イエローキッド [2009年11月に観た映画]
『イエローキッド』
(2009・日本) 1h46
監督・脚本 : 真利子哲也
出演 : 遠藤要、岩瀬亮、町田マリー、波岡一喜、玉井英棋、でんでん
若きボクサーの現実が、売れない漫画家の描く漫画の非現実に侵食されてゆく。
って話しだったんだろうか?
正直よく分からない。
目指した所は現代日本版『タクシードライバー』?
日本のインディーズ映画らしい、辛気臭く救いの無い独りよがりの映画にしか思えなかった。
ヤクザ一歩手前のチンピラボクサー役の玉井英棋さんの存在感が凄かった。
リアルにヤクザ一歩手前。
あれが演技だったとしたら本当に凄い。
実際にヤクザ一歩手前の人だったとしても、そんな人映画に出しちゃってそれはそれで凄い。
ポニョとアニー賞 [2009年11月に観た映画]
昨晩『ポニョ』がテレビ初放送されていました。
劇場公開からこんなに早い放送は、やっぱりアカデミー賞ノミネートを見込んでの事だったのかなぁ。と邪推してしまいます。
「祝!アカデミー賞ノミネート!」的な宣伝をしたかったのかなぁ。と。
結局アカデミー賞には何にもかすりもしないで残念でしたが。
アニー賞でも映画部門の作品賞ノミネートには選ばれず。監督賞と音楽賞のみ。
http://www.cinematoday.jp/page/N0021150
その時点で関係者の方々は嫌ぁな予感はしていたんだろうなぁ。と、また邪推。
アニー賞授賞式は2月6日(日本時間では7日?)に開催。
ちなみに映画部門作品賞ノミネートは、『くもりときどきミートボール』『コララインとボタンの魔女』『ファンタスティック・ミスター・フォックス』『プリンセスと魔法のキス』『ブレンダンとケルズの秘密』『カールじいさんの空飛ぶ家』の6作品。
昨年は『ウォーリー』が『カンフー・パンダ』に完敗。という珍事(?)が有ったので、今年も『じいさん』が安泰という事は無さそう。な気がする。
個人的にはフランス映画の『ブレンダンとケルズの秘密』がものすごく気になる。
ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)NO.1と呼ばれた男 Part2 ルージュ編 [2009年11月に観た映画]
『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)NO.1と呼ばれた男 Part2 ルージュ編』
“MESRINE : L'ENNEMI PUBLIC N 1” (2008・フランス) 2h12
監督・脚本 : ジャン=フランソワ・リシェ
出演 : ヴァンサン・カッセル、リュディヴィーヌ・サニエ、マチュー・アマルリック、オリヴィエ・グルメ
Part1のつづき。
悪い事をする、逃げる、捕まる、逃げる。悪い事をする、逃げる・・・(以下繰り返し)
実在した伝説の悪党、ジャック・メスリーヌの悪の行いだけをPart1と2合わせて4時間超で見せつける。
正直、4時間超の割に内容薄っ。と思わざるを得ませんでした。
出演者や画面の絵作りは良かっただけに勿体無い。
実験室KR-13 [2009年11月に観た映画]
『実験室KR-13』
“THE KILLING ROOM” (2008・アメリカ) 1h34
監督 : ジョナサン・リーベスマン
出演 : クロエ・セヴィニー、ピーター・ストーメア、ティモシー・ハットン、クレア・デュバル、ニック・キャノン、シェー・ウィガム
残酷な実験を課せられる被験者たち。それを見つめる実験者たち。
ネタバレ有り。
ドンデン返し有りの作品かと思ったけどそれはなく、ただひたすらに人間の暗黒面を浮き彫りにする。
故に映画的面白さには欠ける。故に暗黒面をじっと正視しなければならない。
暗黒面を目の当たりにさせられる嫌な感じ。でも不快とまではいかないスレスレの線を突いてくる。
そこらへんは上手いなぁと思いましたが、それが狙い通りなのか、たまたま偶然なのかは不明。
映画的面白さは序盤の衝撃の展開。
ビックリした。まさかあんな初めの方であんな事になるとは。ピーター・ストーメア恐ろしい。
面白さとしてはそこがピークなのだけど。
出演者は実力派揃い。皆さんそれぞれ雰囲気を持っている実力派なのでそれだけでも観応えは有りました。
ティモシー・八ットンがいい感じに年取っている。
後は良い作品に恵まれて欲しい。
風が強く吹いている [2009年11月に観た映画]
『風が強く吹いている』
(2009・日本) 2h13
監督・脚本 : 大森寿美男
出演 : 小出恵介、林遣都、中村優一、川村陽介、ダンテ・カーヴァー、橋本淳、森廉、内野謙太、斉藤慶太、斉藤祥太、水沢エレナ、津川雅彦
箱根駅伝出場を目指す弱小陸上部の奮闘。
熱血を表に出さない熱血スポ根。いかにも当節風。あだち充先生的。
そこが良かったんだけど、最後はバリバリの熱血。
それもそれで良かったんだけど、表に出さない熱血を貫いて欲しくも有り。
あだち先生ならどうしただろう?
