ようこそ、アムステルダム国立美術館へ [2010年9月に観た映画]
『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』
“HET NIEUWE RIJKSMUSEUM” (2008・オランダ) 1h57
監督・脚本 : ウケ・ホーヘンダイク
美術館が改築工事をしようとするが市民の意向とお役所仕事が邪魔をする。
その工事は2004年に始まりましたが、一つの問題が起きると工期は延び、問題が解決すると別の問題が起きまた工期が延びる。
問題が解決し穏やかな時間が流れていると、画面にいつの間にか不穏な音楽が被さり別の問題が顔を見せる。終わりの方になってくると、またその音楽流れんのかよ。と呆れつつもなんか面白かった。
工事は市民の意向を取り入れつつ。ってのがそもそも間違いだったんじゃ。
芸術って一般の市民なんかじゃ考え付かないような発想と、足元にも及ばない能力を持った天才と呼ばれるような人たちが生み出すもので。庶民的芸術も有るけど。
それは置いといて。芸術と市民の意向なんて元々相容れないものであって、それを無理くりに相容れようとすれば軋轢が生じるのも無理はなく。
それじゃあ市民の意向の届かない無人島かどっかに美術館を建てて、好き勝手すればいいじゃんっつったら、それでは商売にはならないわけで。お金払って見る人がいなければ。
お金払って見る人は大多数が一般の市民であり、その市民の意向を無視することは出来ない。
芸術性と商売。その狭間で大いに揺れに揺れ、結局のところ市民の声強し。といった決着を見ます。とりあえず。
それはある意味芸術の敗北なのだろうか。そうじゃなくて芸術は勝ちとか負けとか関係なく、ただそこにとてつもなく大きな存在感を持って存在しているだけで、それを利用しようとした人たちが事態をややこしくしただけなのかも。
2010年、アムステルダム国立美術館改築工事いまだ完了せず。
カン・チョルジュン 公共の敵1-1 [2010年9月に観た映画]
『カン・チョルジュン 公共の敵1-1』
(2008・韓国) 2h07
監督 : カン・ウソク
出演 : ソル・ギョング、チョン・ジェヨン、カン・シニル、キム・ナムギル
はみだし刑事がヤクザ養成学校(高校生可)を開く組織に闘いを挑む。
《韓流シネマ・フェスティバル2010~新しい風~》にて。
今や刑事映画と言えば韓国なのだろうか。そんな話しも聞いた事はありませんが、『亀、走る』に続いて韓国刑事映画。
『公共の敵』シリーズ第3弾。
1作目は観ました。2作目はたぶん観てない。確か1作目と2作目には関連性が無い。はず。って事で3作目も関連していないんだろうと勝手に思い込んでいましたが、『1-1』という事で1作目の続き。なんだろうか?よく分かりませんが、まあそこらへんはあまり気にしないで観れました。
『亀、走る』と同様、亀の歩みで物語はじっくりと展開。本作の刑事カン・チュルジュンは同じ亀でも喰らいついたら離さないスッポン刑事でした。
スッポン刑事の刑事魂がスパークして犯人との死闘を迎える。
やっぱりクライマックスで何か帳尻合わされたような。まあ面白かったと思わされてしまう。
韓国映画のクライマックスでの鬱憤を晴らす爆発か、ハリウッド映画のそこいら中でドカドカ爆発している方か、その中間がいいのだろうけど、そんなアクション映画がこそが大傑作なのだろうなぁ。と思うのでした。
カラフル [2010年9月に観た映画]
『カラフル』
(2010・日本) 2h07
監督 : 原恵一
声の出演 : 冨澤風斗、まいける、麻生久美子、高橋克実、宮崎あおい、入江甚儀
ある重大な罪を犯してこの世を去った魂が、少年の体を借りて人生の一時やり直しの修行を課せられる。
良心的な作品でした。
人は一人で生きるにあらず。
中学3年とかそれぐらいだと一人で生きてる。と思いがちですが、家族がいて、友達がいて、そして君がいる。っていう。
早乙女君、いい奴だった。
原監督(常に涙目の人ではなく)
って、絵の方にはあまり関心がないんだろうか?特に人物に関して。上手さより味を重視な感じ。
その代わり背景美術の描き込みの細かさは驚異的でした。
人物を曖昧にして背景をリアルに描く事によって、この物語が一人の特定の物語ではなく、観た人それぞれの物語になる。みたいな効果が有るのだろうか。
亀、走る [2010年9月に観た映画]
『亀、走る』
(2009・韓国) 1h57
監督・脚本 : イ・ヨヌ
出演 : キム・ユンソク、チョン・ギョンホ、キョン・ミリ、ソヌ・ソン
ぐうたら刑事が脱走犯(懸賞金付き)を見つけ、己の刑事魂を賭け逮捕に執念を燃やす。
《韓流シネマ・フェスティバル2010~新しい風~》にて。
刑事魂に着火するまでが、タイトルの如く亀のようにゆっくりでした。
亀の歩みを経て、刑事魂がスパークし犯人との死闘を迎える。
クライマックスまでをじっくりと描き、クライマックスにて溜めたものを爆発させる。
それが韓国映画だなぁ。と思わせる映画でした。
クライマックスに至るまでのじっくりに集中力を要しますが、爆発で鬱憤を晴らしてくれる。そこで帳尻合わされた感も無くは無く。
しかし爆発が不発だととんでもない事に。その危険を冒しても物語をじっくりと描きたい。それは韓国の観客が物語をじっくりと観たい。というニーズが有るからなのだろうか。
どうも自分としては亀タイプよりうさぎタイプのようで、そこらへんがちょっと合わない所でもあるなぁ。と思うのでした。
