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『光州5・18』『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』『靖国 YASUKUNI』『パラノイドパーク』をみました [2008年5月に観た映画]

『光州5・18』 (2007・韓国) 2h01
監督 : キム・ジフン
出演 : キム・サンギョン、イ・ジュンギ、イ・ヨウォン、アン・ソンギ
新宿ガーデンシネマ1にて

[カチンコ]1980年5月。韓国光州で起きた光州事件を描く。

光州事件及びその前後の韓国の歴史について勉強してから観るべきでした。
軍隊と市民の衝突。武力で圧倒的に勝る軍隊を前に市民は・・・。
という物語ですが、その事件の全容はこの映画を観た限りでは自分にはよく分かりませんでした。

軍事政権を推し進める軍部と民主化を願う市民。という背景が有りましたが、
当時の軍隊を絶対悪として描く意図が有ったのか、軍隊が事態の鎮圧と称して行う暴力は見るに耐えませんでした。
同じ韓国人同士で何故あそこまでの事が出来るのか?
それが軍事政権の恐怖なのかもしれませんが、そこに至るまでの経緯がよく分かりませんでした。
発砲許可を誰が出したのか?などの諸問題も未だ解決がなされていないらしいのであまり突っ込んで描けなかったのかもしれません。
それはともかく、やはり勉強してから観るべきだった。と反省しきりです。

[カチンコ]前半はある兄弟のお話しがメインとなっていますが、後半になると弟の存在が忘れ去られているように思えました。
この事件の根底にあるのは単なる復讐心ではないのだ。という事でしょうか?
しかし、弟役のイ・ジュンギファンの方からしたら歯痒い事この上ないだろうと思えます。
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『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』 (2008・日本) 1h58
監督 : 樋口真嗣
出演 : 松本潤、長澤まさみ、阿部寛、宮川大輔、椎名桔平、甲本雅裕、國村隼
池袋HUMAXシネマズ4 シネマ1にて 

[カチンコ]空想娯楽時代劇。

“痛快”が付けられないのが残念でした。
樋口監督には期待しているだけに辛口の見方をしてしまいます。
特撮などの絵作りは大作感溢れていてさすがと思えましたが、物語としては持ち味とも言える漫画・アニメ的な所が出すぎているように思えました。
それはそれで一つのジャンルとして立派に成立していると思います。
と言うかエンターテイメント作品における一大ジャンルと言えます。
実写によるアニメーション大作。
現在はハリウッドのお家芸と言えるこのジャンルにアニメーション大国の日本から果敢に挑戦していますが、なんなんでしょうか?この微妙にずれてしまう感じは。
漫画・アニメ的が悪いとは全く思いません。ただ、何かが違う。
『ローレライ』の時にもそれを感じて、『日本沈没』ではあまり感じなかったのですが。
他の監督さんでは『キャシャーン』も『キューティーハニー』も何かが違いました。

その何かとは、人間がアニメキャラを演じているように感じる違和感なのかもしれません。
CGアニメでリアルな人間を描こうとするとどこかちょっとおかしいと感じる逆のパターンのように思えます。

邦画においてはこの手の映画にこちらが観慣れていないのもやや不利かと思います。
どうしてもアラばかりに目が行ってしまい、ハリウッドの作品と較べてしまう。
この様な映画が邦画でもバンバン作られればそれは払拭出来るのではないでしょうか。

という事で樋口監督の次回作にはやはり期待しています。
潜水艦モノ、ディザスタームービー、時代劇と来て次は何を観せてくれるのでしょうか?

[カチンコ]殺陣のシーンでの刀を振り下ろした時の残像に工夫されているのが斬新でカッコよかった。
刀そのものを見せるのではなく残像を見せることで動きの素早さを表現するという漫画・アニメではよく見られる表現です。実写で見たのは初めてのような気がします。
『スターウォーズ』のライトセーバーとはまた違う感じで、新たな表現が見れました。

[カチンコ]宮川大輔さんが最高でした。松本潤さんとのコンビの息も合っていました。
エンドロールでは遠景で延々と浜辺をお二人で歩いていましたが、どこら辺まで役になりきっていたのでしょう?
恐らく5分ぐらいずっとアドリブだったと思います。その様子を見てみたいです。
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『靖国 YASUKUNI』 (2007・日本=中国) 2h03
監督・撮影・編集 : リ・イン
シネマアンジェリカにて

[カチンコ]靖国神社とはなんぞや。を問いかけるドキュメンタリー。

[カチンコ]そろそろ騒動も収まっている頃だろうと思い、特に何の考えもなく興味本位で平日の夕方に観に行きました。
客席は半分ほど埋まっていましたが、公開当初のシネ・アミューズであった客席内に警備員の方がいられるという事もなく、いたって静かでいつも通りの映画館でした。
いつもと違ったのは係員の方の人数が多かったような。

