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アーティスト [ア行の映画]


Artist

『アーティスト』
“THE ARTIST” (2011・フランス・1h41)
監督・脚本 : ミシェル・アザナヴィシウス
出演 : ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェル






サイレント映画の大スター、ジョージ・ヴァレンティン。トーキー映画の流れに乗れず過去の人となってしまう。



マルコム・マクダウウェルの出番ってあれだけだったんだなぁとしばらく後になって気付く。



ただの懐古趣味の映画ではないのか。と思っていたけれど、サイレントからトーキーへの移行、そして映画に欠かす事の出来ない一つのジャンルが誕生する。という話しの持って行き方は上手いなぁと思った。
これなら『ヒューゴ』と『アーティスト』どっち?となったら『アーティスト』となるのも納得した。



サイレント映画の良さが分かったのかというとどうなのか。この映画だからサイレントで良かったのだろうし。
他の昔のサイレント映画を観てみたい。という気分にまではならなかった。

近くにおばちゃんの二人組が座って、これうるさかったらヤだなぁと思ったけど。思った通り感情表現豊かに鑑賞されて。ただそれが不快には思わず。むしろサイレントのこの映画にはそれが正しい観方のように思えた。
悲しいシーンでは悲しい気分で、楽しいシーンでは楽しい気分で。観客の想像力に頼る所が大きいサイレント映画なだけに、その気分を表に出して観客同士が共感し合う。それが重要なのかもしれない。



音楽、作曲の事は全く分からないが、ほぼ全編に渡って音楽が流れ続ける本作。音楽が昂揚を生み出しているとも言える。
シーン毎の音楽が流れ、穏やかな場面では音楽は穏やかに。シーンが盛り上がる所で音楽がそれを盛り上げる。
シーンが始まってから2分32秒までは穏やかな感じで、ややコミカルさを増し4分22秒あたりで緊張感が加わり5分34秒でクライマックスに入り6分52秒でフィニッシュ。なんていう秒単位での発注が有ったのかもしれない。それに応えるのがプロならではのお仕事なのだなぁと思った。
作曲賞も見事オスカーゲットでおめでとうございます。



観終わると幸せな気分になる映画だけれど、フィルムからデジタルへの移行が急激に進む現在の事を思うとこれはシビアな事が描かれているのではないかと。
常に新しいものを取り入れ、必要の無くなったものは淘汰されてきた映画。それは観る側が新しいものを求め、受け入れ、それまで有ったものを必要としなくなるからという所も有り。
今そこにあるものを取り入れ今を描く。だから映画は面白いのだろうし。伝統を重んじ固執するなら伝統芸能を観ればいいわけで。
つまり映画とはそういうもんで。フィルムからデジタルへの移行なんて当然の成り行き。
もはやフィルムや映画館に固執することが懐古趣味になっているのかもしれない。
なんだけど、そう簡単に割り切れるものでもなく。それによって無くなる映画館が有るかもしれない事を思えば受け入れ難いものがあります。
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