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薬の神じゃない!、オン・ザ・ロック、スパイの妻〈劇場版〉、博士と狂人 [映画]

薬の神じゃない!を観た。
2002年、上海。中国政府認可の白血病治療薬は非常に高価で多くの患者は服用し続ける事が困難な状況。インドに効能は同じで価格は二十分の一の薬が有るが中国国内への輸入は認められていなかった。

シネマ・ロサにて。

実話を基にしているとの事。命ですら金で買う社会、金の無い奴は死ねと突き放す社会とは。という問いかけ。開発した製薬会社にしてみればそれだけ元手がかかっていると言われるだろうし、それもごもっともとは思うけど。
最後に政府は非を認め現在は是正されているという注釈が付くので政府批判には当たらないのかもしれない。
日本だってそんなに変りはしないんだろうけど。命と金の問題を鋭くえぐったのが手塚先生のブラック・ジャック。http://www.tezuka-shop.jp/shopdetail/000000001132/ct202/page1/recommend/

どことなく韓国映画っぽい雰囲気が有る。ハリウッドから韓国から色んな所から取り入れて中国映画は巨大化していきそうな勢い。

本作の主役の人は髪形がすっきりしてからは藤原竜也さんにちょっと似ている。



オン・ザ・ロックを観た。
ニューヨークで暮らす幼い娘二人を持つ夫婦。最近妻は夫との距離を感じ始め、そして夫の行動に浮気の気配を感じ取る。昔、浮気の末に離婚した実の父親に相談すると生物学上において男は浮気をする生き物だと断言される。

シネマ・ロサにて。

夫婦の物語としても取れるし父親と娘のデートムービーとしても取れる。映画好きとしては本作の父娘とコッポラ父娘を重ね合わせてしまうのでデートムービーとして観た。
女の子の初めての恋人は父親。なんて事も言われている。父親の方はいつまでも恋人気分でいたいけど娘の方はそういうわけにはいかない。どんなに仲が良くてもいずれは仲の良いままで別れの時はやって来る。それが父親の切ない所だろうけどそこは潔い態度を取るのが理想的。本作の場合はビル・マーレイが未練たらたらで面白おかしく演じている。交通違反の時の警察官とのやり取りはシチュエーションとしては有りがちっちゃあ有りがちなんだけどでもさすがビル・マーレイで面白かった。
昔の様な恋人気分でいる事は出来ないけど、でもパパの事は大好き。とソフィア・コッポラ監督はパパ、フランシス・フォード・コッポラ監督へ伝えたかったんじゃないか。そんな風に勝手に想像した。



スパイの妻〈劇場版〉を観た。
1940年、神戸。軍部が台頭し状況は戦争へと向かっていく中で商社を経営し海外との取引の有る男は仕事で満州に渡る。帰国後、男はある殺人事件の参考人として聴取を受ける。

タイトルにあるのでスパイ映画として観始めるが、スパイ映画としての核心に辿り着く迄にちょっと時間が掛かる。なので隣に座った人はいびきかいてお眠りになってしまった。余程お疲れだったのか。いびき耐性は結構有る方なのでそんなには気にならない。会話されるよりは全然平気。上映マナーでもいびきはダメとは言われてないし。
核心に入ってからは面白く観られたが、最後の"それから5年後"は必要だったのだろうか?
"それから5年後"が有ったとしても真実はよく分からないままなのだから、夫が船に乗って妻が「お見事!」つって卒倒したままFinの方が面白かったのに。
"それから5年後"が女優・蒼井優の見せ場で有るのだろう。と考えれば必要では有るけど。
「お見事!」つって卒倒したままFinでは話としては不親切と言えばそうなんだろうけど、そこら辺がちょっとNHK的(NHKが制作)でも有るのかなあとか考えてしまう。
「お見事!」って英語ではどう訳されるのだろう?「グッジョブ!」?
"お見事 英語"で調べてみればウェルダーン、ブラボー、アメイジング、インクレディブル、ブリリアント、エクセレント等が出てくる。どれもあまりしっくりとは来ないが。
しかしよく考えてみれば「お見事!」という台詞も現代感覚ではなかなか素っ頓狂ではある。だからその台詞が浮かない様に全体的に古めかしい言葉遣いにしたのだろうか。
「お見事!」に代わる言葉は他に有るだろうか。お上品な女性が使いそうな言葉であの時の心理状況を簡潔に言い表している言葉としてやはり「お見事!」が最適なのか。
蒼井優さんの事をこれから蒼井・お見事・優と呼んでしまうかもしれない。



博士と狂人を観た。
19世紀、イギリス。オックスフォード大学が名門の威信をかけて編纂に着手している英語辞典。日々変化していく言葉の意味や用法、その始まりから現在まで全てを網羅しようとする取り組みは困難を極め着手から20年が経っても進展は無かった。そして新たな編集主幹としてジェームズ・マレーが招かれる。マレーはこれまでになかった手法を取り入れるがやはり状況は変わらず独学で言語を学んできたマレーの起用に反対する者達から非難される。そんな中マレーを救う救世主が現れるがその人物は殺人を犯し精神病院に収監されているアメリカ人ウィリアム・チェスター・マイナーだった。

原作は昔に読んだ事が有る。内容の詳しい事は覚えていないがそれまでに無かった辞典を作るという所は面白く読めたが後半になって何かその面白さが失われてしまった様な印象が残っている。で、本作を観てやはり同じ様に思った。小説も映画も困難な辞典作りに携わった二人の男の物語が次第にメインになっていく。それが本題なのだろう。辞典作りはその男二人がノウハウの基礎を作り上げたが完成までには辿り着けなかったという事で。辞典自体は二人が退いて(マレーの方は多分年齢的な事で)からちゃんと完成している。

メル・ギブソンとショーン・ペン、二人のスター俳優の顔力(かおぢから)は見応え十分だった。ただの俳優ではなくスター俳優となるには演技力は当然有って然るべきでそれプラス顔だけで何もかも語る事の出来る顔力が必要となるのではないか。

メル・ギブソンが演じているのはスコットランド人でスコットランド訛りの英語を話す役。そこら辺は自らの監督作『ブレイブハート』でスコットランドの英雄ウィリアム・ウォレスを演じた経験が活かされているのだろう。
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