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『ヴァチカンのエクソシスト』『ノーカントリー』 [映画]

『ヴァチカンのエクソシスト』を観た。2023年、アメリカ=イギリス=スペイン、1時間43分。
1987年、スペイン。廃墟となっている教会の修復作業中にアメリカからやって来た所有者一家の少年が心身に異常をきたす。それがその教会で起きた事を知ったローマ教皇はチーフ・エクソシストのガブリエーレ・アモルト神父に現地に向かうよう指示する。

アモルト神父は実在した悪魔祓い師だという情報だけで観た。
実在した人という割りにガチで悪魔の仕業だ!というエンタメに全振りだったのが意外だった。こんなエンタメな映画にして関係各所からクレームは来なかったんだろうか?と余計な心配もしたが、アモルト神父の自伝の映画化という事だった。本作での出来事も自伝に書かれているのだろうか?
エンドクレジットもすっかり流れ終わって帰ろうとした所でアモルト神父本人の生前の写真がスクリーンに映し出されて、本作の中でもユーモアのある人だったのは分かったけどその写真の表情を見るとその自伝自体がユーモア本なのかとも思えたが恐らくそんな事はなく、真面目に何か別の意図が有るのではないか。本作の中でも触れられていたエクソシスト部門の存続のためとか。悪魔は実在するのでエクソシスト部門は無くしてはならないと。
残り199体の悪魔(堕天使)がキリスト教区内に存在しているという事で。そうするとまさかの映画のシリーズ化も有るのだろうか?今回で最悪最強の悪魔を出してしまったみたいではあるけど、エンタメ全振りでいくならそんなものはいくらでもどうにでも出来るし。

神、天使と切っても切れない存在の悪魔についての研究は教会が断トツなのか。悪魔がいるから神や天使がいるとも言える。
悪魔憑きについては人間の心身の問題が98%であるとアモルト神父も言っていたが、そういう相談が何百年分も蓄積されているからそれに対処する方法も各種取り揃えられているのかも。
それで救われる人がいるならエクソシスト部門の廃止は避けた方がいいのかもしれないが、それがオカルトになって金儲けしようとする輩もいるから問題視されるのかも。そういった意味では本作もちょっと微妙な作品なのかもしれない。

アモルト神父が乗っていた原チャリはベスパ?
イタリアからスペインは簡易な地図を見たらフランスを間に挟む。原チャリでの移動でどれ位の時間が掛かるのかは分からない。ヴァチカンからフランスとの国境までも結構距離が有るし。ルート的には南仏の海岸線を通りそうで時期的には7月の初旬と、アモルト神父の性格からするとかなり優雅な旅程だったのかもしれない。教皇直々の指令だから行きは急いだけどちゃっかり下調べしておいて帰りはのんびり観光しながらだったのかも。気になる女性を見かけたらカッコウの真似とかして。



『ノーカントリー』を観た。2007年、アメリカ、2時間2分。
1980年、アメリカ、テキサス。荒野で狩りをしていたルウェリン・モスは傷付いた犬を見付ける。犬の来た道を辿ると麻薬取引がこじれた末の銃撃戦で複数の男達の死体が転がっていた。その現場には取引に必要な現金だけが見付からずモスは推理を働かせ離れた場所に一人の男の死体を見付ける。そしてモスは200万ドルを手に入れるが取り戻そうとする奴らによって追い詰められる。

目黒シネマでコーエン兄弟作品の特集上映。この時は本作と『ファーゴ』を上映。2本立てではなく1本ずつの別料金で本作だけ観た。
目黒シネマでは2本立てだとネット予約が出来ないので1本ずつの方が場合によってはいいのかもしれない。
目黒シネマは座席が滑りやすいのだろうか。自分の座り方も良くないのかもしれないが油断してると前の方にずれていってしまう。

凄惨な殺し合いが描かれる映画ではあるが凄腕どもの誰が一番強くて凶悪なのかの腕比べが面白い。一度観ているのでハビエル・バルデム演じるアントン・シガーが最凶なのは分かってはいるがそれでも見せ場は無かったウディ・ハレルソン演じるカーソン・ウェルズもその業界ではトップレベルなのだろうし、モスだって業界には所属はしていなくても軍隊経験もあるしトップレベルと同等なのではないか。トミー・リー・ジョーンズ演じるエド・トム・ベル保安官は直接対決は無いけど事件の捜査の様子をを見ていると経験豊富な上に頭脳明晰なのでもし直接対決をしたら心理戦と頭脳戦で相手を追い詰めていく感じになりそう。
保安官は引退も視野に入っている年齢で原題の"NO COUNTRY FOR OLD MEN"のオールド・メンには保安官も含まれているのだろう。原題を訳すと「年老いた者達の国ではない」という事になるのだろうか。本作には西部劇風味も感じられ、西部開拓時代から暴力の国であったアメリカは時代の流れと共に暴力も進化し旧い世代は新しい暴力が理解できない。それは常に繰り返されている事なのだろう。アントン・シガーが長生きしたとして年老いた時にはやはりその時の最新の暴力には理解が出来ないのかもしれない。

トミー・リー・ジョーンズとジョシュ・ブローリンは本作から5年後の2012年に『メン・イン・ブラック3』でエージェントKの現在と過去を演じ分ける事になる。
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