特攻野郎Aチーム THE MOVIE [2010年9月に観た映画]
『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』
“THE A-TEAM” (2010・アメリカ) 1h58
監督・脚本 : ジョー・カーナハン
出演 : リーアム・ニーソン、ブラッドリー・クーパー、クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン、シャールト・コプリー、ジェシカ・ビール、パトリック・ウィルソン
秘密任務をド派手に遂行する野郎ども。
それにしても派手だった。
キャラクターに思い入れがないので派手な映像をただ眺めていた感じで。
ジョー・カーナハン監督の『ナーク』は地味ながらも面白かったですけど、『MI:Ⅲ』を降ろされたのがトラウマになったのか『スモーキン・エース』から芸風を変えちゃったみたいでド派手方面へ。
その因縁のトム・クルーズの『ナイト&デイ』も今イチで、共に20世紀フォックスの75周年を華々しく飾るに至れず。
フォックスの75周年を飾るのは今のところ『アバター特別編』になりそうな。
『タイタニック』の3Dは75周年イヤーに間に合うのだろうか。
しかし相変わらずポスターが今イチな感じで。ジェームズ・キャメロンはあんまりポスターに思い入れがないのだろうか。あんなに完璧主義者なのに。
コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら [2010年9月に観た映画]
『コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら』
“COP OUT” (2010・アメリカ) 1h47
監督・編集 : ケヴィン・スミス
出演 : ブルース・ウィリス、トレイシー・モーガン、ギレルモ・ディアス、ケヴィン・ポラック、ショーン・ウィリアム・スコット
相棒組んで9年目、刑事二人の事件と日常。
ハリウッドのトップスターによる刑事アクションコメディ。
これは絶対に無くしてはならないジャンルだと思います。ただ、トップスターはあまりやりたがらないジャンルかもしれない。ジョニー・デップやブラッド・ピットやディカプリオなんかは。ジョージ・クルーニーはやるかも。
ディカプリオも巨匠とばっかり映画作ってないで昔CMでやってた刑事プリオとなって、タンクトップ着て拳銃バカスカ撃ってガハハハ笑って犯人ボコボコにするような映画にバンバン出るべき。男子たる者ハリウッドでトップ取ったならそんな映画の5本や10本出て当然。
ブルース・ウィリスはそんな映画にまだ挑戦してくれる。それだけで嬉しい。拳銃の構え方が相変わらずカッコイイ。
のですが、この映画の出来がそれほど良くないのが非常に残念。
ケヴィン・スミスらしい無駄話しが刑事アクションには合っていないような。無駄話しがなかったらケヴィン・スミスが映画撮る意味がないけど。
アイスバーグ!とルンバ! [2010年9月に観た映画]
『アイスバーグ!』
"L'ICEBERG” (2005・ベルギー) 1h27
監督・脚本・出演 : ドミニク・アベル/フィオナ・ゴードン 監督 : ブルーノ・ロミ
出演 : フィリップ・マルツ
『ルンバ!』
“RUMBA” (2008・フランス=ベルギー) 1h17
監督・脚本・出演 : ドミニク・アベル/フィオナ・ゴードン/ブルーノ・ロミ
出演 : フィリップ・マルツ
スウェーデン映画の『愛おしき隣人』的なものを予感させて、個人的には合わないんじゃないかと不安がありましたが、体を張った(色んな意味で)笑いで分かりやすく、ストーリー性も有って面白かった。
『アイスバーグ!』
ひょんな事から氷山に心奪われた主婦が氷山を目指し家庭を捨てる。
なんだそれ。って話しですが、突拍子もない話しを説明的なシーンや台詞を極力排除しつつも物語として成立させ、なおかつ一風変わったユーモアで笑わせてくれました。
ただ、オチが大体予想がつくもので、そのオチに向かう終盤がやや間延びした感じだったのが残念。大体分かったからさっさと落としてくれ。といった感じ。
『ルンバ!』
ラテンダンスをこよなく愛する小学校教師の夫婦がひょんな事から人生の一大事を迎える。
『アイスバーグ!』を観終えてからすぐ(10分の休憩有り)に同じようなのを観るのも辛いものがあるなぁ。と思いましたが、こっちはより面白かったし、それでいて人生賛歌を描いた名作だったと思います。良かった。
大それたメッセージを声高に叫ぶのではなく、人生の一大事を迎えたとしてもそれでも何とかやっていけるものなんだ。と風変わりなユーモアをもってして、ちょっぴり勇気をくれるような。
アキ・カウリスマキ監督作品っぽい感じもしましたが、アキ・カウリスマキ監督だともう少し辛辣な人生訓になってしまうのかもしれない。
それはフィンランドとベルギーのお国柄の違いなのだろうか?それとも気候の違い?本作はどこか温かいものを感じる。
自己紹介で終わるラブストーリーというのも良かった。それはただの自己紹介ではなくて、色んな意味と深い愛が込められている自己紹介。
それが良かっただけにラストの一オチが余計だった。と思いましたが、考えてみるとあれは失恋から来ている行動?という事はあの二人はそういう関係になってしまっていたんだろうか?
てっきりフレンドリーな関係だと思っていたけど、もっとディープな関係になっていたのかも。