャオ、ショウ・ルオ、キティ・チャン
香港郊外の海辺をリゾートとして開発するためその区域の人間にとって危険な海洋生物を駆除する装置を設置した企業。しかしその装置によって他の生物たちにも影響は及んだ。企業の行いをやめさせるため人魚族は社長を暗殺する使者を送り込む。
チャウ・シンチーらしく中途半端な事はしない。ゆるい所はゆるゆるで、暴力でもやるなら過剰なまでに徹底的にやる。笑い抜きの暗黒街モノとか撮ったら相当えげつないのを作りそうな気がする。
本作の出演者もそのチャウ・シンチーらしさに応えていた。なんか色々厳しいらしいと噂は聞くけど。
過剰だけれどもわざとらしくはない。その微妙な判断基準にも厳しいんだろうと思う。そこは厳しくしないと笑えるものにはならないだろうし。
本筋ではない寄り道が面白かった。特にタコ兄の足のくだりはハズレ無し。
ツイ・ハーク監督の出演に気付かなかった。なんか見た事有る人だなあとは思っていた。
永い言い訳 [ナ行の映画]
『永い言い訳』
(2016・日本・2h04)
監督・原作・脚本 : 西川美和
出演 : 本木雅弘、竹原ピストル、藤田健心、白鳥玉季、山田真歩、深津絵里、池松壮亮
冷え切ってしまった関係の夫婦。突然、妻が交通事故で亡くなるが人気作家である夫はその事に対して特に何も思う事はなかった。
西川監督らしい人間の本性の奥深い所をグサグサと突き刺してきたりもするが、本作には子供映画の要素も有るのでいつもより随分優しい。そこが良かった。
西川監督が子供の撮り方、それは子供への接し方でもあるんだろうけどそれが上手いのが失礼ながら意外だった。
師匠筋の是枝裕和監督も子供撮るの上手いし。何か秘訣を伝授されたりしたんだろうか。
モックンの父親(疑似ではあるが)役も良かった。
モックン、湖でブチ切れ→マネージャー抑える。のシーンが面白かった。あのシーンを引きの絵でワンカットで撮るセンスがさすが西川監督。
モックンの役名は衣笠幸夫。国民栄誉賞の元野球選手、鉄人衣笠祥雄さんと字は違うが同姓同名でその事にコンプレックスみたいなものを持っていた。自分も某芸能人の方と同姓同名(字は違う)だったりするけどその事についてのコンプレックスみたいなのはこれまでのところ無い。それは有りがちな名前という事も有るのかもしれない。「衣笠祥雄」とはレベルが違う。比べるわけにはいかない。
物語としては着地が上手く決まらなかったように思えた。結局主人公は死んでしまった妻にどんな想いを持つ事が出来たのかはっきりしない。
でも、後から考えてみて、主人公は妻が死んだ後も妻のいない世界を生き続けるわけで、そして妻が死んだ事で愛情が再び蘇えるなんていうのは都合の良過ぎる話で。誰かの死によって生きている側に当然何らかの変化は有ってもすべてが劇的に良い方向に向かうなんて事は無くて。それは死を美化していない、都合良く扱っていないという事に思えた。
ニュースの真相 [ナ行の映画]
『ニュースの真相』
"TRUTH" (2015・オーストラリア=アメリカ・2h05)
製作・監督・脚本 : ジェームズ・ヴァンダービルト
出演 : ケイト・ブランシェット、ロバート・レッドフォード、デニス・クエイド、トファー・グレイス、エリザベス・モス、ステイシー・キーチ、ブルース・グリーンウッド
2004年のアメリカ大統領選挙で再選を目指すブッシュ大統領の軍歴詐称に関するスクープを放送したテレビ番組。その証拠が偽造であると指摘されスタッフや有名キャスターが窮地に陥る。
ネタバレ有。
実話の映画化。そのテレビ番組は"60ミニッツⅡ"という事で、マイケル・マン監督の『インサイダー』とは同じ番組なのかなあと思いながら観ていて。
『インサイダー』の方は"60ミニッツ”で、"60ミニッツⅡ"はその姉妹版という事。
"60ミニッツ”は1968年放送開始で現在も続く長寿番組。
本作と同じジャーナリズムをテーマとしたアカデミー賞作品賞受賞作『スポットライト 世紀のスクープ』ではジャーナリストのプライドが結果に結びついたけど、本作ではプライドが打ち砕かれる。
ボッコボコに負けてゆく中で現在のアメリカのジャーナリズムの問題点と、まだプライドを失っていない人たちもいるという事が描かれている所が良かった。
