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『どぶ鼠作戦』『血と砂』 [岡本喜八監督の映画]

『どぶ鼠作戦』を観た。1962年、日本、1時間42分。
第二次世界大戦末期、北支(中国北部)戦線。激戦は続き日本軍の新しく赴任してきた指揮官が捕虜となる。救出作戦を任命された特務隊には一本の短刀が渡される。それは救出が成された時に指揮官の自決を促すためのものだった。

まだ観ていなかった岡本喜八監督作品。『独立愚連隊』『独立愚連隊西へ』に続くシリーズ三作目だとか。三作品に話の繋がりはなく第二次世界大戦末期の北支戦線での物語のシリーズという事らしい。

主演はシリーズ三作品に出演している佐藤允(さとうまこと)さん。無骨ながら飄々としていてこういう役が自然に、そしてカッコ良く演じられる人もそういないんではないかと思う。
ジブリ作品『もののけ姫』ではタタリ神の声を演じられているが佐藤允さんと気付ける人はほとんどいないんじゃないだろうか。

主人公だけではなく他のキャラクターも戦時の悲惨さを感じさせない。本作が戦争の酷さ醜さを描いていないという事ではなくて、戦争の醜悪さがしっかりと下地に有りつつその中で戦争活劇が展開される。恐らく現実にはそういう活劇的な事は無かった。でもそんな事が有っても良かったのに。という意味で本作はファンタジーなのではないかと思う。
『独立愚連隊』以前は日本映画で第二次世界大戦を描くにあたって娯楽活劇作品というものは無かったらしい。なので『独立愚連隊』公開当時は好戦的という批判も有ったとか。

上原謙さんと加山雄三さんの親子共演作品。一緒のシーンは無かった。上原謙さんが加山雄三さんの代表作『若大将』シリーズに数本出ている様なので共演作品がそれほど珍しいという事でもないのか。



『血と砂』を観た。1965年、日本、2時間12分。
第二次世界大戦末期、北支戦線。戦禍を戦い抜いてきた曹長と音楽学校から学徒出陣してきた若者たちが前線に送られる。若者たちは曹長にしごかれ重要拠点である砦の奪還作戦に就く。

本作も『独立愚連隊』シリーズの一本とする見方も有るみたい。佐藤允さんも出演している。
確かに戦争活劇ではあるけどまだ初(うぶ)な若者たちを登場させる事によって反戦メッセージが色濃くなっている。
本作も現実には有り得なかった(有ったのかもしれない)という意味でファンタジーなのだと思うけど、それは当時の若者たち、戦時下で青春を過ごし短い一生を終わらせられた若者たちにせめて映画の中で活劇映画の登場人物となって活躍してもらおうという、ご自身も戦時下で青春時代を過ごした岡本喜八監督ならではの戦友たちへの慰霊、鎮魂なのではないかと思う。



新文芸坐、「映画を通して歴史や社会を考える"反骨の映画作家・岡本喜八の流儀"」の二本立てで観た。
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激動の昭和史 沖縄決戦 [岡本喜八監督の映画]


映画パンフレット 激動の昭和史 沖縄決戦(1971作品) 発行所:東宝株式会社事業部(A4版)1971年発行 監督: 岡本喜八  脚本: 新藤兼人  出演: 小林桂樹 、丹波哲郎 ほか

『激動の昭和史 沖縄決戦』
(1971・日本・2h29)
監督 : 岡本喜八
出演 : 小林桂樹、丹波哲郎、仲代達矢、田中邦衛、高橋悦史、神山繁、岸田森、大空真弓、酒井和歌子、丘ゆり子
ナレーション : 小林清志







太平洋戦争末期、日本軍は追い詰められついに沖縄が戦場となった。



軍人役には名だたる名優が顔を揃え、この面子ならもしかして勝てるんじゃないかと錯覚してしまうが当然そんな事は無く敗色濃厚になっていく。それは実際に戦場にいるその人たちが無能だったんじゃなくて、軍上層部が無能で有能な人材を活かす事が出来ず、その上多くの沖縄の一般市民を巻き添えにした。そういう事を描いているんだろうと思う。先の読めない無能な人が戦争を始めてその結果は多くの人を犠牲にする悲惨なものになると。



