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秋刀魚の味と晩春 [2008年12月に観た映画]


An Autumn Afternoon [VHS] [Import]

『秋刀魚の味』
(1962・日本) 1h53
監督・脚本 : 小津安二郎
出演 : 笠智衆、岩下志麻、佐田啓二、岡田茉莉子、三上真一郎、中村伸郎、北竜二、東野英治郎、杉村春子、加東大介、岸田今日子


ネタバレあり。



早稲田松竹で上映されていたので観ました。
初小津。初早稲田松竹。

高田馬場駅で降りるのはいつ以来か忘れるほど久し振り。普段は山手線で通り過ぎるだけですが降りてみるとJR、西武新宿線のガード下に手塚治虫先生の壁画が有ってちょっとビックリ。
http://mainichi.jp/enta/mantan/graph/anime/20080409/
山手線の車内からも新宿線のガード下の壁画はチラッと見えるはずですが、今まですっかり見落としていました。

早稲田松竹は駅から歩いて約5分。裏通りにひっそりと建っているのかと思ったら表通り(早稲田通り)に面してデーンと建っていました。
http://www.h4.dion.ne.jp/~wsdsck/
その佇まいは正に昭和の映画館。その内文化財とかになりそう。
外観はそんな感じですが、客席内はとてもいい感じ。座席は2本続けても問題ないくらい座り心地が良いですし、席間も広い。傾斜はそんなにありませんがスクリーンが高めですから問題なし。
システムとしていいなぁと思ったのが途中外出可(当日のみ)。2本立ての場合午前中に1本観て、外出証をもらって用事を済ませてから夜に別の1本を観る。という事も可能らしいです。



初小津。
映画が始まってカラー作品だった事に少し驚き。小津作品と言うとモノクロのイメージが強いので。

小津作品。そのスタイルは独特。唯一無二。
それを生み出し、それこそが小津作品なのである。という事を広く認知させた事がスゴイ。
小津作品に初めて触れる自分にはそのスタイルに本作だけでは慣れませんでした。誠に残念ながら。

晩年(最後の監督作品という事は観終わってから知りました)の作品なので自作及び自身の人生の集大成的意味合いが強いのかなぁと薄っすらと感じました。



岩下志麻さんが綺麗。いかにもな綺麗さではなくて独特な綺麗さ。
誠に失礼な言い方をしますときつね顔のクールビューティ。本作ではそれでいてどこか可愛らしい。そんな綺麗さでありました。
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Late Spring [VHS] [Import]


『晩春』
(1949・日本) 1h48
監督・脚本 : 小津安二郎
出演 : 笠智衆、原節子、杉村春子、月丘夢路、青木放屁



本作はモノクロ。残念ながらフィルムの状態がすこぶる悪かった。特に音声はノイズが激しく、自分のヒアリング能力の低さも重なって台詞が聞き取れない箇所が多々ありました。



『秋刀魚の味』の姉妹編。といった印象を受けました。
本作が当然お姉さん。順番として本作を先に観た方が良かったのかもしれませんが、2本続けて観れたのは両作の比較が出来てよかったと思います。

『秋刀魚の味』とほぼ内容は一緒と言ってもいいかもしれない。室内の様子やカットの構図などがほぼ一緒な所もありました。

幼い女の子が「大きくなったらお父さんのお嫁さんになる」とよく言いますが、両作品でそれをもし実現してしまったらどうなるのかを映画という仮想現実を使って実験しているかのようでした。
また小津作品のスタイルがどこかドキュメンタリー的でもあり、それが実験映画の趣をより強調している様でもあります。

「お父さんのお嫁さん」理論の実験結果は、それを実践するならばどこかで破綻をきたす。という事を導き出しています。
それは姉妹編の『秋刀魚の味』の中でも別の新たな結果を導き出して再度強調しています。
その結果を見ると、お父さんの夢である「お父さんのお嫁さん」理論はあくまで夢物語に終わらせるのが世のため人のためによろしいのではないかと思われます。



小津作品についてよく言われる「ユーモアとペーソス」。それは確かにそうだなぁと思いました。
でもなんだかちょっとヘンなユーモア。
本作の中での杉村春子さんが拾った財布をネコババする所とか、原節子さんが親戚の子のぶぅちゃんをからかう所だとか。

ペーソスでは娘を嫁に送り出した後の誰もいない部屋の寂しさ。なんともいえない寂しさです。



正直な所、2本続けて観てもまだ小津映画のスタイルには慣れませんでした。

まだ2本しか観ていませんが、小津作品の中では新しい時代が迫ってくる中で古き良き時代を生きている人たちの姿を描いているように思えます。
小津監督がもしまだ生きていたら、現代日本をどのように描くのか観てみたい気がします。



2008年は初小津で締めくくりました。
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