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『日本語劇場版 サンダーバート55/GOGO』『ゼイリブ 〈4Kレストア版〉』 [映画]

『日本語劇場版 サンダーバート55/GOGO』を観た。2021年、イギリス、1時間31分。
過去の音源を基に新たに作られたサンダーバード。

サンダーバードに対して特に思い入れは無いので1960年当時の作り方を忠実に再現して新たに作られたという事に対しても平坦な気持ちをキープ。
本作が一本の映画としてちゃんと成り立っているかというとそこは微妙。元々映画としては作られていないのか。過去にレコード盤で作られた音声劇を映像化したという事で三編からなっているけどその三編に物語としての繋がりは特にない。

サンダーバードには苦手意識とはちょっと違うけどサンダーバード独特の間(ま)が気になってしまう。サンダーバードだけではなく人形劇の独特の間なのかも。何かしらのリアクションの時に多分一秒にも満たないくらいの間が空いて、何か有るのかと思うとなんにも無い。なんにも無い事に対してもなんにも無くスルーされる。「いや、なんも無いんかい!」と関西の人ならツッコミたくなる様な気がするけどどうなんだろう。



『ゼイリブ 〈4Kレストア版〉』1988年、アメリカ、1時間34分。
自分達とは違う何者かによって仕組まれこれまでとは違う社会になろうとしている。その事を知った男が仲間と共に力ずくで抗おうとする。

≪JOHN CARPENTER RETROSPECTIVE 2022≫にて。

大分昔に一度だけ観た事が有る。その時でも既にカルト的な人気が有ったと思うが自分としては今イチ乗り切れないままに現在まで至っていた。
2022年の今でもカルト的な人気は根強く何かの陰謀説めいた事が起きるとネット上で本作が話題に出てくるのをよく目にしていた。
面白ポイントの一つとされる眼鏡掛けろ掛けないバトルの事は気になっていて、今回観てその面白さが分かった事がとても良かった。
あれは二人の男の路上プロレスをただ見るのではなく、二人がプロレスしている理由、この眼鏡を掛けろ、その眼鏡を掛けたくない。で闘っている事を理解した上で見るとメチャクチャ面白い。
またあのプロレスしている時間の長さも面白い。理由と時間の長さが釣り合っていなくて。眼鏡を掛けさせようとしている男と掛ける事を断固拒否している男両者の気持ちも理解は出来るけど。
そして実はあの路上が大通りに面していて通行人から丸見えだったというのも面白かった。

ラストにちょっとしたオチ的なものが有るのが今回観た3作品に共通していた。本作のはただのお色気セクシーショットなだけでなく何者かによる侵略は相当根深い所まで進行していた事が分かる。

確かプログラムとして販売されていたと思うがポストカードが付いているという事で買ったら中身はほぼポストカードがメインだった。
昔のビデオテープの紙パッケージを模している外箱。
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裏面。箱の縁の印刷が薄れているのはそういうデザイン。
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中にはビデオテープのデザインがされた内箱も入っている。
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1作品につき5枚の大判のポストカード。
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眼鏡掛けろ掛けないプロレスのシーンが有ったのが嬉しい。
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『ニューヨーク1997〈4Kレストア版〉』『ガリバーの宇宙旅行』『魔犬ライナー0011変身せよ! 『ザ・フォッグ〈4Kレストア版〉』 [映画]

『ニューヨーク1997〈4Kレストア版〉』を観た。1981年、アメリカ、1時間39分。
1988年に犯罪発生率が400%増加したアメリカでは大都市ニューヨークのマンハッタン島全体を刑務所として犯罪者を収容し厳重に隔離していた。
1997年、アメリカ合衆国大統領専用機がハイジャックされマンハッタン島のビルに激突。大統領はポッドで脱出したが島の犯罪者たちに拉致される。今後の世界情勢を左右する重要会議が翌日に迫る中で大統領救出の任務を厳命されたのは元軍人で現在は犯罪者としてマンハッタン島に収容されるはずのスネーク・プリスキンだった。

≪JOHN CARPENTER RETROSPECTIVE 2022≫にて。

アウトローヒーロー、スネーク・プリスキンを生み出したという事だけで意義のある映画だろうと思う。
そのカッコ良さは多分見た目が8割から9割位有るんではないかと思う。
そして見た目のカッコ良さの8割から9割位はヘアースタイルに有るんではないかと思う。ボサボサ頭と形容される事も多いけど無造作の様でいて実はとっても整えられていて髪質もキューティクルが輝いている。無精ひげ(ひげも無精に見える様に整えられているのだろう)とアイパッチとのバランスで髪型もワイルドの様に見えるけど髪型だけで見れば実はそこまでワイルドではない。
ただ単にワイルドに汚くしようとすればどこまでも不潔に出来るのだろうけど、そうではなくてワイルドでありながら清潔感が有ってああいう風になりたいと思わせるビジュアルを作り上げた事がスネーク・プリスキンをアウトローヒーローのアイコンと言われるまでの存在にしたのではないだろうか。
現在リー・ワネルによってリメイク作が進行中との事。完成するかは未定。スネーク・プリスキンにはカート・ラッセルの息子のワイアット・ラッセルへの待望論も有るけど本人は否定している。父親が作り上げたビジュアルがどれくらい再現されるかに注目が行ってしまうのだろうからそれはやりたくないのかもしれない。