内容的にはつらいんだけど爆発量が凄かった。そして名優たちの共演は単純に観ていて楽しい。
神山繁さんも今年亡くなられてしまった。合掌。



新文芸坐 ≪8.15 終戦の日特別企画 反戦・反核映画祭≫にて。
ドキュメンタリー映画『沖縄・うずりんの雨』との2本立て。『沖縄・うずりんの雨』は観なかった。
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大菩薩峠 [岡本喜八監督の映画]


大菩薩峠[東宝DVD名作セレクション]

『大菩薩峠』
(1966・日本・2h00)
監督 : 岡本喜八
出演 : 仲代達矢、新珠三千代、西村晃、内藤洋子、佐藤慶、三船敏郎、加山雄三









我流の剣法を身につけその強さを恐れられる机竜之介。
時は幕末、邪魔者は斬り殺す物騒な世の中で机竜之介はその腕を利用され、過去の所業から命を狙われていた。



新文芸坐、"映画本格デビュー60周年/祝 文化勲章受章 第三回仲代達矢映画祭”にて。
『斬る』との二本立て。『斬る』は観なかった。



机竜之介は己の強さが全てで、強ければ何をしても構わないとする人物。いくら物騒な世の中とはいえその生き方は破滅へ向かって一直線。
つまりはそういう破滅の物語なのだろうと思うが破滅の最後までは行ききっていない。これからさらに壮絶な破滅へと向かうその入口に入った所まで。原作小説は大長編のようでしかも未完との事。何か映画も未完のままで終わったような。

入口に入るまでは引き返す事が出来たのだけど、入口に入ってしまったら引き返す事は出来ず後はもう破滅へ向かって進むしかないと。だから入口に入った時点で終わったも同然という事なのか。



新選組の芹沢鴨役が佐藤慶さんって自分の中でのベスト・オブ・芹沢鴨じゃないかと思う。



七兵衛(西村晃)がお松(内藤洋子)を助けるのには純粋に我が子の様に思っての事なのか、それとも多少は恋愛感情が有っての事なのか。
恋愛感情が有って、宇津木兵馬(加山雄三)とお松をめぐって恋のバトルに発展とかをつい妄想してしまった。
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姿三四郎 [岡本喜八監督の映画]


マジメとフマジメの間 (ちくま文庫)

『姿三四郎』
(1977・日本・2h23)
監督・脚本・出演 : 岡本喜八
出演 : 三浦友和、秋吉久美子、仲代達矢、若山富三郎、田中邦衛、中村敦夫、矢吹二朗、宮内洋、森繁久彌、丹波哲郎、芦田伸介、岸田森








明治時代、会津の若者姿三四郎は柔術を極めるべく東京へと旅立つ。運良く高潔な師に出会い、己の高慢さに気付かされた三四郎は真の柔道家となるため様々な試練に立ち向かうのだった。



銀座シネパトス “生誕88周年 ハチ、ハチ、喜八 岡本喜八監督特集”にて。



黒澤明監督の『姿三四郎』のリメイクという事なんだろうか。黒澤版は未見。なので単純に岡本作品として楽しめた。

前半と後半で物語が分かれるが、そのつなぎが上手くいっていない感じはした。これは『姿三四郎』と『續姿三四郎』の2本を1本でリメイクしたという事なのか。



当時人気沸騰中の三浦友和さんの若さ爆発の魅力が詰まった青春柔道映画として成功していると思う。爽やかでカッコいい。

アイドル映画という側面も有ったのか主題歌有り。ザ・主題歌といった感じで聴いてて若干恥ずかしくなってくるけど耳には残る。

三浦さん、身体能力が高く映画冒頭でのアクションシーン、特に小部屋での三四郎と憲兵との立ち回りシーンは柔道アクション映画としての面白さと、柔道がアクション映画となり得る可能性を感じた。ちょっとジャッキー・チェンの映画っぽいアクロバチックな感じで。

若山富三郎さんとの対決シーンも良かった。若山さんのアクションがキレキレ。恐らく実際に柔道有段者だろうと思える動き。



V3、アオレンジャー、ズバットの宮内洋さんを映画で見たのは初めてかも。年代的にはズバットの頃の様。
快傑ズバットメモリアル [VHS]












宮内さんの兄役の矢吹二朗(千葉治郎)さんは千葉ちゃんの実の弟さんである事を初めて知った。
宮内さんとの兄弟役はライダー出演つながり?三兄弟で長兄は木枯らし紋次郎の中村敦夫さん。
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にっぽん三銃士 おさらば東京の巻とにっぽん三銃士 博多帯しめ一本どっこの巻 [岡本喜八監督の映画]