皆さん走る姿がカッコイイ。
しかしながら個人的走る姿カッコイイベストは『サイゴン』のウィレム・デフォー。
脚の動きについていけず上体がのけ反ってしまう。フォーム的には美しくは無いのかもしれないけど、その力強さがカッコイイ。
『M:i:Ⅲ』のトム・クルーズ、『ロッキー』の2か3で浜辺を走るスタローンもカッコよかったけど、やっぱりベストは『サイゴン』のウィレム・デフォー。
林君のスポーツ万能っぷりは相変わらず凄い。
野球、飛び込み、ボクシング(未見)と来て駅伝。
こうなったら変に演技派を目指さず、超一流のスポーツ万能役者を目指して欲しい。
ムエタイもいけんじゃないだろうか。トニー・ジャーと闘う姿を観てみたい。
ムーンウォーカー [2009年11月に観た映画]
『ムーンウォーカー』
"MOONWALKER” (1988・アメリカ) 1h33
製作・監督 : ジェリー・クレイマー 製作総指揮・原案・出演 : マイケル・ジャクソン
出演 : ショーン・レノン、ケリー・パーカー、ブランドン・アダムス、ジョー・ペシ
マイケルのバラエティショー。
本当は当時の最新アルバム『BAD』を基にしたエンターテイメント・ムービーショーを作りたかったんじゃないだろうか。
「スリラー」でプロモーション・ビデオに革命を起こしたように、それの規模を大きくしたプロモーション・ムービーで音楽界、映画界に革命を起こそうとしたのでは。
その意図が伝わってくる所もチラホラと有りましたが、全体的にはバラエティショーになってしまったのは何故なのかを考えると。
大人も子供も楽しめるエンターテイメントショーを目指したのが、子供も楽しめる部分が異様に拡大してしまったためバラエティショーになってしまった。
子供好きのマイケルらしい。
マイケルがロボットになるのがその最たる例かと思いますが、残念な事にそのマイケルROBO微動だにせず。巨大な人型砲台。移動手段は飛行形態。
アメリカには巨大ロボット文化が無いからロボットを動かせないんだと思う。『スターウォーズ』の有名ロボットコンビの動きが限界。それでも巨大ロボットじゃないし。
ようやっと『トランスフォーマー』の以前辺りから動かせるようになったみたいですが。
レンタル店で見かける度に気になっている作品。ロボットはほとんど出ていないらしい。
やっぱロボットは動かしてこそカッコイイ。
ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)NO.1と呼ばれた男 Part1 ノワール編 [2009年11月に観た映画]
『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)NO.1と呼ばれた男 Part1 ノワール編』
"MESRINE : L'INSTINCT DE MORT” (2008・フランス) 1h54
監督・脚本 : ジャン=フランソワ・リシェ
出演 : ヴァンサン・カッセル、セシル・ドゥ・フランス、ジェラール・ドパルデュー
悪い事をする、逃げる、捕まる、逃げる。悪い事をする、逃げる、・・・(以下繰り返し)
↑の通りな作品なので正直飽きましたが、最後のカナダ篇は面白かった。
脱獄と復讐。
復讐は何をしたかったのかが今イチよく分かりませんでしたが、でも復讐に現れる。という行為自体がカッコよかった。
脱獄シーンで、便乗脱獄をする人たちがいるのがなんか面白い。
きっとあの人たちは主人公が金網切ってんのをこっそりと盗み見していて、もしも成功したら俺も、とこっそりと各自ベストポジションを確保していて、いざ成功したらダッシュで金網をすり抜ける。
その抜け目無さは、さすが刑務所に入れられるだけの人たちではあるなぁ。と感心しました。
ヴァンサン・カッセルをはじめとして、悪の男たちの面構えがカッコよかった。
特にお気に入りはカナダ篇でのヴァンサン・カッセルの相棒役の人。
永島敏行さんとジョニー大倉さんを足して2で割ったような感じ。
ソウ6 [2009年11月に観た映画]
『ソウ6』
"SAW Ⅵ” (2009・アメリカ) 1h35
監督 : ケヴィン・グルタート
出演 : トビン・ベル、コスタス・マンディロア、ピーター・アウターブリッジ
ジグソウが社会悪に個人的鉄槌を下す。
『ソウ』シリーズも2作目以来久し振りに観ます。
本編前に「ソウ集編」有り。との事だったので大丈夫だろうと気楽に思いましたが、「ソウ集編」観てもなんだかさっぱり分からず。
連続殺人犯のジグソウ(故人)が社会悪に鉄槌を下す様を残酷に描くのと、ジグソウの後継者問題をドロドロの人間関係を交えて描くのが特徴なのかと思いました。
本作での社会悪は保険業界。マイケル・ムーアの作品に影響されたのだろうか?