日本で一番悪い奴ら [ナ行の映画]
『日本で一番悪い奴ら』
(2016・日本・2h15)
監督 : 白石和彌
出演 : 綾野剛、中村獅童、YOUNG DAIS、植野行雄、矢吹春奈、ピエール瀧
北海道警察で銃器取り締まりのエースと呼ばれた刑事。何故エースとなる事が出来たのか、その真相と共に警察組織の実情に迫る。
国民を守る警察組織の薄汚い現実を見られる面白さを感じる所も多少は有ったけど、それを延々と長時間に渡って見せられるのはしんどかった。
ちょっと演技も大袈裟に感じられた。なんか無理してる感じ。
これがかつての東映やくざ映画の面々だったとしたら無理してるとは感じ無いのかもしれない。
矢吹春奈さんが時折森三中の黒沢さんに見えるのは多分正しい。
ノック・ノック [ナ行の映画]
『ノック・ノック』
"KNOCK KNOCK" (2015・チリ=アメリカ・1h39)
製作・監督・脚本 : イーライ・ロス 製作総指揮・出演 : キアヌ・リーヴス
出演 : ロレンツァ・イッツォ、アナ・デ・アルマス、イグナシア・アラマンド、アーロン・バーンズ
妻と子供たちをバカンスに送り出し一人自宅に残った男が道に迷った若い女性二人を親切心で家に招き入れる。そして男に悲劇が訪れる。
ネタバレ有。
イーライ・ロス監督作品だけに不快感たっぷり。善良な人間が陥れられひたすらに虐げられる姿が過激なブラックユーモアで描かれる。
女性二人の目的は何なのか? 普通のサスペンススリラーだとアーティストである妻のエージェントの横恋慕といった所が想像され、多分そうなんだろうと思っていたけど違くて。
それでは目的のない愉快犯的な不条理スリラーかと思うとそれもまた違くて。
思うにこれは世界中の全男への女性からの天罰であり戒めなんではないだろうか。
女性が苦しむ原因はおおむねが男に有ったりするわけで、本作の女性もその様な事を匂わせていた。
無作為に選ばれた(盗聴はしていたみたいだけど、相手として選んだ時点では無作為だったのだろう)善良な男が全男どもの罪を一人で被り、その罰を一人で受ける。
その男の姿にイエス・キリストを重ねる事も可能なのでは。男がキリストだとするなら女性はなんだ? と言ったらなんなんだろう?
製作にコリーン・キャンプ、製作総指揮にソンドラ・ロックの名前が有るのが興味を引かれる。
やはりソンドラ・ロックは本作の虐げられる男にあの人の姿を重ねたりするのだろうか。なんて事を考えてみたり。
コリーン・キャンプと言えば自分にとっては『ダイ・ハード3』の女性刑事。『地獄の黙示録』ではプレイメイトの一人を演じていたそう。
コリーン・キャンプは本作に出演もしているが、その姿で『ダイ・ハード3』の女性刑事を、そしてプレイメイトを思い浮かべる事は残念ながら不可能かと思われる。
ノーザン・リミット・ライン 南北海戦 [ナ行の映画]
『ノーザン・リミット・ライン 南北海戦』
(2015・韓国・2h10)
監督・脚本 : キム・ハクスン
出演 : イ・ヒョヌ、キム・ムヨル、チン・グ
2002年6月29日、サッカー日韓ワールドカップ、韓国とトルコの3位4位決定戦で韓国中が沸き立つ中、韓国と北朝鮮の黄海上の軍事境界線にて北朝鮮の警備艇が韓国の哨戒艇を突如攻撃し激しい戦いが始まった。
シネマート新宿 <韓国映画セレクション 2016 SPRING>にて。
韓国側の乗組員の方々も常日頃の厳しい訓練で任務に常に緊張感は持っていて、しかしサッカー熱が盛り上がる中まさかその日にそんな事が起きると思うはずもなく。そして悲劇は突然起きて。
といった所を韓国映画らしく熱く描かれる。
攻撃を仕掛けた北朝鮮の真意や目的も実際の所はよく分からないわけで。何をするか分からないという所は有っても誤射の可能性も否定できないだろうし。
それにしても死傷者を出した交戦があってその後よく第二次朝鮮戦争にならなかったなあと思う。その過程にも政治ドラマが有ったんじゃないだろうか。ドラマと言っては失礼だけどどうやって戦争勃発の危機を回避出来たのかそういう所も観てみたい気がする。
虹蛇と眠る女 [ナ行の映画]
『虹蛇と眠る女』
