上意討ち 拝領妻始末

『上意討ち　拝領妻始末』
（1967・日本）　2h08
監督　：　小林正樹
出演　：　三船敏郎、加藤剛、司葉子、仲代達矢、神山繁、松村達雄、市原悦子








会津藩の殿様の側室いちを拝領する事になった笹原家。
笹原伊三郎の長男与五郎はいちと夫婦として仲睦まじく暮らすが、殿様といちの間に生まれた赤ん坊が急遽跡取りとなった。
今度は正室となったいちを返上せよと笹原家に上意が下される。



銀座シネパトス《日本映画レトロスペクティブ‐Ｐａｒｔ２２‐巨匠・小林正樹の足跡》にて。



『切腹』に続きこれまたアンチ武士道な時代劇映画。
絶対君主制である事を大前提として成り立っている江戸時代の武士社会。その君主には忠義を尽くす事を絶対とする武士道。
そこに武士のロマンを感じるのではなく、理不尽がまかり通る歪んだ構造に危険性を唱える小林監督。社会派。

『切腹』ともども最後の決着は銃。より強いものの登場でそれまで強かったものはいとも簡単に消え去る。世の中の仕組みはかくもシンプル。

とは言え、時代劇ならではのチャンバラも当然有り。
笹原伊三郎（三船敏郎）と浅野帯刀（仲代達矢）の対決は『椿三十郎』のリターンマッチのようでもあった。