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男はつらいよ 50作目 [男はつらいよ]

男はつらいよ お帰り 寅さん
50歳になった満男。ある日初恋の人及川泉の夢を見る。

渥美清さん不在の中でどんなミラクルを起こして爆笑喜劇を観せてくれるのだろうと期待と不安の中で観たがミラクルは起きなかった。敢えて起こさなかったのかもしれない。
考えてみれば寅さん以外の人たちは他の一般と較べても至って真面目な常識人なわけで、そんな人たちが寅さんたった一人に引っ掻きまわされて大騒動が起きる。今回も寅さんがいたらしっちゃかめっちゃかな事になったのだろうし。
しかし寅さんは不在。考えてみれば寅さんが柴又にいる時間というのは一度には長くて数日、短いと数時間。くるまやに寅さんがいない時間の方が圧倒的に長くてくるまや、柴又にとって寅さんがいない時間が日常で、いる時間の方は非日常。
本作はそんな寅さんのいないいつもの日常で常識のある人たちにちょっとした事件が起きて常識的に解決する。
それこそが寅さんが常日頃から言っていた俺のような人間にはなるな、真っ当な仕事をして幸せな家庭を築けよ。なのであって。寅さんが見たらそれでいいんだよと目を細くして微笑むのだろう。
満男はちょっと反抗して安定的とは言えない物書きになるけど。そこは寅さんの血なのかも。

ただそうなると寅さんのいない中で50になった満男の黄昏流星群になってしまっていて。正直な所男はつらいよで黄昏流星群が観たかったかと言えば観たくは無かった。
黄昏流星群をちゃんと読んだ事は無いのにこんな所でまるで良くない様な例えの引き合いに使ってしまって申し訳無く思っている。黄昏流星群は多分恐らく面白い。
吉岡秀隆さんのやたらと目を見開くお芝居もこれまでの男はつらいよには合わない感じがして個人的にはちょっと駄目だった。
満男とあけみのやり取りは寅さんとタコ社長の関係が継続(力関係は完全に逆転)されていて面白かった。

結局寅さんは今もまだいるのかいないのか。仏壇に写真が飾られていないのでいる事はいるんだろうと思う。
あんまり帰って来てはいないという事なのか。二十何年間も帰って来ていないのだったらもっと心配しているはずだろうし。
あのお兄ちゃん大好きなさくらもどうしてもお兄ちゃんに会いたいという感じではない。会いたいなあと思ってしまうと寅さんは現れて常識的で平和な日常が壊されてしまう。長年帰って来ない間に寅さんのいない日常の方が大切になってしまったのか。
心配はしていないという事は手紙くらいは寅さんから一方的に来ているのかも。義理堅い寅さんだから年賀状は必ず来るだろうし。寅さんからの年賀状がくるまやに届けば本作の中でも新年を迎えられたのだろう。

リリーがおしっこに行くのは「粋なネエチャン立ちしょんべん」から来ているのだろうか。「ちゃらちゃら流れるお茶の水」で近くの神保町。他にも色々隠しネタが有るのかも。
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