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『ドミノ』『SISU/シス 不死身の男』 [映画]

『ザ・キラー』でダウンした。
ネットフリックスの映画をわざわざ映画館まで観に行ったが途中から気持ちが悪くなる方の頭痛になってこれは家に帰れなくなるかもと思って最後まで目を閉じて安静にしていた。どうにかこうにか家には帰れたのと後日に体調不良を引きずらなかったので良かった。
途中まで観ていた映画はスタイリッシュな殺し屋映画みたいな感じで良かったけど、自分の中での規律、自分の感情を持ち込むな流されるな。を徹底して重んじていた一流の殺し屋がその規律に反する事になる己の感情だけのための復讐を規律を重んじながら行う様が描かれていて、規律に反する事を規律に則って行うある意味で倒錯した面も有ったんではないだろうか。殺し屋という職業(?)自体に倫理や道徳を持ち込んでもしている事そのものが倫理や道徳に反している事だから元々が倒錯はしている。
自分の中での規律に反した復讐の結末はどうなったのか。大概そういうのは失敗するものだけどミステリー状態のままでわたくしの映画人生終わるのかもしれない。



『ドミノ』を観た。2023年、アメリカ、1時間34分。
刑事のダニーは娘を誘拐され犯人は捕まるが犯人は自分が誘拐した記憶すら失っていて娘の居場所が不明なままだった。銀行が襲撃され貸金庫が狙われるという一報で銀行に向かったダニーは一足先に貸金庫の中身を確保する。そこには娘の写真があり「レブ・デルレーンを見つけろ」というメッセージが書かれていた。

予告の段階から今までのロバート・ロドリゲス作品っぽくはないなと感じでいたが本編を実際観てもやっぱりロバート・ロドリゲス作品っぽくはなかった。どこがどうでとか詳しい事は分からないけどトニー・スコット作品っぽさがあった。と思っていたらトニー・スコット監督も邦題が同じ『ドミノ』(こちらは原題も"DOMINO")を2005年に撮っていた。ちなみにブライアン・デ・パルマ監督も2019年に『ドミノ 復讐の咆哮』(原題"DOMINO")を撮っている。
主に映像はトニー・スコットっぽさがあって、物語はフィリップ・K・ディックっぽさがあったが、ベン・アフレックは2004年にフィリップ・K・ディックの短編小説が原作の『ペイチェック 消された記憶』(ジョン・ウー監督)に主演していた。

映像がややチープに見えるのがロバート・ロドリゲス作品の特徴の一つではないかと思うが本作にはゴージャス感が有ったのも今までと違うように思えたのかもしれない。ただ最後の"組織"の全体像はやっぱりチープに思えた。総勢2、30人くらい。少数精鋭な"組織"なのかもしれない。

ロバート・ロドリゲスの映画プロダクションは「TROUBLEMAKER STUDIO」だと思っていたが、本作では「DOUBLE R PRODUCTIONS」(ROBERT RODRIGUEZのイニシャルからのプロダクション名DOUBLE Rで間違いないだろう)になっていた。どういういきさつなのか詳しい事は分からないがそこら辺も作風の違いに影響しているのだろうか。



『SISU/シス 不死身の男』を観た。2022年、フィンランド、1時間31分。
第二次世界大戦末期のフィンランド。ひとりで金塊を堀当てたフィンランド人の老人はナチス軍の戦車小隊と遭遇する。敗戦が見えてきたナチス軍は撤退の最中闇雲に行く先々の町を破壊し人々を蹂躙し虐殺していた。

面白かった。まさかフィンランドの映画でこんなハードなバイオレンス映画が作られるとは思ってもいなかったがサミュエル・L・ジャクソンがアメリカ大統領役だった『ビッグゲーム 大統領と少年ハンター』(2014年)の監督と同じ人だった。ヤルマリ・ヘランダー監督。
多分『ビッグゲーム 大統領と少年ハンター』を観た時にもまさかカウリスマキ兄弟でお馴染みのフィンランドでこんな映画が作られるとは。と思ったかもしれない。

"SISU"とはフィンランド語特有の言葉で他の外国語への翻訳は不可能で強いて言えば"不屈の闘志を持つ人物"が当てはまるという事。
それは言葉だけの意味ではなくて、その人物の在り方そのものを理解する事が不可能という事になるのだろうと思う。理解を超えた存在と言った方が正しいか。そういう前提が有れば老人が何をしようともそれは彼が"SISU"だからという事で納得するしかない構造になっていて、自分はそれに納得出来て存分に楽しめた。

ナチスドイツ兵が全員英語を喋っているのは気になってしまうが、フィンランド人とドイツ人が会話する時に(会話ではなくナチスドイツ兵による暴言や命令が主だけど)その会話を成立させるためには片方がフィンランド語で片方がドイツ語では都合があまり良くないから両者が英語を話す(理解している)事で成立させたのだろう。
しかし老人は無口で喋るのは最後だけ。確かフィンランド語だったと思う。いくらSISUだと言っても重たいものは重たいと。
しかしあれは次回作の伏線なのかとも考えられる。恐らくあの老人が闘うべき相手は老人の家族を殺したソ連兵であって、今回のナチス軍とは行き掛かり上闘わなければならなかった。ソ連兵と闘うためにその軍資金として金塊を堀当ててナチスから守り抜いて準備万端で次の闘いが待っているのかも。
SISUはあの老人でなければならないという事ではないみたいだから女性でもいいのだろうし、なんだったらフィンランド人じゃなくてもいいような気がする。時代もいつでもいいのだろうと思う。現代篇とか未来篇でSISUは死のうと思わなければ生き続けられるのだから老人をリーダーとしたSISU軍団の血みどろの活躍を観てみたい。
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