"STRANGERLAND" (2015・オーストラリア=アイルランド・1h51)
監督 : キム・ファラント
出演 : ニコール・キッドマン、ジョセフ・ファインズ、ヒューゴ・ウィーヴィング、マディソン・ブラウン、ニコラス・ハミルトン、メイン・ワイアット
子供二人がある日突然姿を消し生存を願う両親は警察や住民たちとともに捜索を続ける。そこは古くからの子供さらいの言い伝えが残る地だった。
オーストラリアの都会から離れた場所では、この地球上では人智では計り知る事の出来ない事象が有ると信じている人たちがいて、また時にその様な現象が実際に起こる。
それは地球の一部である人間にも同じ事が言えて、自分自身の事であっても100%完全に制御する事は出来ないし、時に自分でも思いもしなかった行動を起こしたりもする。
つまるところ何もかもが思い通りになるなんてことは人間の愚かな思い上がりですよ。といった大自然の教えの映画だったのかもしれない。
ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります [ナ行の映画]
『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』
"5 FLIGHTS UP" (2014・アメリカ・1h32)
監督 : リチャード・ロンクレイン 製作総指揮・出演 : モーガン・フリーマン
出演 : ダイアン・キートン、シンシア・ニクソン、コーリー・ジャクソン、クレア・ヴァン・ダー・ブーム
ニューヨーク、ブルックリン地区。40年住んだアパートメントを売る事を決めた夫婦。老後のため少しでも高値で売却したかったが折悪く近隣でテロを思わせる騒動が起きてしまう。
誰しもが年を取り、終わりの時がやってくる。その準備を周到にしておくのか、行ける所まで行くと粘るのか。それは老いを受け入れるのか、老いに抗うのか。という事なのかと思う。
諦めたら終わり。後は野となれ山となれ。と、モーガン・フリーマン79歳、ダイアン・キートン70歳が仰っている。
まあしかし、備えあれば憂いなしも必要ではないかと思うが。
野火 [ナ行の映画]
『野火』
(1959・日本・1h45)
監督 : 市川崑
出演 : 船越英二、ミッキー・カーティス、滝沢修、稲葉義男、浜村純
太平洋戦争末期、フィリピン戦線部隊所属の男。日本軍は敗走状態にあり、兵隊たちにとって戦場は生き地獄と化していた。男はその地獄をさ迷い歩く。
角川シネマ新宿 ≪生誕100年記念映画祭「市川崑 光と影の仕草』≫にて。
負け戦の戦場は正に生き地獄で。でも例えそこが地獄であってもそれでもなお人は生きようとする。時に手段を選ばず他人を犠牲にしても。
人ならざる行いをして地獄を生き抜いたとして、人は人でいられるのか。人ではいられないであろう。といった事なんだろうと思う。
戦争とは人を人でなくすものと。
戦後、こういった反戦映画は世界中で数多く作られて、反戦映画云々以前に大体の人は戦争は良くないと思っているはずで、でも戦争はなくならなくて。
人が戦争を起こし、戦争が人を人でなくす。その繰り返しなのかも。
の・ようなもの のようなもの [ナ行の映画]
『の・ようなもの のようなもの』
(2015・日本・1h35)
監督 : 杉山泰一
出演 : 松山ケンイチ、北川景子、伊藤克信、尾藤イサオ、でんでん、野村宏伸、三田佳子
真打を目指していた若手落語家たちも35年の歳月が流れそれぞれの道を歩んでいた。
出船亭志ん魚は落語家を廃業し行方知れずとなっていたがどうしても呼び戻しある噺を一席演じさせなければならなくなった。
映画の中でも現実でも35年の月日が過ぎていて、その間に森田監督が亡くなり。
本作は森田作品にオマージュが捧げられている。かといって『の・ようなもの』のあの独特な雰囲気を再現するのではなくて。多分あの雰囲気をそのまま現在に甦らせたら相当厳しい事になっていたような気がする。
ちょい役の特別ゲスト的な人も含め出演者が過去の森田作品に関わった人が多くてどこか同窓会的雰囲気が楽しめる所ではある。
