SSブログ

『コット、はじまりの夏』『恋におちて』 [映画]

『コット、はじまりの夏』 2022年、アイルランド、1時間35分。を観た。
1981年、アイルランドの農場で暮らす9歳の少女コット。五人姉弟の中で人一倍おとなしいコットが家庭の事情によりひと夏の間だけ母側の親戚の家に預けられる。

コットの両親が共に自分達の子供に興味が無いのかと思っていたがラストシーンで父親の方に問題が有るのだろうと思えた。父親がもっとしっかりしていればコットが親戚に預けられなければならない家庭の事情も元々が無かったのだろうし。母親もコットに対して冷たい様にも思えたけど、子供達はまだ未成年だし自分は妊娠中だし夫婦仲も経済的状況も良くなさそうだしで、そんなのが重なればコットに対して冷たいと思える様な態度になってしまうのは理解出来る。
母親に比べると父親は子供じみていていつでも何かに対して不満を持っていて、それが子供達への態度に現れている様に思える。
親だって人間だからそうなってしまうのも仕方ないのかもしれないけど子供の成長に親の在り方、親と言うか大人と言った方がいいのかもしれないが、それはとても重要で、コットもこの夏の出来事によって本当に頼りになる大人たちとの出会いが有って、コットがこの先どの様に成長したのかは分からないけど多分いい影響になったのだと思いたい。

言語が英語ではなかった。ケルト語?なんかちょっとアラビア語に近いようにも聞こえたし、ドイツ語っぽく聞こえる所も有った。
ウィキペディアを見るとアイルランドの第一公用語がゲール語(第二公用語が英語で現在は主に英語の方が使われているらしい)という事でケルト語の中に分類されるとの事。



『恋におちて』 1984年、アメリカ、1時間46分。を観た。
ニューヨーク郊外に暮らすフランクとモリー。それぞれの家庭を持つ二人だったがクリスマス・イブで賑わうニューヨーク中心街で偶然に出会う。その時から好印象を持った二人はお互いをより深く知る事で恋におちる。

何故か109シネマズプレミアム新宿でひっそりと上映されていたので観た。製作40周年記念で?
109シネマズプレミアム新宿では意外な作品があまり知られる事無く上映される事が有るので料金はお高いけど行かざるを得ない。
今後『ミッドナイト・ラン』とか、『アビス』の144分版とか、『アルカトラズからの脱出』とか好きな作品で映画館では観た事の無い作品が上映される事を期待してしまう。他のお客さんが入らないかもしれないが。その時はよりお高いSクラスの方にしてしまうかも。本作は若干お安いAクラスの方。

本作も映画館では初見。大分昔に多分まだレンタルビデオの時代に観た事だけは憶えている。
大雑把にW不倫モノという印象だったけど改めて観て、確かにW不倫ではあるんだけどフランクとモリーが真面目な人間であるが故に許されない恋に悩んで葛藤する姿が描かれる純愛映画でもあるんだろうなと思った。
純愛映画としてだけで観ればいい映画ではあった。ただフランクとモリーに関しては純愛ではあるんだけど、不倫となればお互いの結婚相手もいるわけで、その結婚相手にしてみれば一線は越えていなかったとしてもただの浮気であってそれを純愛と言われても納得したくないだろうなとは思う。
その不倫のドロドロより純愛のときめきや爽やかさ、一途さを描く事を狙いとしている。音楽もそんな感じだった。

時間経過がちょっと分かりづらい。シーンが変わると何ヵ月か過ぎていたりする。モリーの旦那さんが突然モリーとフランクの関係を知っていたりするのはその間に何かが有ったという事なのだろう。

当然デ・ニーロとメリル・ストリープが若い。デ・ニーロが『タクシー・ドライバー』の時の面影がチラッとだけ見える。本作ではエキセントリックではない普通のデ・ニーロ。個人的にはどちらかと言うと普通のデ・ニーロの方が好き。ハーヴェイ・カイテルもダイアン・ウィーストも若い。ハーヴェイ・カイテルも珍しく普通。
本作のウール・グロスバード監督とデ・ニーロは1981年の『告白』で組んでいるが未見なのでいつか観てみたい。ロバート・デュヴァルとの共演。撮影以外ではお互いにロバートの愛称であるボブと呼び合うのだろうか?「ヘイ、ボブ」「ハーイ、ボブ」と。
コメント(0) 

岡村和義晴臣

最後の指わちゃわちゃが好き。


https://www.youtube.com/watch?v=R6rAYRxnONA
コメント(0) 

『エグザイル/絆』『千年女優』『エレクション 死の報復』 [映画]