後継者候補の刑事役の人がスタローンに似てた。
新宿アカデミー最後の上映作品。
オデヲン、グランドオデヲンの最後の作品も観れたので良かった。
笑う警官 [2009年11月に観た映画]
『笑う警官』
(2009・日本) 2h02
製作・監督・脚本 : 角川春樹
出演 : 大森南朋、松雪泰子、宮迫博之、忍足修吾、蛍雪次朗、野村祐人、伊藤明賢、鹿賀丈史、矢島健一、大友康平
殺人の容疑を掛けられた刑事。
疑問を抱き独自に捜査を始める所轄の刑事たち。
その裏には警察権力の陰謀が隠されていた。
話しとしては面白いと思うけど、大人の映画を目指したのかやけにゆっくりとした展開。
そのためタイムリミットモノとしては緊迫感に欠ける。
裏表のある複雑な内容なので、そこらへんを分かりやすく丁寧に描いてくれたのだと思う。
多分これを緊迫感重視で突っ走られたら見失ってた。
大森南朋さん、ひげ生やすとお父さんの麿赤兒さんに似てる。
沈まぬ太陽 [2009年11月に観た映画]
『沈まぬ太陽』
(2009・日本) 3h22
監督 : 若松節朗
出演 : 渡辺謙、三浦友和、鈴木京香、松雪泰子、香川照之、石坂浩二、加藤剛
戦後日本。高度経済成長に潜む闇。
エライ人たち、出世した人たち、ほとんどが腐ってた。
その腐ってる部分をえぐり出して「ほれ」と民衆の目の前にさらけ出してくれますが、それだけじゃ辛い。
それも有り、『三丁目の夕日』のように貧しくても温かく希望に満ちた時代であった。という事と対でなければ観てて辛い。
まぁ最後の方で腐ってる方たちにはちゃんと天罰が下って、辛いだけの作品にはなってないのだけれど。
正論ぶつけキャラの主人公が、正論ぶつけちゃいけない相手に正論ぶつけて酷い目に遭う。
その様がじっくりと描かれていて、3時間超、途中休憩有り。の意味は有った様に思う。
ただ原作が大長編のために、それでもダイジェスト的になっている部分も有るように思えました。
主人公が長年の海外勤務から日本へ帰ってこれたエピソードとか、昔、組合の仲間だった男が自死したのにも拘らず丸っきりスルーされている所とか。なんか大事な所が抜けているような気がする。
主人公が正論ぶつけキャラなのだとはっきり分かったのが、娘の結婚相手の両親に正論ぶつけた時。
小気味良かった。ああいうエピソードをもっと見たかった。
石坂浩二さんのインチキ関西弁がちょいちょい気になった。
なんでちゃんとした関西弁を使える人を起用しないのだろう?
