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『マヤの秘密』『イースター・パレード』『355』 [映画]

『マヤの秘密』を観た。2020年、アメリカ、1時間37分。
1950年代アメリカの郊外。大規模工場には先の大戦で傷を負った者達も含め多くの転入者を雇い入れていた。町の開業医とその妻マヤは大戦後ヨーロッパの復興支援の場で出会いこの地へと移り住み幸せな家庭を築いていたが、ある日町中で聞き覚えの有る指笛を耳にした事で忌まわしい記憶がよみがえりマヤは平常心を失っていく。

池袋シネマ・ロサにて。

戦後間もなくルーマニアでナチスの敗残兵から暴力を受けたマヤ。十数年後その相手と思わしき人物もアメリカにいてマヤの住む町にいた。そんな偶然が起こるのか、マヤの言い分は正しいのかそれとも妄執なのか。というサスペンス作品と思って観ていてサスペンスとしてはやや物足りなく思えたが、戦争がもたらす狂気と傷跡は戦争が終わったとしても人々の心に残り続け苦しみをもたらし続ける。それは戦争も終わり戦場でもない場所でマヤの夫にももたらされた。その苦しみを隠す事忘れる事で戦後の日常は成り立っていて、それは何十年が経った現代でも変わらないはずで、やはり今有る日常もかつての戦争の苦しみの上に成り立っている事を改めて思い知らされる。そういうドラマ作品だったのだろうと思う。

マヤの夫を演じたのはクリス・メッシーナ。フィルモグラフィを見ると出演作品は結構観ている。何かの出演作で見た様な気はするのだけど何で見たのかは思い出せない。本作では印象に残る役だったのでこれで顔と名前を覚えられるかもしれない。



『イースター・パレード』を観た。1948年、アメリカ、1時間43分。
1912年、ニューヨーク。イースター・パレードで気分も浮かれるダンサーのドン・ヒューズは突然パートナーからコンビの解消を突き付けられる。偶然入った酒場の踊り子のハンナ・ブラウンを新しいパートナーに決めたドンは来年のイースター・パレードまでにはハンナを新しいスターにすると約束する。

"テアトル・クラシックス ACT.1 愛しのミュージカル映画たち”にて。
この秋に開催予定のACT.2はポール・ニューマン特集だとか。何が上映されるのか楽しみ。

ミュージカルは苦手で過去のハリウッドミュージカル映画黄金期と呼ばれる時代の作品もほとんど観た事が無かった、こういった特集上映が組まれていい機会なので観た。
本作はストーリー的にはショウビズ界の厳しさも描かれてはいるけどそれほど重たくなくあくまでラブストーリー。そして主役二人にとってはハッピーエンド。それが良かった。自分の場合社会派なメッセージだとか重厚な人間ドラマに歌とダンスが織り込まれるとどうもその事に違和感が生じてしまうのかもしれない。

主演はフレッド・アステアとジュディ・ガーランド。二人ともミュージカル映画黄金期を支えたとされる大スターだけどフレッド・アステアの出演作品で観た事の有るのはミュージカル映画ではない『タワーリング・インフェルノ』だけで、ジュディ・ガーランドはこちらはミュージカル映画の『オズの魔法使』だけ。
フレッド・アステアのダンスが良かった。見た目からしてもうそんなに若くは無いのだろうと思うけど老いなんかなんにも感じさせないくらいに動きがキレキレ。なにかアクションスターのアクションシーンを見ている様な、そんな気分で見ていて楽しい。



『355』を観た。2022年、イギリス、2時間2分。
世界のありとあらゆるデジタル機器を強制的にコントロール出来るデバイスが開発されその争奪戦が繰り広げられる。

各国の女性スパイがチームを組んで悪と戦うアクションスパイ映画。クライマックスの銃撃戦が良かった。
その後の事態の結末が上手くまとめられなかった様に感じた。結局みんなそれぞれの組織に追われる身になったという事なのか?
そこが上手くまとめられていたら終わり良ければ総て良しで、面白かったと素直に言えたのだろうと思う。

過去のスパイ映画で悪役と言えばドイツ(ナチス、東ドイツ)か当時のソ連。本作ではそのドイツとチームを組む事になる。現代を舞台にすると悪役になる事は多くは無いと思うがかと言って正義の味方側になる事も滅多に無いのではないかと思う。アメコミヒーローにドイツ系のスーパーヒーローはいるのだろうか?過去の事は置いといてドイツが正義の味方でもいいんじゃない。というメッセージの様にも思えた。

タイトルの355の意味が気になっていたけど劇中でちょっとだけ355がなんなのか触れられていた。実在した謎の女性スパイのコードネームが355だとかなんとか。映画本編では触れられていなかったが、その事にちなんで諜報にたずさわる女性の事を355と言うらしい。なので原題だと"THE"が付いて"THE 355"。日本で言うなら『ザ・くノ一』?
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