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『ドリームプラン』 [映画]

『ドリームプラン』を観た。2021年、アメリカ、2時間24分。
娘二人をプロテニスのトッププレイヤーにするために父親は計画を立て頑なに実行する。

2000年代、2010年代に無類の強さを誇り現在も現役で活躍するビーナスとセリーナのウィリアムズ姉妹。姉ビーナスが14歳でプロデビューするまでの実話。夢を成し遂げるそのスタート地点に立つまでで、それ以降はテニスプレイヤーとしては姉妹が父親の手を離れていったからなのかなと想像する。本作はあくまでお父さん、ウィル・スミスが主役なのでウィル・スミスの出番が減ってしまうのはよろしくない。
精神的に濃密な関係であった父親と娘の話として、そしてサクセスストーリーとして感動的な話ではあるけど、そこまでグイグイと感動を押し付けてはこないのが良かった。
単にスポーツのサクセスストーリなだけではなくて、黒人選手が少ないテニスという競技で姉妹が自分たちの力で閉ざされている扉を見事にこじ開けた!という所の感動もそれほど押し付けられなかったように思う。
テニスシーンは実際にプレーしているのか分からなかったが、CGで加工していたとしてもそれが分からないくらいに実際にプレーしているように見えて迫力が有るのが良かった。スポーツ映画としてはそういった所はとても大事だと思う。

ウィリアムズ姉妹の事はそんなに詳しくは知らず5人姉妹である事も知らなかった。ビーナスとセリーナが四女と五女(末っ子)だとか。他の3人には何でテニスをやらせないんだろう?と疑問に思ったが、映画を観た後に調べるとビーナスとセリーナ、そして3人の姉とでは父親が違うのだとか。IMDbでクレジットを見たら確かにビーナスとセリーナ、そして3人の姉とでは苗字が違っていた。えこひいきという事ではなくビーナスとセリーナはテニスの素質に恵まれていたからなのだろう。プランを成し遂げるためにそこらへんもはっきりと区別するのがシビアではある。
最後で悪役にされた感のあるスペイン人選手のアランチャ・サンチェス・ビカリオも地元のスペインでは絶大な人気を誇りウィリアムズ姉妹と同様に多くの人に夢と希望を与えたのではないかと思うが、良く言えば試合巧者、悪く言えば勝つためにはどんな手段でも厭わなかった選手だったのだろうか。

ウィル・スミスが今年の第94回アカデミー賞で主演男優賞確実とも言われているが、そう言われればそうかもなと思えるし、そう言われなかったらいつも通りの普通にお芝居の上手いウィル・スミスという気もする。
ウィル・スミスが父親役を演じるのが今の所それほど多く無いのでそれも別の一面を見せたという意味で高評価につながっているのだろうか。実子のジェイデン・スミスと父子役で共演した2006年の『幸せのちから』でもアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。一方で同じくジェイデン・スミスと父子役を演じた『アフター・アース』(2013年)も有るけどこちらはあまり評判は良くない。
去年のアカデミー賞では主演男優賞で確実視されていたチャドウィック・ボーズマンではなくアンソニー・ホプキンスが受賞。今年はウィル・スミスかベネディクト・カンバーバッジかと言われている。去年の事も考慮するとウィル・スミスの方に票が行くんではないかと予想してみる。アカデミー賞の場合はそういった票の動きを予想するのも一つの邪道な楽しみ方ではある。
そんな楽しみ方をするよりそのベネディクト・カンバーバッチの主演作品『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を早く観るべきなのだけど、配信でいつでも観られるとなると何故か観る気がなかなか起こらない。
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