しかしそれだけじゃなくて『の・ようなもの』の35年後の物語として、世代交代はされ現在の若者世代が中心ではありながら『の・ようなもの』世代も重要なポジションにいて話が進められていき。
それは『の・ようなもの』世代に向けた昔を懐かしむノスタルジーだけではなく、現代の若者の目線を取り入れてそれぞれの世代がそれぞれの今を生きているという事なのだろうと思う。
『の・ようなもの』はその当時の若者たちの今を森田監督の感性で描いた映画で、本作は現在の若者や昔若者だった人の今をを描くという精神が受け継がれていたのではないかと思う。
の・ようなもの [ナ行の映画]
『の・ようなもの』
(1981・日本・1h43)
監督・脚本 : 森田芳光
出演 : 伊藤克信、秋吉久美子、尾藤イサオ、でんでん、小林まさひろ、大野貴保、麻生えりか
古典落語の修行に励む若者。兄弟弟子たちと楽しく修行の日々は続くが落語家としての芽は一向に出てこない。
森田芳光監督を偲んで制作された『の・ようなもの のようなもの』を観る前に本作を観た事が無かったので観た。
一見すると素人の悪ふざけの様な所もあるが、それが狙いなのだろうと思う。1981年の日本映画事情については詳しくはないが、商業映画ともなればプロの仕事のきっちりとしたものを出すのが常識だったのではないだろうか。
そこに悪ふざけでもなんでも面白ければいいじゃんという一石を投じてそれが受け入れられた。
フジテレビが「楽しくなければテレビじゃない」というキャッチフレーズで躍進していくのと年代的に被るみたい。
古い常識、既成概念をぶち壊す。それが1980年代だったのかも。それが良かったのかどうかは現在の社会を見てみれば考えさせられるところではある。
出鱈目な映画のようでいて、終盤に入ってしっとりとしたシーンが入ってきてそのギャップにやられた。若者が夢を追う楽しさと苦しさというテーマみたいなものが明確になって映画としても引き締まったように思う。
秋吉さんがかわいかった。お芝居は多分天才肌の人なんだと思う。独特の感覚だから芝居相手の人とうまく噛み合わなかったりもする。
懐かしい顔や、今でも活躍中の人の若かりし頃が見れて良かった。
ナイトライダーズ [ナ行の映画]
『ナイトライダーズ』
"KNIGHTRIDERS" (1981・アメリカ・2h25)
監督・脚本・編集 : ジョージ・A・ロメロ
出演 : エド・ハリス、エイミー・インガーソル、トム・サヴィーニ、ゲイリー・ラーチ、パトリシア・トールマン
中世の騎士道精神で現代(1980年代)のアメリカを生き抜こうとした男。その元に多くの若者が集まりコミュニティを形成していたが男は既にその終わりを予感していた。
エド・ハリス主演で観たかった映画で、DVDを買ったもののしばらく放置した後、2015年の年の瀬に観た。
http://www.allcinema.net/dvd/knightriders.html
ジョージ・A・ロメロ版『旅芸人の記録』という評もあるが、『旅芸人の記録』未見なのでよく分からず。
アーサー王伝説を下敷きにしているという事で、そっちはなんとなく薄っすらとそんな感じだなあと思いながら観た。
アーサー王伝説についても大雑把にしか知らないけど、伝説の終わりは華々しいものではなかったみたいで。
本作の現代のアーサー王たらんとした主人公。しかし既に栄光の時は過ぎていて、終わりに向かっているけど周囲の人間はそれに気付いていない。
それは観ているこちらもそうで、終わりに向かっているのは分かるがなぜ終わりに向かっていっているのか分からない。
思うに1980年代に入ったアメリカ。という所が重要なのかもしれない。社会的政治的とかに。あとヒッピー文化の衰退とジェネレーションX世代の台頭というのもあるのかも。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3X
自分たちの時代が終わる事を予期し、自ら去る事を選ぶ潔さを美学としていたのかも。
エド・ハリスが当然ながら若かった。頭髪に関しては若い頃からあれだけども。あれが似合っててカッコいいし。
ジョージ・A・ロメロ映画の常連さんたちがキャスト・スタッフで多く関わっているようで、あんまりよく分からなかったけどスティーブン・キングは分かった。常連ではないみたいだが。
