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スカイ・クロラ The Sky Crawlers [2008年8月に観た映画]

『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』
(2008・日本) 2h01
監督 : 押井守
声の出演 : 加瀬亮、菊池凛子、谷原章介、栗山千明、榊原良子

人類の歴史上止む事の無かった戦争。人間同士が殺しあう戦争はやめようではないかとようやっと気付いたものの、人間の性(さが)として、一大産業としてやめるにやめられない戦争。
それならば人間では有るけれど人間ではない者“キルドレ”にショーとしての戦争をやらせればいいのでは。
と、愚かな事を思いついてしまった世界の物語。

あくまで戦争の兵器の一部として扱われる”キルドレ”。その姿は少年少女のまま変わる事が無い。
大人たちが操る戦争(世界)の中で、時に無自覚に時に悩みながら日常生活である戦いの日々を送る”キルドレ”。

この世の中、そして自分たちは何かが違う。と、薄々気付いていてもその何かを変える術を知らない。
そんな“キルドレ”の人生はただ生まれて戦って死ぬだけなのだろうか。

いや、世の中そう簡単に劇的に変わるものではないけど、変えようとする意思がなければ変わらないし、世の中を変えるなどの大それた事ではなくもっと簡単な自分自身を変える事はいつだって出来る。
そのためにはまず生きることが何よりも重要である。

そのメッセージはエンドロール終了後に押井監督らしく控えめに語られます。
本作で最重要なメッセージをエンドロール後に見せる演出。押井監督、奥ゆかしいのか意地悪なのか。
しかし、押井監督的な希望に満ちた映画だと思う。

今までの押井作品は限られたジャンルの限られた客層にだけ当てて作られていなくもなかったですが、本作は混沌とした現代の全ての国の全ての人達に対してのメッセージが込められているように思え、何かパッと開けた感じ。
それをポスターなどに描かれている青空が象徴しているように思えます。


相変わらず親切な説明の無い押井作品。それでも難解な押井節は抑えめなので分かりやすい作品と言えるかも。
1回観ただけでは作品の全ては理解出来ませんが、その分観た後にじっくりと残る。色々な事に気付かされ考えさせられます。

“キルドレ”とは遺伝子操作されクローン人間なのではないだろうか。そのため数タイプの人間しかおらず、戦死した場合程なくして同じタイプの“キルドレ”が補充される。
“キルドレ”の天敵である”ティーチャー”は、ショーである戦争において予定を調和させるための存在で、“キルドレ”が勝てないように“キルドレ”たちになんらかの遺伝子操作されているのでは。
など他にも気に掛かる所が色々とありますが、それらは次観た時のお楽しみという事で。


あの切ないメロディが聴けるそうです。超高級と謳ってるだけあってお値段も超高級。

スカイ・クロラ 押井守モデル 日本製超高級自鳴琴五拾弁機(オルゴール)

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  • 出版社/メーカー: プロモーショナル・パートナーズ・ワールドワイド
  • メディア: おもちゃ&ホビー



本作は今年のベネチア国際映画祭のコンペティション部門に選出されました。
ひょっとして金獅子賞有りかも。と密かに思っています。
審査委員長がヴィム・ベンダース監督だそうで、勝手な妄想ですが本作の雰囲気が好きそうな感じ。実は同じく選出された『崖の上のポニョ』の方が好き。という可能性も無くはないですが。
あと北野武監督の『アキレスと亀』も出品されるようですが、その他にはどんな作品が出品されているのか分かりません。その作品との兼ね合いも有りますし、尚且つここ2年の金獅子賞受賞作品が『長江哀歌(エレジー)』『ラスト、コーション』とアジアの作品が続いているのがマイナスと言えばマイナスかもしれません。
それでも作品自体は受賞の可能性が十分あると思います。
発表は9月6日。
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