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『兎たちの暴走』『BECKY ベッキー』 [映画]

『兎たちの暴走』を観た。2020年、中国、1時間45分。
中国、四川省の地方工業都市は自然も多く残る中に工場が建ち並ぶ。17才のシュイ・チンは多感な年頃で継母と上手く行かず家に居づらい。そんなシュイ・チンの前にまだ赤ん坊の頃に家を出ていった実母チュー・ティンが現れる。都会的に洗練された母に憧れを持つシュイ・チンだったが母が戻ってきたのにはある理由が有った。

池袋シネマロサにて。

2011年に実際に起きた事件から着想を得た物語という事。
経済発展による近代化が進んでいる中国ではこれからもこういった事件が頻発して、それらを題材にした映画が増えていくのだろうなと思う。しかし当局からの作品への検閲も相変わらずの様で悪事は絶対に許されない。全ての悪事が許されなくて悪徳高利貸しも検挙された様でそれは良かったとは思うが、作品自体にいい影響を及ぼすかと言えばそれは無いと思う。どんな作品でも最後は当局の意向が色濃く反映された締めくくりになってしまう。
ピカレスクな作品なんてもっての他でそうなるとジョニー・トー監督は現在映画を撮れているのだろうか?それが心配。新作を最近観れてないし。犯罪映画だけでなくコメディからロマンスから色んなジャンルの作品を撮れる監督ではあるけどそれでもやっぱり観たいのはジョニー・トー監督ならではの犯罪映画。
https://www.moviecollection.jp/news/184510/
この記事を読むと今年2月の時点で公開待機中の作品が9本有るのだとか。安心したけどやはりそれらの作品も検閲を受けなければならないのだろう。



『BECKY ベッキー』を観た。2020年、アメリカ、1時間34分。
13歳のベッキー。亡くなった母との思い出が残る別荘に父と訪れるがそこに父が再婚を考えている女性とその息子がやって来る。その事を聞かされていなかったベッキーが飼い犬の一頭を連れて離れた小屋に籠っていると残された三人の前に見知らぬ男たちが現れる。

キネカ大森、"ホラー秘宝まつり2023"の"シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション"にて。過去に行われたシッチェス映画祭特集上映の中から動員数のベスト5を上映。本作は第4位。
キネカ大森も久し振りの様な気がする。いつ何の作品を観て以来なのか全く思い出せない。


本作では悪役を演じたケヴィン・ジェームズの変わり様が前から気になってはいた。確かネットフリックスにも有ったと思うのでそちらで観ればいいのだけど、今回映画館で再上映されたのでようやっと観た。
ケヴィン・ジェームズの出演作品を全て観たわけではないけどアダム・サンドラーとの共演作や単独での主演作品では気のいいおじさんといったイメージ。
本作ではどうやらネオナチだったという事らしいが全然分かんなかった。予告でははっきりと鉤十字が映っていた。探している鍵はマクガフィン(マクガフィンとは、マクガフィンによって物語は動くがマクガフィン自体にそれほど意味はない。といった事だったと思う)なのだろうとは思ったけどネオナチだったとすると何か意味が有るものだったのか。
強面の役も違和感無かったが悪役へのチャレンジは『僕が結婚を決めたワケ』で共演したヴィンス・ヴォーンからの影響も有ったりするのだろうかとなんとなく思った。ケヴィン・ジェームズもヴィンス・ヴォーンもシリアス一辺倒になるのではなく引き続きコメディにも出るスタンスの様。

ネタばれ有り。

大まかなストーリーで女の子が悪者どもと死闘を繰り広げる。という事は知っていて、ティーンエイジャーの女の子ベッキーがどうして悪者どもと互角に闘えるのかそこに何らかの理由が有るのだろうと思っていたけど理由はなかった。強いて言うならベッキーがあらかじめ持っていた凶暴性。悪者どもへの怒りが頂点に達した時にそれまで抑えられていた凶暴性が露になる。
怒りと凶暴性が強さの秘密とは言え何故そこまで強いのかその説得力はあまり感じられず、これはより残酷な『ホーム・アローン』なんだなという事で納得する事にした。
クライマックスのシーンが夜中でリアリティを重視してなのか画面が真っ暗で何してるのかよく分からないのが残念。鉤十字の事もそうだけど上映自体が全体的にちょっと暗かったのかも。

続編が作られてベッキー役のルールー・ウィルソンが続投。アメリカでは既に限定的に公開されたみたいで今度の悪者はショーン・ウィリアム・スコット。ショーン・ウィリアム・スコットもどちらかというとこれまでは気のいいにいちゃん役が多かったと思う。
ベッキーの強さの秘密が気にならないので続編の方が楽しめるのかも。

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