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マッスルモンク [2009年1月に観た映画]


マッスルモンク [DVD]











『マッスルモンク』
“大隻佬”(2003・香港) 1h33
監督・脚本 : ワイ・カーファイ  監督 : ジョニー・トー
出演 : アンディ・ラウ、セシリア・チャン



激しくネタバレあり。



↑この見た目からは想像出来ない位に深い話しでした。

因果応報。前世での行いが原因となり、現世で結果として現れる。
それが業(ごう、カルマ)であり、その業は決して前世からの関わりから背負わされるものではない。
本作ではそれまで至って普通に幸せに暮らしていた女性刑事が、戦争で残虐非道な行いをした日本兵の業を背負わされる事になる。女性の前世がその日本兵ではないのにも関わらず。
また業からは決して逃れる事は出来ず、その非情なまでに不公平な業(誰しもに関わりなくですからある意味公平なのかも。)をただ受け容れるしかない。

本作の中では業は殺人を通して描かれます。
前世の因により現世で果をなした者に復讐を行えば、それがまた因となり来世で果となる。
その因果の連鎖はどこまでも果てしなく続いてしまうのか?

愛する人を殺され他人の業が見える事となり、業の非情さを知り仏教の道を捨てたアンディ・ラウ演じる武僧の大隻佬(ビッグ・ガイ)は、知り合いとなった女性刑事の業を見てしまい彼女をその業から救い出そうとします。
しかし業による宿命からは逃れられず、女性刑事の運命はビッグ・ガイの愛する人を殺した同じ犯人によりとてつもなくショッキングな結末を迎える事となります。

ビッグ・ガイは復讐の鬼となり長い年月をかけ犯人を追い詰める時を迎えますが、その犯人は驚愕の人物でありました。
と、そこから禅問答的な展開になりビッグ・ガイは憎しみや復讐に対する己自身の答えを見つけ出す事となります。
その答えはそうであるべき。と思えますが、そうするのも難しいだろうなぁとも思えます。

本作の出だしは爆笑モノ、人によっては苦笑、嘲笑モノかもしれません。
そしてカンフーあり、コメディあり、サスペンスありのごった煮状態の物語が展開された後に辿り着いた着地点はとんでもなく深遠なものでした。



そのラストに至るまでには、取っ掛かりのビッグ・ガイのマッスル・スーツのパッと見で本作を早々に諦めてしまう可能性がかなり高いかと思われますが、あの筋肉は非情な業に抗うため、そして復讐のために必要な筋肉、ビッグ・ガイの武器だったわけです。
しかしビッグ・ガイは己自身の答えを見つけた事により筋肉を必要としなくなり、その為その筋肉を脱ぎさる必要があった。
それを視覚的に分かりやすくしたのが一見珍妙に見えるあのマッスル・スーツだったのだと思います。

いわばマッスル・スーツはアメコミヒーローにおける見た目かっこいいコスチューム。
そのコスチュームを着続けて泥沼の復讐の連鎖に陥ってしまうアメコミヒーローになってしまうのか、それとも筋肉を脱ぎ捨ててその連鎖を断ち切るのか。
その選択で正しいのはエンターテイメント的にはアメコミヒーローですが、実際には行う事は難しいかもしれないけど本作におけるビッグ・ガイの出した答えの方なのではないかと思えます。

その答えを出し、筋肉を脱ぎさった後のラストシーンで一服するアンディ・ラウがカッコよかった。
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