[カチンコ]騒動の大まかな感じは、政府の助成を受けて作られた映画としては問題が有るのでは?という意見から始まり、なんやかんや有って公開を取りやめる映画館が相次いだ事で言論の自由の問題に発展した。といった所だと思います。

情けない事にこの映画を観てもあの戦争とはなんだったのか?靖国神社が果たした役割とは?
という所まで考えが及びませんでした。
それよりもこの映画自体が騒動の論点にもなった言論・思想・表現の自由について考えさせる映画なのではないかと思いました。
靖国に集まる様々な人たち。本当に様々な人たちで驚かされます。
その人たちが、自分の思想を様々な形で表現し、意見を述べています。
かなり片寄った意見が大半を占めているような気もしますが、それでいいのではないかと思います。それこそが言論の自由だし。尊重される権利だと思います。

そして最後には当時の戦地での写真などが映されます。それは監督の「あの戦争にはこのような一面も確かにあった。」という一つの意見なのではないでしょうか。
それは何か作為的な誘導に取れる。という意見も有ったと思います。
自分も最初はそう思いましたが、そうではなくてこの映画に出てくる様々な人たちがそれぞれの意見を自由に述べているように監督の一個人としての意見を述べていたのではないかと思います。

靖国神社という場所は、誰誰の魂が祀られているのがイカン。誰誰の魂と誰誰の魂とが同じように扱われているのがイカン。という所から離れて、これからも互いの意見を自由に述べあう場所、そこに力ずくで意見を述べる事や、ある意見を封じ込めるなどの暴力が有る事無くそれぞれの意見を真摯に聞く場所として存在すべきではないのだろうか。
それはあの戦争で何が有ったのかという事を忘れないためにもその存在は意味があるのではないかと思いました。
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『パラノイドパーク』  “PARANOID PARK” (2007・フランス=アメリカ) 1h25
監督・脚本・編集 : ガス・ヴァン・サント
出演 : ゲイブ・ネヴァンス、テイラー・モンセン、ジェイク・ミラー、ダン・リウ
シネセゾン渋谷にて

[カチンコ]スケボー少年の憂鬱。

[カチンコ]現代のリアルな少年の心に迫る。
が、その心には何もなかった。という強烈なメッセージが込められているように思えました。

ある事件を起こした少年の心の闇を覗こうとしますが、そこにあるのはフワフワとした綺麗な映像とおしゃれな音楽。
そこから何かを読み取らなければいけないのかもしれません。
でも、ある年代の少年少女の頭の中はフワフワで綺麗でおしゃれなもので90%ぐらいを占めてて当然だよなぁ。と、我が身を振り返ってみるに痛感いたします。

[カチンコ]一つとても驚いたシーンが有りました。そんなに大げさなシーンではなく些細な日常のひとコマといったシーンなのですが。
それは主人公の少年が他の少年の昼飯(アメリカンドッグ)を勝手に食べてしまうのです。その少年の目の前で。アメリカンドッグを。
「だって、お腹が空いてるんだもん[るんるん]」と幼稚園レベルの言い訳で。アメリカンドッグを。
幼稚園の子でも人のものを勝手に食べてしまうなんて事はそうはしないと思いますが。
しかしそれについて喧嘩が起こるでもなく言い合いにもなりません。アメリカンドッグを食べてしまったのにも関わらず。
それがプチトマト一個、もしくはポークビッツ一本、はたまたイシイのおべんとくんミートボール一個という複数存在系おかずのレベルならば「おめぇ~、っざけんなよぉ~!」から始まるジャレ合いに発展するのも有りですが、ブツはアメリカンドッグ一本。そのボリューム感は串カツ一本、出来立てホカホカならばプラス海老フライ級と言っても過言ではないと思われます。
そのクラスのおかずを無断で食べるなんて事をしたら、若き血潮燃えたぎる少年達なら取っ組み合いの喧嘩になってもおかしくないはずなのですが。
おまけにそのアメリカンドッグを食べている最中に放送で呼び出しを受けた主人公は食べかけのアメリカンドッグをポイッと置いてスタスタとその場を去ります。
アメリカンドッグを勝手に食べてしまった侘び一つも言わずに。
それで終わってしまうのです。

「食い物の恨みは恐ろしい」はアメリカ人には通用しないのでしょうか?
これが「俺のものは俺のもの。人のものは俺のもの。」なジャイアンタイプなら喧嘩や言い合いが起こらないのも分かるのですが、
主人公はジャイアンという感じでは有りません。監督好みと思える美少年。

誰とも争わない。極力衝突を避ける。
それが現代の少年たちのリアルなのかなぁと思うシーンでした。

にしてもアメリカンドッグを・・・。
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