フォービート・アルチザン 岡本喜八の映画音楽












『にっぽん三銃士 おさらば東京の巻』
(1972・日本・1h28)
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 小林桂樹、ミッキー安川、岡田祐介、藤岡真理、加賀まり子、岸田森

『にっぽん三銃士 博多帯しめ一本どっこの巻』
(1973・日本・1h36)
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 小林桂樹、ミッキー安川、岡田祐介、藤岡真理、田中邦衛、市川翠扇



銀座シネパトス “生誕88周年 ハチ、ハチ、喜八 岡本喜八監督特集”にて。



『にっぽん三銃士 おさらば東京の巻』

1970年代初め、学生運動で盛り上がる新宿。
2丁目のスナックに40代の戦中派、30代の戦後派、20代の無戦派、3人の男が顔を合わす。
その夜に3人の仕事、家庭、地位が失われる事となる。



岡本監督作品でこういう作品が有った事自体知らなかった。それほど話題に上がる作品ではないみたいだし。
五木寛之原作の当時のベストセラー小説の映画化。
主演が小林桂樹さんという事で『江分利満氏の優雅な生活』からの何かのつながりでの監督なのかと思ったけど、『江分利満氏の優雅な生活』は興行的には成功とは言えなかったみたいで、プロデューサーが激怒したとかなんとか。
そっから約10年を経てどういう因果で小林桂樹さんを再び主演に迎えてこの映画を撮ることになったのだろう。

戦後、経済の高度成長を続ける日本。まるで戦争など無かったかのような日本という国に対して疑問を持つ戦中派の男が主人公。という所が本作と『江分利満氏の優雅な生活』の共通するテーマなのかと思う。



ほぼ一夜の物語とは知らなかったので、映画の中の時間間隔が妙な感じがした。一夜の物語と知っていればそうは思わないんだろうけど。
スナックでのシーンが長めに思えて、約90分の作品でこのシーンでこれだけ時間を割いて物語はどこへ向かおうとしているのか。それが分からなかったので妙に思えたのかも。

結局は『博多帯しめ一本どっこの巻』との2部構成という事で本作は「第1部完」という感じで終わった。
その終わり方は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを思い出さずにはいられなかった。



ミッキー安川さんの演技は今で言ったらとんねるずの石橋さんな感じ。失礼ながら決して上手ではなく、でも独特な味が有って。

加賀まり子さんが当然若くて可愛かった。でも現在とそれほど変わっていないように思えるのは現在が驚異的なのかと思う。






『にっぽん三銃士 博多帯しめ一本どっこの巻』

東京を後にし行先の分からない列車に乗り込んだ3人。着いた先は博多。面倒見のいい姐さんと偶然知り合い住まいと仕事を世話される。
その仕事とは合成ビールの製造。住まいは違法住居。やがて不動産業者により立ち退きを迫られるが、3人は敢然と立ち向かうのだった。



前作の終わりからそのままの続き。公開当時は3か月くらいの間をおいての公開だったみたい。撮影はいっぺんにやったのだろうか。
前作のおさらいも有ったけど、喜八タッチなので軽快だけれどもそのおさらいでこれまでの流れが分かるかといったらどうなんだろう。
しかし本作は本作だけで観ても楽しめる。はず。田中邦衛さん面白かった。



『にっぽん三銃士』のテーマとしては、戦後変わりゆく日本で戦中派、戦後派、無戦派、世代を超えた3人の男たちの彷徨う姿とともに当時の日本を映し出す。という所なのかと思う。

当時の流行語らしき言葉が自然に取り入れられたりして面白かった。



何か更なるシリーズ化を想定していた様な終わり方。また『ロード・オブ・ザ・リング』を思い出した。
岡本監督は長期シリーズ作品はやらない、やって2作目までの方針の人だったらしいけど。



2作品ともフィルムが褪色していた。本来の色合いで観てみたい。
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赤毛 [岡本喜八監督の映画]


赤毛 [DVD]

『赤毛』
(1969・日本・1h56)
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 三船敏郎、岩下志麻、寺田農、高橋悦史、望月優子、乙羽信子、伊藤雄之助、花沢徳衛、天本英世、岸田森、吉村実子、神山繁







徳川幕府が終わりを迎えようとし、新しい時代の到来を村々の庶民へと告げる役割を担った赤報隊。
赤報隊に所属する男は生まれ故郷に錦を飾るため先鋒として一人その村へ乗り込んだ。
村ではいまだ幕府の役人とその権力を笠に着る者が庶民を虐げていたが男の来訪により立場が逆転する。
全てが新しい時代へと向かって行くかに思われたが、それを許そうとしない力が動いていた。