12人の怒れる男/評決の行方と十二人の怒れる男 [2009年11月に観た映画]
『12人の怒れる男/評決の行方』
“12 ANGRY MEN” (1997・アメリカ) 1h57
監督 : ウィリアム・フリードキン
出演 :
コートニー・B・ヴァンス
オシー・デイヴィス
ジョージ・C・スコット
アーミン・ミューラー=スタール
ドリアン・ヘアウッド
ジェームズ・ガンドルフィーニ
トニー・ダンザ
ジャック・レモン
ヒューム・クローニン
ミケルティ・ウィリアムソン
エドワード・ジェームズ・オルモス
ウィリアム・ピーターセン
メアリー・マクドネル
DVD化されていないのでもうどこのレンタル店にも置いていないのだろうなぁ。と諦めていましたが、近くのレンタル店にビデオが置いて有りました。ので観ました。
傑作『十二人の怒れる男』をウィリアム・フリードキン監督がテレビムービーとしてリメイク。
驚くほどオリジナルに忠実でした。
時代は現代(1997年当時)に置き換えられていますが、それだと陪審員である登場人物が全員男なのは現代らしくはありません。
しかし、それはタイトルが“MEN”だから致し方無い所でもあって、でもそれじゃあって事でか判事が女性(メアリー・マクドネル)でした。
脚本はオリジナルとほぼ一緒のように思えました。
若干の変更点は精神鑑定のテストの話しが出てくる所が現代っぽい。
テレビムービーとは言えこの完全リメイクの意味は何なのか?と考えると、演劇などではシェークスピアなどをその時代時代の名優が演じているわけで、それを映画でやってもいいじゃない。って事なのかと思います。
各時代にそれぞれの『十二人の怒れる男』が出来る。それだけ普遍性のある正義についての物語。という事でしょうか。
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『十二人の怒れる男』
“12 ANGRY MEN” (1957・アメリカ) 1h35
監督 : シドニー・ルメット 製作 : ヘンリー・フォンダ
出演 :
マーティン・バルサム
ジョン・フィードラー
リー・J・コッブ
E・G・マーシャル
ジャック・クラグマン
エドワード・ビンズ
ジャック・ウォーデン
ヘンリー・フォンダ
ジョセフ・スィーニー
エド・ベグリー
ジョージ・ヴォスコヴェック
ロバート・ウェッバー
『12人の怒れる男/評決の行方』を観て気になる事が有ったので、オリジナルを確認してみたくなりました。ので観ました。
『~評決の行方』を観ていて長く感じて、上映時間を較べてみたら20分ほどの差が有る。
脚本はほぼそのままなのに(実際、雑談に至るまでほぼそのままでした。)なんで?
と疑問に思ったのですが、本作を観て分かりました。
本作の方が物語の展開のテンポが圧倒的に早い。しかも俳優さんが皆早口。
密室劇とは思えぬほどのスピード感。そのスピード感が濃密な物語をより濃密にしているかのようでした。
『~評決の行方』の方は、じっくりと間をとる事によって人間ドラマとしての厚みを出そうとしたのかもしれない。しかしそれが物語を散漫にしていた印象も無きにしも非ずで。
個人的には、本作の物語が押し寄せてくるかのような迫力の方が好きです。
迫力と言えば、画面構成においても本作の方が迫力が有りました。
それは何故かと考えるに。十二人の密集度が本作の方が遥に濃い。
机が狭いので密集せざるを得ないのですが、十二人の怒れる男たちが密集している画面はとても迫力が有りました。
ラストがカッコイイ。群像劇としては感傷的な結末でありながら、映画としてはその感傷を引きずらずサラッとしたエンディング。カッコイイ。
ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない [2009年11月に観た映画]
『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』
(2009・日本) 1h41
監督 : 佐藤祐市
出演 : 小池徹平、田辺誠一、品川祐、池田鉄洋、中村靖日、千葉雅子、マイコ、田中圭、森本レオ
ブラック会社に勤め始めた元引きこもりの若者が「もう限界かもしれない」。と思うお話し。
ネタバレ有り。
マ男(小池)・・・のび太
藤田(田辺)・・・ドラえもん
中西(マイコ)・・・しずかちゃん(かなり天然)
リーダー(品川)・・・ジャイアン
井出(池田)・・・スネ夫
木村(田中)・・・出来杉(かなり腹黒)
その他(中村、千葉)・・・クラスメート
のような配置で『電車男』のブラック会社版な物語が展開されました.。
目の前に5、6歳のお兄ちゃん、3、4歳の妹さんがお母さんに連れられて観に来られていましたが、最後まで静かに観ていたのに驚き。
お兄ちゃんは最後の方で飽きちゃったのかもぞもぞしていましたが、妹さんはお母さんの膝の上で集中して観ていた様子。
もしかすると妹さんは小池さんのファン?