おじさん達の脇役陣が充実しているが中でもリー・ヴァン・クリーフがカッコいい。実は出演作は2、3本しか観た事がない。
スネーク・プリスキンを作り上げたカート・ラッセルとは違って見た目は多分普段のままなんではないかと思うがそれでも画面上でスネーク・プリスキンと並んでも負けないくらいにカッコいい。

スタッフの中に若き頃のジェームズ・キャメロンがいた。というのは有名な話で。ジム・キャメロンでクレジットされている。
グライダーの飛行シーンでの線画のコンピューターグラフィックを担当したという話だったと思う。実際はコンピューターは使わずにアナログな方法を使ったとか。
三面モニターで正面と左右の側面の移動のシンクロが素晴らしい。



『ガリバーの宇宙旅行』1965年、日本、1時間20分。
みなしごの少年テッドはのら犬のマック、ブリキの兵隊人形、そして年老いたガリバーと出会う。数々の冒険をしたガリバーは宇宙旅行を計画していた。テッドたちは宇宙船ガリバー号で青い希望の星を目指す。

丸の内TOEI ≪東映創立70周年"エンターテインメント・アーカイブ"特集上映・2021冬≫にて。

東映動画の劇場用アニメ。冒険ファンタジー。
1960年代はアメリカとソ連が冷戦の一端として宇宙開発競争でしのぎを削っていた時代。本作での宇宙にこそ希望が有るが行ってみたらそこでも争いが起こっていたというお話はそういった現実を反映しているのかもしれない。

主人公テッドの声は"上を向いて歩こう"の坂本九さん。少年の声は女性声優の方が演じられるケースの方が多いのではないかと思う。本作の絵柄に坂本九さんの声が合っているかと言えばちょっと微妙かなと思うが坂本九さんの少年役は全く問題無かった。
ガリバーの声は宮口精二さん。声優としてのお仕事はアメリカのテレビドラマの吹替えをされていたみたい。それに実写作品でもアフレコが多かっただろうから上手い。



『魔犬ライナー0011変身せよ!』1972年、日本、50分。
数々の怪事件が起こり林博士は宇宙人侵略説を唱えるも学界からは非難される。博士の息子ツトムが家に連れ帰った母犬と子犬3匹は林博士殺害を目論む宇宙人から博士とツトムを守り犠牲となるが博士によってサイボーグ化され驚異の能力を持ち、宇宙人から人類を守るためにツトムと力を合わせて戦う事となる。

丸の内TOEI ≪東映創立70周年"エンターテインメント・アーカイブ"特集上映・2021冬≫にて。

東映動画の劇場用アニメ。
1970年代になってテレビの時代になったのだろう。日本映画は斜陽産業となり予算は削られ人材もテレビへと移っていく。という事なんだろうな、と感じられてしまう作品の質だった。それは主に作画面で。そういった時代に支えてくれたのは声優さん達の献身なのではないかと思う。
しかし日本のアニメそのものがそのまま廃れるのではなく、テレビアニメが隆盛を迎え、それがまた映画作品へと還っていく道筋になったのはそういう運命を辿る様に出来ていたのかもしれないと考えてしまう。当時の現場にいた人達からしたらそんな悠長で呑気な事では無かっただろうけど。
そして現在はネット配信がテレビも映画も呑み込もうとしている。



『ザ・フォッグ 〈4Kレストア版〉』1980年、アメリカ、1時間29分。
海沿いの町が創立100周年を迎えようとしていたがその町には知る人の少ないおぞましい歴史の秘密が隠されていた。そして霧と共に彼らは現れ町民に復讐を始める。

≪JOHN CARPENTER RETROSPECTIVE 2022≫にて。
今回上映される3作品の中で本作だけ初見。

映画だけではなく静と動が物語にうねりみたいなものを生み出すのではないだろうか。
ホラー映画の帝王と呼ばれるジョン・カーペンター監督の作品は実は静の部分が多い様に思う。昔はそれが退屈に思えていた事も有ったけど、動だけではただ一本調子で騒がしいだけで、静と動が有る事でうねりみたいなものが出来るし、そのうねりが厚みにもなるのではないだろうか。
本作は霧が恐怖の対象となっているので余計に静かだけどそれは当然の事で。そもそも霧は音を立てずにじんわりと広がっていくものだし。そして静かに霧に包まれた時に恐怖が襲い掛かってくる。
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