銀座シネパトス。“生誕88周年 ハチ、ハチ、喜八 岡本喜八監督特集”にて。



岡本喜八監督は日本が太平洋戦争へと突き進んでいった原因を江戸時代末期から明治初期に遡って理解出来たとの事。
本作は正にそのど真ん中な作品。

で、本作が太平洋戦争勃発へと直でつながるかと言うと、それは観る側の問題で、そんなポイントだけで見ても理解出来る筈はなく、もっとちゃんと勉強してラインで見て、ラインの中の重要なポイントとして見ないと理解は出来ないんだろうと思った。

徳川幕府から明治政府へ。それは葵から菊へと変わるだけ。というのが印象に残った。



ただ真面目な重苦しく堅苦しい内容ではなく、アクションエンターテイメント(西部劇要素も入れつつ)の中にそういった監督の想いとかを忍ばせる所が岡本監督ならではと思った。

岡本監督の作品はカット、画面が一枚の絵としてキッチリと作られていてカッコいい。

岡本組の常連俳優さんたちの姿を見るのがなぜか嬉しい。伊藤雄之助さん面白かった。
岩下志麻さんは岡本作品はこれ1作だけだろうか。美人で可愛かった。

しかし本作で一番印象に残ってしまうのは花沢徳衛さんに犬顔メイクを施してしまった所。笑った。その遊び心が岡本監督ならではで面白い。
確かに花沢さんはフレンチブルドッグ顔、ボストンテリア顔であるし。しかし、1969年あたりで日本でフレンチブルドッグとかボストンテリアはポピュラーな犬種だったんだろうか。
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大誘拐 RAINBOW KIDSと近頃なぜかチャールストン [岡本喜八監督の映画]


大誘拐 RAINBOW KIDS [DVD]

『大誘拐 RAINBOW KIDS』
(1991・日本) 2h00
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 北林谷栄、風間トオル、内田勝康、西川弘志、緒形拳、嶋田久作、樹木希林、本田博太郎




大資産家のとし子おばあちゃんの前に突如現れた三人組。誘拐を計画しての事だった。おばあちゃんの音頭による三本締めで誘拐成立。
身代金100億円をぶち上げる誘拐犯ともう一人。
おばあちゃんを恩人と慕う井狩警部率いる和歌山県警と、誘拐犯ともう一人による100億円をめぐる頭脳戦が繰り広げられる。



公開当時に初めて観た岡本監督の作品でした。
映画自体も軽快でコミカルで楽しいのだけど、ミステリーとしては若干分からない所もあるのだけど、そこに昔を懐かしむ感情も相まって感慨深かったのでした。

1991年というと日本映画が変わろうか。という時代だったのかと今になって思う。
寅さん、ゴジラ、ドラえもんが年中行事で相変わらず有り、一方で北野武監督、竹中直人監督などの異業種監督の映画が作られそして評価され、スタジオジブリが一般的にも認知されはじめた。そんな頃だったかと。
http://ja.wikipedia.org/wiki/1991%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%85%AC%E9%96%8B%E6%98%A0%E7%94%BB



本作の成功の要因はなんと言っても主演の北林谷栄さん。当時80歳。可愛らしくてお転婆で、メルヘンのよく似合うおばあちゃん。
1968年の岡本作品『肉弾』でもおばあちゃん役(この時で57歳)でしたが、既に30代の頃からおばあちゃん役も演じていたそう。
ちなみに『となりのトトロ』の勘太のおばあちゃんの声も北林さん。



近頃なぜかチャールストン [DVD]

『近頃なぜかチャールストン』
(1981・日本) 1h57
製作・監督・脚本 : 岡本喜八  脚本・出演 : 利重剛
出演 : 小沢栄太郎、今福将雄、殿山泰司、田中邦衛、堺左千夫、岸田森、千石規子、財津一郎、本田博太郎、古館ゆき



一軒家を独立国家ヤマタイ国と勝手に定めた老人七人。そこに転がり込む事になった若者。
自由気ままに生きる事を標榜するヤマタイ国には何故か保険金殺人、殺し屋、不発弾など様々なトラブルが起こる。



