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『映画クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』 [映画クレヨンしんちゃん]

『映画クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』を観た。1995年、日本、1時間36分。
戦国時代での異変を感知したタイムパトロールは現場に向かおうとするが何者かの妨害により1995年の春我部の地中深くに不時着する。タイムパトロール挺からの脱出が困難な隊員リングは地上にいるシロに遠隔操作で乗り移り野原家の力を借りて戦国時代の異変を正常に戻す事で自らの脱出を試みる。

新文芸坐×アニメスタイル vol.159にて。
二日間、一日一回の上映で前日には本郷みつる監督、原恵一監督登壇のトークショーも有ったが無い方で観た。
ついこの間映画一作目のハイグレが公開30周年という事で上映されたが続いて三作目の本作が上映された。てっきり二作目かと勘違いしていたが二作目はブリブリ王国の秘宝だった。

アクションシーンだけでなく日常的なシーンでもギャグでもよく動く。よく動く手描きのアニメはそれだけでも楽しい。実写なら無意識でも勝手に動くけど人の描く絵では動かす事を意識しないと動かない紙芝居になってしまう。
予算がいつもよりは有る映画だからとしてもそれだけ動かせる実力派のアニメーターの方が揃っていたという事だろう。実力派なだけに面白く動かせられる。ぶっちゃけこう言っては失礼過ぎるけどシンエイ動画でしかもクレヨンしんちゃんでこれだけ動くアニメが作られていた事を当時は見向きもせず全く知らなかった。
いつかサザエさんでよく動く映画版を観てみたい。『ミッキーマウス!』の様な。絵柄は町子先生の中期ので。
『ミッキーマウス!』は『ミッキーマウスのワンダフルワールド』になってディズニープラスで配信で続いているらしい。


こんな事もやってるみたいだけどディズニーの偉い人たちから怒られなかったんだろうか。

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『フリークスアウト』『TAR/ター』『MEMORY メモリー』 [映画]

『フリークスアウト』を観た。2021年、イタリア=ベルギー、2時間21分。
1943年、イタリア。4人の異能力者達はその能力によって行き場を失っていたが唯一受け入れてくれたサーカス団で生活していた。ローマに巡業中のドイツ、ベルリン・サーカスの団長も予知夢の能力を持ちその予知夢の中で4人の人影を見、その4人がいずれ訪れるナチスドイツの崩壊を救うと信じ行方を探していた。

池袋シネマ・ロサにて。

イタリアによるナチスドイツを悪役にした作品。ドイツからしたらイタリアには悪者扱いされたくねえわ。と思うんじゃないだろうか。と考えてしまう。
一時期ドイツとイタリア、それに日本で同盟を結んでいた。辺りは学校の授業で習った。で、その日独伊三国同盟というテストに出る単語しか覚えてない。イタリアの独裁者ムッソリーニが求心力を失いそれによってドイツはイタリアにも侵攻した。みたいな感じなのだろうか。本作にも登場するイタリアのパルチザンもナチスにやられた事への報復での活動という事なのか。
そこら辺の事がきちんと理解出来ていればイタリアもある意味で被害者だったと思えるのかもしれないけど加害者でもあったのだろうし。
そこは戦争だから加害者でもあり被害者でもありといった所なのだろうけど、勝てば官軍で勝った方は被害者である事をよりアピール出来て、負けた方は加害者である部分を責められ続けると。
ドイツはそれが最も顕著であり、イタリアはその影に隠れ、日本は敗戦に至る経緯があれだから特殊なんだろうなと思う。

エンドクレジットのイラストはなんなんだろう?と思いながら眺めていたがあれら全ての出来事を正確に予知していたという事に大分経ってから気付いた。日本のアニメの鋼鉄ジーグも。鋼鉄ジーグに大きく影響を受けたイタリア人が映画監督になり自分の事を映画にするまでも予知していたとしたら凄い。



『TAR/ター』を観た。2022年、アメリカ、2時間38分。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団初の女性首席指揮者のリディア・ター。これまでに幾つもの業績を重ねてきたがその集大成とも言える演奏会を間近に控えナーバスな精神状態の中で私生活に関する事により追い詰められていく。

ケイト・ブランシェットのアカデミー賞主演女優賞は惜しくも受賞ならずだったけどその他の映画賞ではほぼ総なめなのも納得の圧巻な演技だった。しかし、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のミシェル・ヨーとどちらかと問われれば(誰に?)わたくしはミシェル・ヨーに一票。演技というより演じたキャラクターにという所が大きいかもしれない。

クラシック業界の話だからなのか物語の構成と言うか話の流れみたいなものが一曲のクラシック音楽の様になっているのではないかとうっすらと感じた。繰り返しのシーンが有ったり。それもちょっとずつ変化しながら。
クラシック音楽的だからなのかちょっと退屈したが、でも終盤の意外な展開は面白かった。
マーク・ストロング演じる指揮者と突然不仲になるのはなんだったんだろう?と思ったがあの仲違いした時点で演奏会での変更が決まったという事なのだろう。
ターの行き着く先はクラシック音楽業界的には落ちぶれたという事になるのだろうけど、ター自身はいつもと変わらず音楽に真剣に向き合っているように見えた。ヨーロッパでの復帰を考えての事なのかもしれないが。
あれがゲーム音楽なのかアニメ音楽なのかはよく分からなかったけど、これからはクラシックがより優れた音楽とは言えない時代になってくるのかもしれない。そういう事態になる事をクラシック業界は権威を振りかざして全力で阻止に動くのか。あんまり権威を振りかざすとそれが離れさせてしまう原因になると思う。

ターが行き着いた東南アジアの国は『地獄の黙示録』のロケが行われたという事でフィリピン。
その『地獄の黙示録』の撮影で川に放したワニが繁殖して、以来その川で泳いではいけない。というエピソードが紹介されたが本当なのだろうか?もし本当だとしたらさすが『地獄の黙示録』。と思うのは不謹慎か。



『MEMORY メモリー』を観た。2022年、アメリカ、1時間54分。
アメリカとメキシコの国境付近を中心に殺しを請け負うアレックス・ルイス。アルツハイマーの初期症状により記憶障害が起きている事を自覚し仲介人に引退を申し出るが強引に次の依頼を受けさせられる。その依頼の裏には国境を股にかける人身売買組織が関係していてFBI捜査官のヴィンセントがその組織を追っていた。

池袋シネマ・ロサにて。

リーアム・ニーソンが記憶障害を患っている殺し屋。という情報だけで観たが、その情報だけからすると切ない系なのかと想像していたがその感じで観ると何か物足りなく思える。
多分その見方は合っていなかったんじゃないかと後になって思う。人身売買組織とそれを追うFBIだが組織は経済界に大きな影響力が有りなにかと妨害が入り尻尾を掴めずにいた。そこにしがらみがない殺し屋が関わる事で事態が動き出すという、組織、FBI(出向しているメキシコの警察官)、そして殺し屋という三者の物語として観るべきでそれを殺し屋だけに着目してしまうと物足りなく思えてしまうのだろう。キャストはガイ・ピアース、モニカ・ベルッチとリーアム・ニーソンに引けを取らない主役級が配役されているし。

殺し屋に記憶障害が有るという設定は必要なのだろうか?と思えなくもないが、記憶障害により自分が何者なのかという事も正確に認識出来なくなっていて、だから殺し屋としての本分よりも本来持っていた正義感みたいなものが勝ったとも考えられなくもない。やっぱりそれは最期も含めて切ないけど。
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