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『最後まで行く』『エンパイア・オブ・ライト』 [映画]

『最後まで行く』を観た。2014年、韓国、1時間51分。
人通りの無い夜道で交通死亡事故を起こした刑事。目撃者がいない事から隠蔽しようとするが。

5月に日本版のリメイク作品が公開される。オリジナルの韓国版の日本公開は2015年のシネマカリテでのカリコレだったらしい。日本版公開を控えて都内ではシネマート新宿でリバイバル上映された。
中国、フランス、フィリピンでもリメイク作品が作られている。中国だとどうなるんだろう?必ず罪は償わなければならないからラストも変わるのだろうか。
中国版はアーロン・クォック主演『ピースブレーカー』(2017年)。


フランス版はNETFLIXで配信中『レストレス』(2022年)。


フィリピン版は分からないが中国版、フランス版共に予告を見る限りではオリジナルに忠実なリメイクの様に思える。日本版は日本映画らしい正義感だったり感動だったりの変更がなされてなければいいのだけど。

ネタバレ有り。

刑事による隠蔽工作に対してこれでもかという位に様々な障害が立ちはだかる。更に元々の交通事故に関しても秘密が隠されていた。
クライマックスかと思った先のその先にもヤマ場が有って、それはサービス精神なのだろうけどちょっと(かなり?)しつこく思えてしまった。そのしつこさが韓国映画らしさでもあるのだろうけど。



『エンパイア・オブ・ライト』を観た。2022年、イギリス=アメリカ、1時間55分。
1980年、イギリス。海辺の町の映画館エンパイア劇場で働く中年女性のヒラリー。

映画、映画館を取り巻く物語としては1980年代初頭という時代が重要になってくるのだろうと思う。
イギリスがどうなのかは分からないが日本での事で考えると映画を観る手段は先ず映画館、映画館以外での上映会、そしてテレビ放送だった時代。その数年後に家庭用ビデオが普及する事によって映画を観るスタイルは大きく変わり映画館の経営も特に本作での大劇場と呼ばれる様な所では厳しいものになっていく。その変革が訪れるちょっと前。大繁盛とまではいかないけどもなんとなく緩い感じで経営が成り立っていて職場にもどこかモラトリアム的な雰囲気があって、どこか世間には取り残されて空気的にも停滞はしているのだけどそこが居心地が良かったりもする。
映画を観るという行為が映画館に行かなければならないから他人との関わりが幾分か濃厚で、それがビデオの時代になると家族、友人、仲間、恋人、そして個人と、対人関係が限られたものになっていく。そして現在はネット配信となり個人で観るケースがより多くなっている。
映画館で映画を観る、映画館で働く。映画館が人と人とのかかわりを持てる場所でもあった時代を懐かしんでもいるのだろうと思う。今でもそういう映画館は有ってそこで働いている人たちがそういう場所を無くさない様に頑張ってくれている。
しかし考えてみると家庭用ビデオの時代というのもそんなには長くはなかった。1980年代から始まり(それ以前は高級品でどこの家庭にも有るものではなかった)1990年代にはDVDが登場してレンタルビデオ屋はレンタルDVDが主流となり、そしてネット配信により多くのレンタル店が町から無くなった。
映画館という場所は映画が始まった時、その時は映画小屋だったのかもしれない。それから今までずっと続いているわけでこれからも形は変わっていくかもしれないけど続いていくのではないかと楽観的に思う。
かつての日本での大劇場の代名詞の一つ新宿ミラノ座の跡地にできるシネコン109シネマズプレミアム新宿は4月14日(金)開業。



主人公のヒラリーは何年か前の映画なら職場にいるヒステリックなおばさんという扱いの脇役で終わっていたと思う。そんなただの厄介者に思えていたおばさんのドラマが描かれる時代になったのはいい事なのだろうと思う。
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