こちらもじいちゃんばあちゃんが主役。七人なのでパワフルさでは上かも。
殿山泰司さんの手ぬぐいギャグ笑った。効果音で面白さ倍増。あのシーンを思い出すと顔がにやけてしまうので人前では思い出さないよう気をつけています。



新文芸坐。《岡本喜八 七回忌 初めての人のための岡本喜八》にて。

この日が最終日。『大誘拐』で初めて観て、それからは新作は観てきたけど旧作にはほとんど手をつけず。
今回の特集で昔の作品をスクリーンで観れて良かった。
岡本監督にとって戦争が大きなテーマだったのが分かった。時に娯楽性の中にその影を忍ばせ、時にシリアスに痛切なメッセージを込め、戦争の悲惨さと、その悲惨な出来事がこの国にも有ったという事実を後世に伝えたかったのではないかと思う。

数を観て行くうち、岡本作品常連の俳優さんを見る楽しみも有りました。
個性的で上手い方が多いのでとても楽しかった。

まだ観ていない作品、観たい作品も有ります。
島根県の美術館で岡本監督の作品が常時上映される企画が有るとの事。
http://kihachi-cinema.jp/
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青葉繁れるとブルークリスマス [岡本喜八監督の映画]


 【中古】文庫 青葉繁れる【10P22feb11】【画】


『青葉繁れる』
(1974・日本) 1h27
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 丹波義隆、草刈正雄、伊藤敏孝、粕谷正治、十朱幸代、秋吉久美子、ハナ肇、草野大悟





仙台の名門校は試験ごと成績順にクラス分けされる。
万年最下位クラスの落ちこぼれ学生3人組の日々の妄想は常にアノ事ばかり。
新学期、最下位クラスに東京から転校生がやって来た。



転校生を演じる草刈正雄さんの2枚目っぷりが凄まじかった。
原作は井上ひさしさんで井上さんの自叙伝的な物語のようですが、草刈さんの尋常じゃないほどの2枚目っぷりに主人公の影が薄くなってしまった。

映画は原作から時代を1970年代に移して、その当時'70年代の地方の若者像を描いている。
若者が相当な無茶をしでかしていたけど、それも'70年代だからなのかかなり大目にみられ、ラストシーンは青春を発散させて幕を閉じる。それもまた'70年代なのかも。



岡本組常連の出演は岸田森さんと草野大悟さんぐらいだろうか。その点ちょっと寂しかった。


ブルークリスマス [DVD]

『ブルークリスマス』
(1978・日本) 2h13
監督 : 岡本喜八
出演 : 勝野洋、竹下景子、沖雅也、仲代達矢、岡田英次






地球にUFOが飛来。UFOから発せられる光を浴びた人間の血液が青くなる現象が世界各国で確認される。
血の赤い人間は血の青い人間に脅威を感じ、やがて拒絶し、そして粛清の手を伸ばすのだった。



岡本監督唯一のSF作品。
でもって珍作。という評判も何かのどこかからいつの間にか刷り込まれていた。
そこらへんの興味も有りました。どんだけ珍作なのか。

全然良かったのですが。世間的評価はどうなのか分からないけど。
SF作品と言うかSFベースのシュミレーションドラマ。異常事態に直面したとき人間はどのような行動をとり、世界はどう動くのか。『日本沈没』とかと一緒な感じなのかと。

やや説明不足、描ききれていない所も有ったかと思うけど、シュミレーションのリアルさは有った。
海外ロケのシーン。せっかく海外行ったので。という理由かどうかは分からないけど無駄に長かったのがもったいない。
でも墓地のシーン。あの場所はは恐らくユダヤ教の墓地ではないかと思う(墓石にユダヤ教のシンボルマークがあった)。そこにさりげなく青色の血の人間が置かれた状況が重ねられていたのだと思う。



UFOからの光を浴びた人間からは悪意(うらみねたみそねみ、その他色々)が無くなる。その代わりに血が青くなる。
悪意の無くなった人間は果たして善意の存在となれるのか。それが本作の大きなテーマだったと思う。
残念ながら人間の悪意は強く、ホワイトクリスマスを青く染め上げてしまった。

UFOの中の人(人?)の真意はいかなるものだったのだろう。
人間から悪意を取り除いてあげよう。という善意だったのか。
悪意の有る人間と無い人間を同じ場においた場合、どのような結果を引き起こすのかを観察する悪意含みの目的だったのか。
人類全体にいっぺんに光を浴びせてくれれば問題はなかったのに。そこまでの科学力は無かったのか、やはり観察目的だったのか。
それとも悪意を消し去りたいと願う人にだけ光は有効だったのか。
なんにせよUFOの中の人が人間の本性を暴きだし、切ないドラマを生み出しました。



