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『アントニオ猪木をさがして』『ハント』『PIGGY ピギー』 [映画]

『アントニオ猪木をさがして』を観た。2023年、日本、1時間47分。
昨年亡くなられた元プロレスラーアントニオ猪木さんへの想いをそれぞれの人が語る。

猪木さんの全てを語るのには時間がいくらあっても足りないのだろう。なので猪木さんと猪木イズムに影響を受けた人達がアントニオ猪木という人物はその人たちにとってどの様な存在だったのかを語る事によって猪木さんの人物像を探っていく内容だった。それはそれで良かったけどプロレスラー時代も引退後も破天荒な面白エピソードやなかなか表には出しづらい危ない意味でのヤバいエピソード、それもワールドワイドにいっぱい有る人だっただろうからそういった内容のドキュメンタリーもいつか観てみたい。
馬場さんとの関係も触れないわけにはいかないだろうし、絶頂時には猪木さんと人気を二分していたタイガーマスクとか、テレビ中継実況の古舘さん解説の小鉄さんなど、その他にも多くの猪木さんを取り巻く人達も濃いい個性派ばかりなので大長編になってしまうかもしれない。だとしたら『プロレススーパースター列伝』の猪木さん編を読み直すべきかと考えるが『プロレススーパースター列伝』にはかなりのフィクションも入っているらしい。その原作者の梶原一騎(『プロレススーパースター列伝』では高森朝雄名義)さんとも色々と有ったり。

後は猪木さんと言えば猪木さんを物真似する人が多い。その中でも個人的に猪木さんの物真似と言えば春一番さん。ウィキペディアを見ると春一番さん以前の猪木さんの物真似と言えばアゴを突き出して「なんだこの野郎」とお決まりの文言を言えば通用していた中で春一番さんはそのお約束をあまりしないで猪木さんの言動を再現した初めての人とあってそう言われると確かにそうだったかもと思い出す。『お笑いウルトラクイズ』でのプロレスのリングを使ったコーナーが有った時は締めは春一番さんの猪木さんの物真似でそれを楽しみにしていた。猪木さんの「元気ですか!元気があれば何でも出来る」と、ご唱和バージョンの「1、2、3、ダァーッ!」がプロレスファン以外で一般的にも認知されるようになったのも春一番さんが一役買っていたかも。


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恐らくマンガ界にも多くの影響を与えていて『プロレススーパースター列伝』も初めに猪木さんと新日本プロレス有りで連載が始まったという所も有るのではないか。そしてなんと言っても忘れてはならないのが『1・2の三四郎』。
「1、2、3、ダァーッ!」はちょっとだけ『1・2の三四郎』とつながっているような。

猪木さんの引退の時のスピーチ
「この道を行けばどうなるものか
危ぶむなかれ危ぶめば道はなし
踏み出せばその一足が道となりその一足が道となる
迷わず行けよ行けば分かるさ」
猪木さん御自身が元々は一休和尚の詩と言われていてずっと信じていたけど本当は違う別の人の詩らしい。猪木さんが本当に一休さんの詩だと信じていたのか、騙されやすい人だとは本作の中で藤原喜明さんが言っていた。冗談好きな所もあるらしいのでちょっとしたいたずらだったのか。
プロレスラーとして最期の時に本当か嘘か分からない事をするのもなにか猪木さんらしいっちゃらしい気もする。

池袋シネマ・ロサにて。
今年の9月からネット予約、QRコードでの入場への対応を始められた。ロサに文明開化がやって来た。
受付の窓口はなくならないんだろうけど。ほとんど外と同じなのであの狭い所で今年の夏は特に暑かっただろうと思う。当然エアコンは付いてるんだろう。



『ハント』を観た。2022年、韓国、2時間5分。
1980年代独裁政権下にある韓国。旧KCIAの安全企画部は市民による民主化運動と北の不穏な動きに手を焼いていた。極秘事項の漏洩が発覚し以前から噂されていた北からのスパイを見付け出す事が優先され安全企画部職員同士がお互いに疑いを持ち始める。

俳優イ・ジョンジェの監督デビュー作。面白かった。デビュー作にしてよくこんなスパイエンターテインメント大作を撮ったなと観ている間感心しきり。しかも脚本も。
アクションシーンはアクション監督が撮ったのかもしれないけど。俳優からの監督デビュー作はちょっと地味で控えめな作品になるのが常な中で破格のエンタメ作品となっていた。
エンタメ作品で有りつつ朝鮮半島の南北問題を取り入れる所はイ・ジョンジェ監督に限らず韓国の方には素地として有るのかもしれない。

公式サイト等であらすじを読むと二重スパイとなっている。「二重スパイ」という言葉が出てくると一気に訳が分からなくなるのだけど本作の劇中には使われなかったので助かった。
本作では二重スパイだったか?と考えるといつも通りに訳が分からなくなりそうだったけど、
ネタバレ有り
北の人間が南に送り込まれたらそれはただのスパイで、南にいる南の人間がなんらかの理由で北側のスパイになると二重スパイになるという事なのか。
送り込まれたスパイが実は送り込まれた側のスパイだったのが二重スパイの解釈で固定されていたけど、送り込むのではなくその現地にいる人間を寝返らせるのも二重スパイなのか。
本作ではいないけど更に三重スパイ(さんじゅうすぱい。三重県のスパイではない)というのもいて、それは全く理解出来る気がしない。



『PIGGY ピギー』を観た。2022年、スペイン、1時間39分。
太った体型を同級生達からからかわれ酷い仕打ちを受けるサラ。おとなしい性格のサラはひたすら耐える日々が続き夏のある日の午後にも数名の女子からいじめられる。その帰り道サラはサラをいじめた女子達が車で連れ去られるのを目撃する。

スペインの映画はちょっと変わった作品が多いので本作にもいじめられっ子が救いのヒロインとなるがそれプラス何か変わった事が起こる作品を期待していた。

ネタバレ有り。

やはりこちらの期待を裏切る作品でそこら辺はスペイン映画らしくも思えた。サラが救いのヒロインになかなかなろうとしない。最終的にはなるのだけど、それは誰かを助けるためではなく、それまでのおとなしくて少し卑屈だった自分から抜け出すため、自分自身を救うためだったのだろうと思う。言わば自立の物語。
そのために誰かの力を借りるのではなく、『俺たちに明日はない』のボニーとクライドか『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の様なバイオレンスカップルが誕生するのかとも思ったけど今の時代誰かの力を借りて、特に異性の力を借りてなんてのはナンセンス極まりないのかもしれない。『バービー』も然りで。
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