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ザ・キッチン、ある女流作家の罪と罰、レイニーデイ・イン・ニューヨーク [映画]

ザ・キッチンを観た。2019年、1時間42分。
1978年、ニューヨーク。アイルランド系ギャングが仕切る通称ヘルズ・キッチン。組織に属する男三人が強盗を働きFBIに逮捕される。三人の妻たちは経済的に家庭を守るため組織の仕事をしようとするが古い体質の組織はそれを許さなかった。

DCコミックの実写映画化という事でやっぱりアメコミヒーローモノなのかと思っていたけど、DCコミックの中にもアメコミヒーロー以外の作品もあるみたいでいわゆるヒーローは一切出てこない(それっぽい人はいる。大天使の名前なのは救世主的な意味だったりするのかも)女性たちを主人公にした血まみれでのしあがっていくギャング映画だった。
ヒーローモノで無かった事に全く不満は無いがギャング映画としてはとても惜しい作品だった。多分もっと面白くなったはずだろうけど何かが足りなかった。ギャング、マフィア、極道映画には殺人と裏切りが付き物でその許されない行為、卑劣な行為をドラマチックにするのに情緒みたいなものが必要なのかもしれない。情緒を抜きにしてドライな実録風作品も有るだろうけど本作の場合はウェットな情緒が必要だったんじゃないかと思う。

エンドロールの映像、ポスターがカッコいい。http://www.impawards.com/2019/kitchen.html

イタリアマフィア側にいた女性はどこかで見た様な気がすると思ったらアナベラ・シオラだった。久し振りに姿を見た。



ある女流作家の罪と罰を観た。2018年、1時間46分。
1991年、ニューヨーク。伝記作家として過去に評価されるも現在は職を失いアパートの家賃も滞納しているリー・イスラエル。病気の愛猫の治療費を支払うため名優キャサリン・ヘップバーンからの直筆の手紙を売った事から著名人の書簡の偽造に手を染めていく。

ザ・キッチンと同じくメリッサ・マッカーシー主演でニューヨークを舞台とした映画。こちらは実話を基にしている。ザ・キッチンも実話なんだろうか?
批評家から高い評価をされている作品で確かにいい映画だった。1990年代の大都会ニューヨークで孤独に、でも逞しく生きている男と女がほんの一時だけ肩を寄せ合って生きる。しかしそれまで自ら一人で生きる事を選んできた者同士、最終的にはやはり群れる事を良しとはしない。
二人にとっては最悪な結果を迎えたけども決して最悪な思い出になったわけではなくて。確かに法律上は罪と罰では有ったけど、人として、都会で一人で生きる弱い存在に対して罪と罰と断じてしまうのはちょっと冷たいのかなあとは思ってしまう。
原題はCan You Ever Forgive Me?で、私を許してくれますか?という意味になるみたいで罪と罰という言葉が全く無関係でも無かった。

メリッサ・マッカーシー、リチャード・E・グランド共に2018年のアカデミー賞にノミネート。リチャード・E・グランドがとても良かったけどこの年の助演男優賞はグリーンブックのマハーシャラ・アリが受賞。もしマハーシャラ・アリが主演の方でのノミネートだったらどうなっていただろう。



レイニーデイ・イン・ニューヨークを観た。
郊外のヤードリー大学に通うカップルのギャツビーとアシュレー。学内新聞の記者であるアシュレーが有名映画監督にインタビューする事になる。インタビュー場所のマンハッタンで生まれ育ったギャツビーも同行し素敵な週末を二人で過ごそうと計画した。

ウディ・アレン監督作品。ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ、パワハラ問題をきっかけにウディ・アレンの過去の私生活でのゴシップが再燃した。という事は避けては通れない問題なのかもしれない。
それはさておいて本作はウディ・アレン監督ならではのユーモアに溢れていて、20代の若者が主人公という事もあって人生の示唆は有るけどそんなに重たくない軽妙な都会的コメディで良かった。性格的に難有りな男が3人の女性(恋人、幼馴染み、母親)との関りによってちょっとましな人物になる物語。

何よりエル・ファニングが可愛い。登場シーンからいきなり可愛さMAXを叩き出す恐ろしい子。基本ミニスカートの上に下着姿のサービスカットも有るのは流石ウディ・アレン監督。
役的には場をかき回す存在でそれはそれで不満はあるもののコメディエンヌとしての才能が遺憾なく発揮されていた。
実質的に主役は男のギャツビーの方なのだと思うが、イケメンで裕福で才能も有るが性格はそんなに良いとは言えない(それがウディ・アレン監督が思う所のニューヨーカー気質なのかもしれない)。と共感出来ない人物なはずなんだけど、演じているのがティモシー・シャラメで、本作の前に観た出演作がストーリー・オブ・マイライフでそっちでもほとんど一緒なイケメンで裕福で才能有りな人物だけど唯一違うのが性格が良い。そのイメージがまだ残っていたから本作の性格がイマイチよろしくない人物でも腹立たしく思わなかったのかもしれない。観る順番が逆だったらどちらの作品にも良い印象を持てなかったかも。
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