脚本は倉本聰さん。『北の国から』では義兄妹だった田中邦衛さんと竹下景子さんが義理ではない兄妹役だった。この兄妹がまた切ない。

'60年代、'70年代の岡本作品常連の方々が多く出演されていてその点楽しめた。
特には神山繁さん、天本英世さん、岸田森さんのスリーショットはとても貴重のように思えた。



新文芸坐。《岡本喜八 七回忌 はじめての人のための岡本喜八》にて。
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ダイナマイトどんどん [岡本喜八監督の映画]


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『ダイナマイトどんどん』
(1978・日本) 2h23
監督 : 岡本喜八
出演 : 菅原文太、北大路欣也、嵐寛寿郎、中谷一郎、金子信雄、藤岡琢也、岸田森、フランキー堺、田中邦衛、宮下順子








終戦から5年。北九州市。ヤクザの抗争が激化し手を焼く警察は、沖縄への強制労働送りと引き換えに健全な野球での対抗戦を申し付ける。
参加12チームのトーナメント戦。地元の古顔岡源組は岡源ダイナマイツ。新興の橋傳組は橋傳カンニバルズ。
両者のプライドと縄張りをかけた闘いが砂埃舞い上がる豊楽園球場で始まる。



しかし、チーム名でカンニバルズって凄すぎる。人喰い集団。



任侠野球映画。任侠8割、野球2割といった感じ。
なので試合はほぼルール無用のほぼ何でも有り。それを納得させてしまう強引さが面白かった。
やっぱり岡本喜八監督の作品は前向き。そこがいい。戦後の時代、混乱した社会の中で誰も後ろ向いてジメジメしていない。



野球2割の上にルール無用なのでちゃんとした野球シーンは少ないけど、それでもちゃんとしてる所ではちゃんとしていたので良かった。
田中邦衛さんの変則投法もフォームは相当変則だけど、腕の振りが力強いのでちゃんと剛速球投手に見える。

中でずば抜けて素晴らしかったのが北大路欣也さん。足腰の強さ、胸の張り、そして腕の振り。どれもがハイレベル。個人的に今まで見た野球映画の中でナンバーワンピッチャー。チャーリー・シーン、ケヴィン・コスナー、デニス・クエイドを抜いた。

菅原文太さんも野球上手かった。格闘シーンもスタント無し。身体能力が高い。
そして何より役者としての魅力を堪能できた。ワイルドかつチャーミング。それはきっと天性のものなんだろうと思う。



新文芸坐。《岡本喜八 七回忌 はじめての人のための岡本喜八》にて。
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肉弾と日本のいちばん長い日 [岡本喜八監督の映画]

『肉弾』
(1968・日本) 1h56
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 寺田農、大谷直子、笠智衆、北林谷栄、雷門ケン坊、田中邦衛、仲代達矢(ナレーター)

肉弾 [DVD]


連合軍の戦艦を撃沈するため魚雷とともに海に漂うアイツ。まだ21歳6ヶ月の若者だった。






青春のほとんどを戦争の下で送らなければならなかったアイツ。アイツ以外にもそのような若者が大勢いたはずで。
そんな青春を送らせる国や社会に疑問を抱きつつも、それでもその青春を前向きにユーモアを交えて描かれるところが岡本監督の優しさだろうか。
そのユーモアと優しさが逆に切なく、ラストシーンではユーモアが強烈なメッセージになっていた。



『日本のいちばん長い日』
(1967・日本) 2h37
監督 : 岡本喜八
出演 : 三船敏郎、黒沢年男、中丸忠雄、高橋悦史、笠智衆、佐藤允、中谷一郎、仲代達矢(ナレーター)

日本のいちばん長い日 [DVD]


ポツダム宣言受諾は敗戦を意味する。時の内閣はすみやかな戦争終結への道を選ぶが、軍の一部には本土決戦での巻き返しを主張する者たちがいた。






けじめの映画。それぞれがそれぞれなりのけじめをつけようともがき苦しむ。
戦争を終わらせるという事は、それだけもがき苦しみ、苦しみ抜かなければいけないのだろうと思う。
戦争を続けるのも苦しみ。終わらせるのも苦しみ。ならば始めない事が何より。



