グラン・トリノ [2009年5月に観た映画]
『グラン・トリノ』
“GRAN TORINO” (2008・アメリカ) 1h57
製作・監督・出演 : クリント・イーストウッド
出演 : ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー
ネタバレあり。
イーストウッドらしい映画だと思いました。
無骨なストーリーで、キャストが地味で、語り口がちょっと退屈で、ダークサイドも有り。
他の人が監督していたら、もしかしたらもっとお涙頂戴な感じの感動作になっていたのかもしれません。そこが淡白なのもイーストウッドらしい。
ラスト、遠景が延々と映し続けられる中、静かな音楽が流れる。余韻有りまくりのこのパターン。やっぱりイーストウッドらしい。
それでもクリント・イーストウッドというハリウッドの大御所スターの魅力。それを知り尽くしたクリント・イーストウッド監督がその魅力を存分に引き出した映画だと思いました。
モン族のおばさん達に囲まれるイーストウッド。新たな魅力を引き出していました。あのシーン好きです。
ストーリー的には、「男、かくあるべし。」といった道しるべをイーストウッドが示してくれるもの。
「男」を「アメリカ」に置き換える事も出来そう。
『許されざる者』で自分たちが作り上げた西部劇のヒーローの虚像に終止符を打ったイーストウッドが、本作では西部劇を含むアクションヒーローの虚像に終止符を打った様に思えました。
復讐の連鎖が決して幸せな結末を呼ぶものではない。と。
それは長年体型を維持し(立ち姿のカッコよさは昔と変わらず)、アクションを自らこなしてきたイーストウッドならでは説得力を持つものなのではないかと思います。
でも、終止符を打った。とは言うもののイーストウッド自身はヒーローを演じてきた事に後悔はしていないのだと思います。
長年教会での懺悔をしてこなかった主人公。ある決意を秘めた時に懺悔に赴きますが、そこでの懺悔は思ったより他愛のないもの。
朝鮮戦争で多くの人を殺してきた事には一切触れない。
それは映画の中のヒーローとして同じく多くの人(犯罪人、悪人)を殺してきた事については、反省こそすれ後悔はしていないイーストウッドと重なって見えました。
自ら演じた数々のアクションヒーローの虚像を描くために、イーストウッドの過去の映画の足跡が見て取れるのはファンとしては嬉しい。
偏屈で頑固なジジイ。動物やアジア人が相棒。若者を導く。などなど。
この中では『ダーティファイター』だけ未見。続編の『ダーティファイター 燃えよ鉄拳』も未見。
オランウータンが相棒。って所に躊躇してしまって未だに観れません。
イーストウッド、元気そうでなにより。
最近のインタビュー映像などを見ると、ちょっと声が出にくくなっているのかなぁ。と心配でしたが、そこは立派な俳優さんですからそんな心配を感じさせません。
アクションシーンもやはり自ら演じているのが素晴しい。
こんばんは。
C・イーストウッドの為に書かれたキャラクターのようでしたね。
それを完璧に演じ、演出するところが凄いです。
by hash (2009-05-07 21:58)
hashさん、niceとコメントありがとうございます。
イーストウッド元気そうで良かったです。
小さい頃から見ているので、何か親戚のオジサンのような感じです。
by 槍のビヂョンド (2009-05-08 03:24)