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『整形水』『コレクティブ 国家の嘘』『キャッシュトラック』『クライモリ』『キャンディマン』 [映画]

『整形水』を観た。2020年、韓国、1時間25分。
整形水とは、その水に浸れば余分な脂肪を削ぎ落とせ顔パーツの造作の変更も自由自在。その様にしてたちどころに誰もが羨む美が得られるがその存在自体知る者は限られている。
ある時整形水を知る事となった女性が大量の脂肪と今までの自分を捨てて美しく新しい自分へと生まれ変わる。

韓国製ホラーアニメーション。韓国製らしく随所に捻りを加えてくる。もはや捻りを加える事が目的かの様。なので捻るがためだけに登場する人物がいたり物語が展開したりもする。
ある人物の目的が悲劇を生み出しているわけだけど、それを達成するためだけだったら何ヵ月もかけてあんなにまどろっこしい事をしなくてもいい様な気はする。
ただ力ずくで整形水に漬けて剥ぎ取れば済むわけではない理由とは?
それはホラー映画であるから。ホラー映画であるので物語の整合性にこだわってしまってはいけないのかもしれない。そんな事よりもどす黒い怨念だとか不気味さが際立っていればいいのであって。

キャラクターの作画スタイルは2012年のサイボーグ009のCG映画『009 RE:CYBORG』に似た感じ。
もしクレヨンしんちゃんがこのスタイルになったらどうしよう。
夏に出たゲームのビジュアルが手描き風CGといった感じだけど、これによってクレヨンしんちゃんももうCGアニメ化されたという事になるのだろうか。




『コレクティブ 国家の嘘』を観た。2019年、ルーマニア=ルクセンブルグ=ドイツ、1時間49分。
2015年、ルーマニアの首都ブカレストで起きたライブハウス"コレクティブ"での火災事故。治療を施している病院での死亡者数が火災現場での死亡者数数を越える事態に。内部告発により病院内の腐敗が本来救えるはずの命が救えずに惨事を拡大させた事が判明する。その上政府が事実を知りながら隠蔽していた事も明らかになる。

『トトとふたりの姉』(2014年)のルーマニアのドキュメンタリー作家アレクサンダー・ナナウ監督の新作。
本当は先ずはルーマニアの歴史を知っておかないといけないのだろうけど、かつて社会主義国だった。くらいの薄い知識のみで観た。その頃チャウシェスクによる独裁政権であった。という事は観ている間は全く思い出せなかった。
1989年に武力革命により独裁政権が崩壊し民主化に至る。
それから数十年が経ったルーマニアは『トトとふたりの姉』によると町にはドラッグが蔓延り、本作によると有力な政治家の一部はマフィアと癒着し腐敗しきっていると。
それでも祖国を良いものに誇れるものにしようとしている人たちはいる。という事を映像で記録して残そうとしているのだろうと思う。
ドキュメンタリー作品は中立で公平であるべき。という事が絶対ではなく、撮影の際にその撮影者の視点や思考や感情が必ず介在するのでそこに写されたものには何かしらの意図が反映されている。と、その様な感じの事をドキュメンタリー作家の森達也さんが仰られている。本作の場合は明らかに当時の旧政権を非難しているが限られた情報だけでそれを単純に鵜呑みにしてしまう事も気を付けた方がいいのかもしれない。捏造しているとかいう事ではなくて。観る側こそ中立で公平であるべきなのだろうけど、観る側にも主義や思考や感情があるわけなので難しいところ。



『キャッシュトラック』を観た。2021年、アメリカ=イギリス、1時間59分。
アメリカ、ロサンゼルス。現金輸送を専門に扱う警備会社に一人のイギリス人が入社する。イギリス本国での警備の経験は有るが実力テストにはギリギリの成績で合格ラインに達する。しかしその態度や振る舞いは常に堂々としたものだった。

ガイ・リッチー監督とジェイソン・ステイサムが2005年の『リボルバー』以来にコンビを組む。『リボルバー』の内容自体は憶えていないがあんまり成功していなかったかと思う。15年間のブランクが必要なほどだったのかもしれない。
本作は大成功と言えるのではないだろうか。面白かった。
ガイ・リッチー監督が得意とする犯罪映画だけどこれまでのガイ・リッチー作品のテイストとは若干異なっている様に感じた。それはアメリカが舞台となっているからなのかも。
アメリカが舞台で主人公が英国アクセントで話すのが独特な雰囲気になっているのかも。
前作の『ジェントルメン』ではイギリスを舞台にしてアメリカ人のマシュー・マコナヘイが主役であった。本作は意図的に逆の事をしたのだろうか。

ジョシュ・ハートネットの扱いはちょっと残念だったけどガイ・リッチー作品ではあれ位で普通。

本作は2004年のフランス映画『ブルー・レクイエム』のリメイク。『ブルー・レクイエム』は多分観ていないはずだけど今や自分の記憶力は信頼出来ない。



『クライモリ』を観た。2021年、アメリカ=ドイツ=カナダ=イギリス、1時間49分。
友人達との旅行に出掛けて連絡の途絶えた娘を探しにやって来た父親。その町はアパラチア山脈の自然歩道へと続いている。6週間前にここの場所から連絡をしてきていて町の住人に尋ねると確かに娘たちはこの町へ来ていた事だけは分かる。

2003年に始まり2014年までに6作品が作られた人気ホラー映画シリーズのリブート。それらのシリーズは全くの未見。怖いから。

若者たちが旅先で殺人鬼に襲われて。といったホラー映画の定番中の定番が繰り広げられる前半はそこまで面白くはなかったが、惨劇の真相が判明してからが面白かった。
異なる文化の衝突が惨劇を生み出してしまったわけで、それは決して突飛な事では無くて今までも世界の各地で幾度となく繰り返されてきた事であり、多分これからも起こり続けるのだろうと思われる。
時としてホラー映画は社会の真実をズバリと突く事も有って奥が深い。

アパラチア山脈が舞台となっているホラー映画で思い出されるのが『ディセント』。洞窟での惨劇。
自然が豊かな場所ではあるけど整備された所以外は迂闊に踏み入れられない場所でもあり、その点でホラーの舞台になるには格好なのだろう。
自然の豊かさの方がフィーチャーされている作品ではロバート・レッドフォードとニック・ノルティ共演の『ロング・トレイル!』が有る。



『キャンディマン』を観た。2021年、アメリカ、1時間31分。
キャンディマン復活。

『ゲット・アウト』『アス』のジョーダン・ピールが製作と脚本でホラーヒーローのキャンディマンを甦らせるが、いつもの通りに黒人差別への恨み節が包み隠されずに押し付けられる。それは正当な訴えなのだろうけど、その押し付けがホラー映画として楽しめるかと言うと難しい所でもある。
リブートではなくシリーズ4作目で精神的続編との事なのでシリーズ、特に1作目の予習復習が必須。それを怠ったから楽しめなかったのかもしれない。

鏡に向かう事でキャンティマンを呼び起こすという事は、鏡に映っている自分自身の姿を見ているという事で。つまりは黒人の中には誰もがキャンティマンが存在していて、そしてキャンディマンの恨みをアーティストであろうとセレブであろうと忘れずに受け継いでいかなければならないと。
白人が鏡に向かってキャンディマンを呼ぶと本物が現れて「コノウラミハラサデオクベキカ」と制裁を加えられる。
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