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『バーナデット ママは行方不明』『台風クラブ』 [映画]

『バーナデット ママは行方不明』を観た。2019年、アメリカ、1時間48分。
シアトル在住の主婦バーナデット・フォックス。会社を経営する良き夫と可愛くてたまらない愛娘との暮らしには不満はなかったがそれ以外の人にも町にも不満を抱え近所付き合いも一切しないために地域では孤立していた。その孤立がやがてバーナデットを窮地に追い込んでいく。

勝手な想像で不条理劇と言われる『ゴドーを待ちながら』みたいな作品なのかと思っていた。ママはそんなに出てこないような。ママを演じているのがケイト・ブランシェットだからそんな事にはならないんだろうとも思ってはいた。実際の映画はケイト・ブランシェットがほぼ出ずっぱりのファミリードラマだった。思っていたのとは違ったけど良く出来たファミリードラマで面白かった。
リッチなセレブだから成立する話で庶民にとっては現実感は無いのだけど、それをあまり感じさせない語り口の巧さが有ったと思う。
ネタバレ有り。
隣家のママ友、いがみ合っているので友ではなかったが。その人と意外な形で和解し、和解する事になる原因も予想外。バーナデットが自分を取り戻す事になる南極行きもそういう事が出来る人はそうそういないはずで突拍子も無い事のようにも思えるが、それまでに至る経緯がしっかりと描かれているので納得が出来る。

ケイト・ブランシェットはやはり上手い女優さんだなと思った。『TAR/ター』の時もそう思って、本作は日本での公開は後になってしまったけど『TAR/ター』よりも2、3年前の作品で、それよりももっと前からアカデミー賞主演女優賞、助演女優賞のWホルダーだから折り紙付きなのだけど近年はそのレベルが更に高くなっている様に思える。
とか思ってても"名優、役を選ばず"の境地なのか出演作選びは自由で『ルイスと不思議な時計』とかにも出るし。『ルイスと不思議な時計』の監督でもあるイーライ・ロスの監督作"BORDERLANDS”でもジャック・ブラックと共演するみたいで二人とよっぽどウマが合ったのか。

エピローグみたいな所で移動型(?)の南極基地が映されて、あれがバーナデットが設計したものだとしたらこれって実話?と思ったがそうではないらしい。でもあの基地は実在するのだろうか?CG?



『台風クラブ 4Kレストア版』を観た。1985年、日本、1時間36分。
東京から離れた地方の中学校。中学生達はそれぞれの悩みや想いを抱えて日々を過ごす。

ユーロスペース "作家主義 相米慎二2023"にて。

初見。1985年当時での中学生の描き方が斬新だったのではないだろうか。当時中学生がどの様な扱われ方だったのか。まだ子供の小学生と大人になりつつある高校生の間で中途半端な存在として扱われていたのではないか?テレビドラマ『3年B組金八先生』が始まったのが1979年。『金八先生』でも中学生を取り巻く様々な問題が描かれているが、本作では子供と大人の狭間にいる中学生の純粋で未熟であるからの暴力や性への衝動を更に突っ込んで描かれているように思えた。

恐らくコメディと言ってもいいんだろうと思う。コメディだと思いたい所も有った。一人の中学生の犬神家の一族の有名シーンの様な最期もあれはそのパロディで急いで引っ張り上げて助かったはずと思いたい。
その中学生役を演じていたのは映画の中で鶴見辰吾さんがお兄さんを演じていたが実際にも兄弟という事は全く知らなかった。

三浦友和さんが先生役。後に北野武監督作品の『アウトレイジ』でヤクザ役を演じる事になるがその準備はもうこの時に出来ていたんだなと思える。『アウトレイジ』以前にもヤクザ役を演じていたかもしれないが。
あの先生のキャラクター、ぶっきらぼうな所とかは相米慎二監督の人柄が反映されていたりするのだろうか?


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