東宝35周年記念作品。東宝男優陣オールスターと言うか、重鎮クラスが一挙出演と言った方が正しいのか。
そんな中で岡本喜八作品常連の方の顔を見るとなんか嬉しい。
中谷一郎さんは強烈な役だった。



新文芸坐。《岡本喜八 七回忌 はじめての人のための岡本喜八》にて。
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独立愚連隊と独立愚連隊西へ [岡本喜八監督の映画]


独立愚連隊 [DVD]
『独立愚連隊』
(1959・日本) 1h49
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 佐藤允、中谷一郎、中村忠雄、雪村いづみ


独立愚連隊と呼ばれるはみだし者の集団が戦場の最前線で孤軍奮闘している。
そこへ馬に乗ってふらりとやって来た風情の新聞記者。
愚連隊隊長、後方にいる指揮官、そして新聞記者。3人をつなげるのは1年前に起きたある事件だった。


独立愚連隊西へ [DVD]『独立愚連隊西へ』
(1960・日本) 1h47
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 加山雄三、佐藤允、中谷一郎、平田昭彦、山本康、中丸忠雄、フランキー堺、江原達怡、水野久美


各地の戦場を点々とたらい回しにされるはみだし者たちの部隊。その名は独立愚連隊。
今度の任務は行方知れずになった軍旗の捜索。
軍旗をめぐり日本軍、中国軍、スパイ、そして愚連隊の争奪戦が繰り広げられる。

シリーズ作品だけど2作品に話しのつながりは無し。両作品に出演されている方は全くの別人物を演じている。
そこらへんのこだわりの無さがなんかのどか。



新文芸坐。《岡本喜八 七回忌 はじめての人のための岡本喜八》にて。

今回の特集上映で岡本作品を幾つか観てきて、ひょっとしてもしかして実は岡本作品とは相性合わないのか?なんて事を思い始めていました。
そんな頃に代表作と言われるこの2本を観て、やっぱ面白れぇなぁと思った。
戦時下の中国を舞台としているので単純に面白いと言うのは若干の心苦しさは有るけど、それでもなんと言うか岡本監督は戦争の悲惨さを現実に知っていて、その上で前向きで力強い、ある意味ファンタジー、現実の戦場では有り得なかったかもしれないという意味でファンタジーな娯楽活劇を映画という想像の場で作り上げる。それを観て単純に面白いと言ってもいいんじゃないだろうかと理屈を付けてみたりして。

物事の裏側を知っている登場人物たち。それでも裏に染まらず、かと言って表だけを見て正義を振りかざさない。表も裏も知った上で自分たちの信念を貫き通す。それがカッコイイ。

そんな野郎どもを演じた出演者の方々もまたカッコイイ。
佐藤允さん、ワイルドかつ白い歯の笑顔が印象的。中谷一郎さんと言えば『水戸黄門』の風車の弥七のイメージしか正直無かったのですが、弥七以外の中谷さんをもっと見たいと思わせるほどカッコよかった。
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ああ爆弾 [岡本喜八監督の映画]


ああ爆弾 [DVD]

『ああ爆弾』
(1964・日本) 1h35
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 伊藤雄之助、砂塚秀夫、中谷一郎、越路吹雪









3年の刑期を終え出所した昔気質のヤクザの親分。3年の間に組は株式会社となり子分たちは極道から足を洗っていた。さらに愛人は寝取られ、本妻は宗教にどっぷり。
すっかり用済みの親分。味方はしっかり者の小学生の一人息子と、刑務所仲間で子分志望の爆弾マニアの男だけ。
自分の居場所を取り戻す最後の手段はああ爆弾。親分の明日はどっちだ。



コメディだけど狂言や浪曲などの伝統芸能、大衆芸能の知識が必要なのか、それともただ面白ポイントが合わなかったのかあまり笑えず。
でも観終えると3割増しぐらいで好印象になっているのは、もしかしたら岡本作品が好きと言うより岡本監督の人柄とか作品とは別のところが好きなのかもしれない。と気付いてしまったり。

テンポは軽快。編集、特にカットとカットのつなぎの上手さが軽快なテンポを生み出しているんだろうと思う。かなり緻密に計算された上での事なんだろうと思う。多分。
そこらへんの職人的技術にまた好印象。



新文芸坐。《岡本喜八 七回忌 はじめての人のための岡本喜八》にて。
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斬ると殺人狂時代 [岡本喜八監督の映画]