名もなき塀の中の王 [ナ行の映画]
『名もなき塀の中の王』
"STARRED UP" (2013・イギリス・1h45)
監督 : デヴィッド・マッケンジー
出演 : ジャック・オコンネル、ベン・メンデルスゾーン、ルパート・フレンド、アンソニー・ウェルシュ、デヴィッド・アヤラ、ピーター・フェルディナンド、サム・スプルエル
19歳の若者が少年院から成人用刑務所へ移送される。その刑務所には終身刑の父親も収容されている大人の世界だった。
ケンカはめっぽう強いが心はまだ少年な主人公が大人の世界に入れられたことで様々な事を知る。知らない方が良かった事までも知ってしまう。そういった経験を経る事が大人になるという事で。
それが主人公の今後の人格形成にどのような影響をもたらすのか。という所までは見えてはこない。よりタフな犯罪者になるだけなのかも。
刑務所事情については映画の中でしか知らないが、社会復帰のための更生と犯罪を犯した人間を社会から隔離するという両面があるのかと思う。本作の刑務所の場合は隔離の方を主な目的にしているようだった。
一般社会から隔離された特殊な環境だからこそ本作の様なハードな物語となるのだろう。
ケンカテクニックが満載な映画だった。日本で2006年大晦日に格闘技界で起きたヌルヌル事件を思い起こさせるテクニックなんかも有った。
特に強烈だったのは男性局部へのピンポイントアタック。恐ろし過ぎる。
日本のいちばん長い日 [ナ行の映画]
『日本のいちばん長い日』
(2015・日本・2h16)
監督・脚本 : 原田眞人
出演 : 役所宏司、山崎努、本木雅弘、堤真一
太平洋戦争末期となり日本政府は終戦に向けて動き始めるが本土決戦を視野に入れた戦争継続を望む者たちが軍部に存在した。
1967年の岡本喜八監督作品『日本のいちばん長い日』のリメイクというより、1965年刊行のノンフィクション『日本のいちばん長い日 運命の八月十五日』の再映画化といった方が近いのだろうと思う。
ノンフィクションの方は読んでいないのでどちらが原作により近いのかといった事は分からないが、岡本喜八監督版との違いは日本が選んだのが敗戦なのか終戦なのかという所にあるように思った。
岡本喜八監督版では戦争での負けを認めてのけじめといった所をみじめさを含んで泥臭く誠実に描こうとしていたのだろうと思う。それは岡本喜八監督の心情として、無謀な戦争を推し進めていった上の方の人たちにきちんと責任を取らせたかったんじゃないだろうか。
本作はというと反対勢力がいる中で戦争を終わらせたヒーローたちがいた。と、何かその様な人たちを美化しているように思えた。
やんごとなきお方役のもっくんの「あ、そ」が上手かった。やんごとなきお方もヒーローになってた。
ナイトクローラー [ナ行の映画]
『ナイトクローラー』
"NIGHTCRAWLER" (2014・アメリカ・1h58)
監督・脚本 : ダン・ギルロイ 製作・出演 : ジェイク・ギレンホール
出演 : レネ・ルッソ、リズ・アーメッド、ビル・パクストン
ニュース映像のトップ屋として頭角を現す男。その存在は誰も無視できないものにまでなっていった。
反道徳的、反社会的な行いに一切ためらいのない主人公。
それに対抗するような良識を持ったキャラクターは登場せず。インモラルな人間を生み出してしまった社会的背景は特に描かれる事もなく。
社会が歪んでいる事はもう当たり前の事であって、歪んだ社会で生き抜き成功するのは歪んだ社会に適合した人物であり、その成功した人物が更に歪んだ社会を作ってゆく。
道徳的観念からしたらどこまでも堕落する物語でありながら、堕落する事で成功するサクセスストーリーでもある事に爽快感さえも感じてしまう。
人として踏み入れるのは憚れる領域にズブズブにはまり込んでゆく背徳の物語に人は魅惑されるものだという事を思い知らされる怪作といった所だろうか。
キューザック家の長女アン・キューザックがテレビ局で働く人でチラッと出ていた。
アン(長女)、ジョン(長男)、ジョーン(次女)
スージー(三女)、ビル(次男)も俳優らしい。