『エグザイル/絆』 2006年、香港、1時間49分。を観た。
青春時代から共に裏社会で生きてきた五人の男、ブレイズ、タイ、ウー、ファット、キャット。
ウーが組織のボスであるフェイを襲撃するが失敗に終わり逃走。激怒したボスはブレイズとファットに始末を命令する。ウーの隠れ家を見付けた二人の前にタイとキャットが現れ五人が顔を合わせる。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。

ジョニー・トー監督は撮影時にも脚本が無い、もしくは完成していないという事を自身で話されるけどそれは多分ネタとしてそう言った方が面白いからではないかと思っているが、もしかしたら本作の場合は本当なのかなあと思える。かと言って支離滅裂なのではなくて、ある程度のストーリーは決まっていて(そうじゃなければ撮影スケジュールが組めないだろうし)その中で自由に撮影をしているんではないか。リッチー・レンの役柄は正にそんな感じで意外な所(前フリはちゃんと有る)でフラッと現れて登場シーンが終わったら姿を現さない。それがカッコ良かったしおいしい役でも有った。



『千年女優』 2001年、日本、1時間27分。を観た。
突然の引退で姿を消した大女優藤原千代子が30年振りに公式なインタビューに応じた理由は千代子の熱烈なファンでもあるインタビュアーが千代子にとって特別な思い入れのある物を渡したいと申し出たからだった。

去年の1月にも映画館で観ているがその時は4K化されての上映だったはず? 元旦に立川シネマシティでの"レジェンドアニメ 4K【極音】第1弾”でだった。第2弾が『カリオストロの城』第3弾が『AKIRA』で第4弾が今年に入って『スペースアドベンチャー コブラ』と続いている。
今回は今 敏監督作品のリバイバル上映企画で去年の9月に第一弾として『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』が上映されたのに引き続き第二弾として本作が全国で上映された。

作画監督は本田雄(ほんだ たけし)さん。どなたが作画されてるとかそんなには気にしてはいないし、そもそも誰がどのシーンを担当されてるのかはあんまりよく分からない。テレビの『クレヨンしんちゃん』の時の林静香さんの時だけはなんとなく分かる。いつか映画の方での作画監督も大変だろうけどして欲しい。
作画監督は全体の統一をとるのが大切な役割でもあるらしいけど、それでも「師匠」と呼ばれ認められているほどの凄腕アニメーターが手掛ければ作品の質は自然と上がる事になって、だから本作も作画面でも一流の作品になったのだろうと思う。
https://fullfrontal.moe/%e6%9c%ac%e7%94%b0%e9%9b%84/
本田雄さんのインタビュー。作画監督を務めた『君たちはどう生きるか』公開時のインタビューだけど今 敏監督についてもお話しされている。



『エレクション 死の報復』 2006年、香港、1時間32分。を観た。
香港最大の裏組織和連勝会で表向きは公正に行われる会長選挙。現会長のロクは二年一期の掟を破る事になる再選を目論み根回しに動いていた。有力候補であるジミーの黒社会から足を洗うための立候補はロクとの武力抗争へと発展する。

シネマート新宿 "ジョニー・トー 漢の絆セレクション"にて。

以前に一度観ているがここまで前作を上回るバイオレンスなのは忘れていた。単にセンセーショナルである事を狙ったのではなくて黒社会を描く上で必要なのは分かる。結局暴力がものを言う社会で暴力をエスカレートさせた者が権力を手にする。エスカレートさせ続けた挙げ句には破滅が待っているのも必然であって、本作では個人で破滅はしているけど組織としてはまだ破滅には至っていない。多分破滅まで描きたいんじゃないかと想像するけどもう18年が経っている。でも組織の在り方が変わりそうな事も示されていたので20年後の続きというのも有りそうな気はする。中国当局もかなり深く関わってきそうな。
そうなると香港=中国の合作映画になるんだろうと思うが中国映画は悪を絶対に許さないから裏社会の組織の破滅を描くには都合がいいのかもしれない。

原題にある"以和為貴"とは「和を以って貴と為す」という意味らしくて、裏社会であっても和が大事でその戒めとして各組織には和の一文字を入れるべしと定められている。その戒めはどこへやらといった感じで何とも皮肉が効いている。

今回の四本の上映作品を観てジョニー・トー監督作品ではサイモン・ヤムの役柄は他の監督の人の作品とは違うような気がする。どちらかと言うと好人物のイメージがあるサイモン・ヤムのダークな部分を炙り出そうとしているような。
ニック・チョンもジョニー・トー監督作品ではキレてる役が多い。バイオレンス映画であるからそういう役柄にはなるのだろうけど。
逆にラム・シューはコメディリリーフな扱いが多い。
コメント(0)