SSブログ

瀬能理偉汰

「…はっ!ここは?…ついに、ついに成功したのか?ここは25年前…なのか?
ああっ!父さん!あそこに父さんがいる。まだ若々しい父さんだ。やはりそうだここは25年前のあの日なのだ!
しかし、まずい。父さんが向かおうとしているのは恐らく市役所。急がないと。急いでやめさせないと。おーい、父さぁ」

「やめるんだ!瀬能!」

「はっ!誰だ!」

「我々はタイムパトロールだ。きみが行おうとしている行為は時間法に違反している。即刻やめたまえ」

「くそっ、せっかくここまで来たっていうのに…」

「やめる事は無い!そんな奴らの言う事なんかくそくらえだ!」

「き、君は…僕?」

「ああそうだ。僕は君だよ。この時代の30年後から来た君だよ。
ここで諦めたらダメだ。ここで諦めたらこの先ずっと後悔する事になる。ここは僕に任せてやるんだ!僕!」

「何をする気だ!二人とも逮捕するぞ!」

「黙れ!お前たちは僕と一緒に別の時代に行ってもらう!うおおおっ!」

「う、うわああああっ!…」

「…いなくなってしまった。…そうだ、父さん、おーい、父さーん!」

「えっ?トウサン?僕はトウサンではないですけど」

「ああそうだ。えっと、実はあなたは僕のお父さんなのです。僕、25年後の未来から来ました。実はお父さんに折り入ってお願いが有るのです。
お父さんお願いです。その出生届に書いてある僕の名前、是非ともご一考を!
理偉汰と書いてりいた。とても素晴らしい名前です。ただ、ただ、瀬能に付ける名前にはどうかと。瀬能理偉汰。僕が小さい頃からつけられたあだ名はセニョリータです。我が名の呪縛から逃れられないこの苦しみをどうぞ分かってください、お父さん!」

「…そうか、分かりました」



「ええー、神さまぁ。人類滅亡の原因ってこんな事だったのぉ?」

「ああ、そうですよエンジェルちゃん。こんな些細な事と思える時間改変だけどね。最初は小さな綻びでしたよ。その綻びが至る所に拡がり有りと有らゆるものの辻褄が合わなくなってね。このままでは全てが崩壊する危機にあたってあの星は一番の元凶である人類を切り捨てる事を選んだのです。
それで元通りにはならなかったんだけどね。見てごらんあの星の緑色に広がる大空、山吹色に輝く大海原、あ!大王ナメクジが群れをなして飛んでいるよ。
どうだいエンジェルちゃん大分変わってしまったけどこれはこれでいいものでしょ?」

「うーん、神さまの感性って独特だからなあ。ってか、そのエンジェルちゃんって呼び方いい加減やめてくださいよ。これでも大天使長なんですから。威厳というものが大切なんです」

「おおーそうだったね。ゴメン、ゴメン大天使長のエンジェルちゃん」

「んもー、神さまぁ」

おしまい。
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。