斬る [DVD]
『斬る』
(1968・日本) 1h54
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 仲代達矢、高橋悦史、中村敦夫、神山繁、岸田森、東野英治郎、星由里子、田村奈巳








悪の限りを尽くす城代家老に正義の刃を振り下ろした若侍たち。
それは次席家老の策略でもあった。
その騒動のさなか偶然居合わせた元侍のヤクザ。侍になるためその地へとやってきた元百姓。若侍たちを討つため寄せ集められた浪人ども。
侍、ヤクザ、元百姓、浪人。それぞれの思惑が山中の砦にてぶつかり合う。



『椿三十郎』と同じく原作・山本周五郎。なのでどこか『椿三十郎』っぽい。
こっちもこっちで面白かった。当然ながら全部が全部『椿三十郎』っぽいわけではないし。
『椿三十郎』では敵役の室戸半兵衛だった仲代さんが、こちらでは主役の兵頭弥源太。

面白かったけど登場人物が多くそれぞれにドラマがあるので、テンポ軽快なれどなかなか前に進まない感じはしました。



出演者の方々良かった。
飄々としながら切れ者の仲代さん。同じく切れ者、ニヒルな敵役神山繁さん。切れは悪そうだけどいい人の高橋悦史さん。
中でも良かったのが岸田森さん。カッコよかった。何からのイメージなのか不気味な人の印象をずっと持っていました。その印象がガラリと変わるカッコよさでした。
岸田森さんの女房役の田村奈巳さん綺麗だった。可憐。


殺人狂時代 [DVD]

『殺人狂時代』
(1967・日本) 1h39
監督・脚本 : 岡本喜八
出演 : 仲代達矢、団令子、砂塚秀夫、天本英世








無駄な人間を処理する集団暗殺組織、大日本人口調節審議会。
ナチスの生き残りが仕事を依頼するため、手始めに無作為に選ばれた三人が標的となる。
その中の一人桔梗信治にだけは手こずる暗殺者たち。



以前に一度観ていて変わった映画の印象。今回観てもやっぱり変わってた。
ただ観客を置いてけぼりにするほどは変わってない。
置いてはいかず、されどすり寄らず。その距離感がなんかいいなぁと思う。岡本喜八監督のお人柄が表れているようで。

正直まだエンジン暖まってない感じ。シリーズ化されなかったのが残念。
仲代さん主演で44年ぶりの続編観てみたい。



新文芸坐。《岡本喜八 七回忌 はじめての人のための岡本喜八》にて。
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暗黒街の顔役と暗黒街の対決 [岡本喜八監督の映画]

『暗黒街の顔役』
(1959・日本) 1h41
監督 : 岡本喜八
出演 : 鶴田浩二、宝田明、平田昭彦、河津清三郎、田中春男、草笛光子、白川由美、三船敏郎

『暗黒街の対決』
(1960・日本) 1h35
監督 : 岡本喜八
出演 : 三船敏郎、鶴田浩二、司葉子、河津清三郎、平田昭彦、田崎潤

暗黒街の顔役 [DVD]『暗黒街の顔役』
組織による殺人の現場にいた事を目撃されてしまった弟。組織は弟の存在が邪魔になる。組織の幹部である兄は弟と組織の間で板ばさみになるが。


暗黒街の対決 [DVD]『暗黒街の対決』
公共事業の利権目当てで対立する2つの組織。そこに現れた汚職をして左遷させられた刑事。2つの組織に近づくうちに片方の組織に妻を殺され復讐の機会を狙う元ヤクザと知り合いになる。





新文芸坐。《岡本喜八 七回忌 はじめての人のための岡本喜八》にて。

両方ともそんなに面白くなかった。残念。
『暗黒街』と言うとどこかモダーンな感じだけど、要は任侠モノ。
2作目の『対決』はそこに秘密任務や西部劇テイストを入れたり娯楽要素は増しているけど、それでもそんなに面白くはならなかった。残念。

『顔役』で三船さんは脇役。また豪華な脇役だなぁと思いましたが、『対決』では一転主演。どんな事情が有ったんだろう?

鶴田浩二さんの出演作を観るのは初めてかも。甘いマスクに甘い声。でした。

女優さんの昔のお姿を見るとこんなに可愛かったのかとか、こんなに綺麗だったのかと大抵は思うものですが、『顔役』に出演の草笛光子さん。昔も今も全然変わってない。
写真とか並べたらそりゃ当然変わってるんでしょうが。でもなんかもうそのまんまなお姿だったのが驚きでした。
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