だとしたらスクリーンに釘付けだったのも納得がいく。
シビアな現実が描かれる映画で、大人の自分が観るとツラくなるものも有りましたが、基本『ドラえもん』なので逆にお子様の方が楽しんで観れる映画なのかもしれない。
小池さんが地面に膝から崩れ落ちるシーンが有りますが、見事に膝からいってた。
アスファルトに膝からいくのは相当怖い。
その後顔面は手を先についてカバーしているようだったのがちょっと残念。
ドゥーニャとデイジー [2009年11月に観た映画]
『ドゥーニャとデイジー』
“DUNYA & DESIE” (2008・オランダ=ベルギー) 1h42
監督 : ダナ・ネクスタン
出演 : マリアム・ハッソーニ、エヴァ・ヴァンダーウェイデーヴェン
オランダで生まれ育ったモロッコ人のドゥーニャと生粋のオランダ人のデイジー。
二人はマブダチ。
モロッコ人としてのアイデンティティーが希薄なため、両親との価値観の違いに悩むドゥーニャ。
望まぬ妊娠をし、自分も生後まもなく両親が離婚したため望まれずに生まれてきてしまったのではないかと悩むデイジー。
ドゥーニャが親同士が決めた縁談のためモロッコへと里帰りしたのに便乗し、デイジーは生き別れになった父親に自分が望まれて生まれてきたのか真意を確かめるため、ドゥーニャを引っ張り込んでモロッコはカサブランカを目指す。
というお話し。
元々がオランダで人気のテレビドラマでそれの映画化。
ドラマは未見ですが、人気の秘密は主役二人による所かと思う。
ドゥーニャはやや生真面目。デイジーは本能の赴くままに生きるある意味自然児。
正反対の性格ながらなぜか気の合う二人。でもケンかはしょっちゅう。でもすぐ仲直り。
そんなにすぐ仲直りするなら喧嘩しなきゃいいのに。と思うほどすぐに仲直り。
そんな二人が様々な出来事に直面し、真摯にその出来事に向き合う。
もっとキャピキャピしたガールズドラマかと思っていましたが、キャピキャピ担当はデイジーで、でもデイジーもデイジーなりに真面目に人生を生きている。その真摯さが好感でした。
旅を通して自分はモロッコ人なのだと自覚するドゥーニャ。
モロッコの古い建造物(遺跡?)を見てそれがきっかけになるのだけど、それがどう繋がるのかが今イチ分からない。
日本人に置き換えると、富士山を見て自分は日本人なのだなぁと自覚する。という所だろうか。
わたし出すわ [2009年11月に観た映画]
『わたし出すわ』
(2009・日本) 1h50
監督・脚本 : 森田芳光
出演 : 小雪、黒谷友香、井坂俊哉、山中崇、小澤征悦、小池栄子、仲村トオル
お金が生み出す喜劇だったり悲劇だったり。
久し振りに故郷に帰ってきた主人公が、同級生たちが抱える諸問題に金銭の援助を申し出る。
その行動に、なんで?どうして?と思っても、答えは出してくれない作品。
そのお金が生み出すドラマを描く事を目的としているのかと思う。
大概の問題はお金で解決出来るものだし、そりゃぁ有れば有っただけ嬉しい。でも、そのお金が問題を生み出してしまう事も有る。
お金とは摩訶不思議なものなのである。が最終的な答えだろうか。
主人公のミステリアスな行動の真意が分からないけど、そこに不満はあまり感じなかった。
不思議な感覚に包まれている映画なので、敢えて答えを出さない事によってより不思議な映画になった気がする。
本作やジム・ジャームッシュの映画を観ると、映画って雰囲気を作るのが重要な事のように思えてきた。
世界観、空気感、時間の流れ。その他諸々ひっくるめてその映画独自の雰囲気を作り出す。
それが重要なのではないかと。
本作に溢れる不思議な感覚はまさに独自の雰囲気でありました。
パイレーツ・ロック [2009年11月に観た映画]
『パイレーツ・ロック』
“THE BOAT THAT ROCKED” (2009・イギリス=ドイツ) 2h15
製作総指揮・監督・脚本 : リチャード・カーティス
出演 : トム・スターリッジ、ビル・ナイ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ニック・フロスト、リス・エヴァンス、ケネス・ブラナー
海賊ラジオ局のお気楽な日々。
予告を観て、海賊ラジオ局と英国国家との闘争がシリアスに描かれるのかと勝手に思ってました。
それは悪い意味で裏切られ、海賊ラジオ局のHでお気楽な日々が描かれるお色気コメディでした。
まぁこちらが勝手に予告で勘違いしたのが悪いのですが、いつまで経ってもシリアスな展開にならず、なんかイラッとしてしまった。
お色気コメディとして観れば全く問題は無いのだと思います。場内たくさんの笑いが起こってました。
個人的にはロックの意味、既成概念や権力への反発。そういうものを期待していました。’60年代のお話しならそういったものが描けたはずだと思う。
まぁロックはそうお硬く考えるものじゃないのだ。という事なのかもしれない。『キャデラック・レコード』でロックを始めた人たちも、別にロックで世界を変えようとは思っていなかったみたいだし。
『キャデラック・レコード』では富を得るために、本作では異性との交際への橋渡しとしてロックは存在する。
そういうものなのだろうけど、じゃあ本作の最後でビル・ナイが「ロックン・ロォ~ルッ!」と拳を振り上げて叫んだのは何だったんだろう?
最後に来て急に反骨精神見せられてもなぁ。と、時既に遅し感は否めませんでした。